「指示待ち人間」~「言われないと分からない」場合、どうすればいいのか?
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Twitterを眺めていると、たびたび目にするのが「夫に対する妻たちの愚痴」です。「雨が降ってきたのに洗濯物も取り込まない!」「こっちが買い物から荷物を抱えて帰ってきたのに、手伝いもしないで寝転がってテレビを見ている!」。よく言われる「察することができない」ことによる問題です。
「言われないと分からない」は誰にでもある
結婚もしていないし、妻でも夫でもない、そんな私がなぜ「夫への愚痴」を見て悩んでしまうのか。それは、この「夫への愚痴」が、自分が主に仕事の中でぶつかる「空気が読めない」「察することができない」「言われないと分からない」という問題ととても似ているからです。
「言われないと分からない」。障害の診断が自分に下りてから、社会に出て数年経つまで、私は会話や指示の中でのいわゆる「言われないと分からない」という感覚をこれでもかと味わってきました。仕事では具体的な指示をされない限り動けないので「なんでボーッとして突っ立ってるの、動きなさいよ!」と言われます。具体的な指示を出してくれさえすれば、(無理のない範囲で)動けるのに、どうしてこうも頑なに「指示をされなくても動け」という考えばかりなのだろう、と悩んでいました。しかし、Twitterでの数々の「夫への愚痴」を眺めていて、思ったことがあります。
指示を出せる状況にない。忙しくて言えない。いちいち言ってられない。何度も言っているからしつこく言いたくない。とにかく言うのが面倒臭い……「『やって』と指示を出すことでやってくれるのもうれしいけど、指示せずともやってくれたらもっとうれしい」という考えもあるようです。言いたいことは理解できますが、それによってコミュニケーションが成り立たない、してほしいことをしてもらえない、そして関係が壊れてしまう、そうなってしまったら本末転倒というものです。どうやらその「関係が壊れる」を「動いてくれない相手のせいにしてしまいがち」なのが、このやり取りの厄介なところのようです。われわれ人間には言葉が使えます。言葉を使わずともコミュニケーションができれば、もちろん便利です。しかし実際のところ人間は、言葉を全く使わずにはコミュニケーションできないのが現状です。
「指示を出してくれない」という悩みへの対策
「空気が読めない」「次にやる仕事が分からない」。それはアスペルガーやASDの特性だとも言われています。「指示を出してくれれば動ける」はずなのに「指示を出してくれない」。それは「指示待ち人間」側の悩みです。
しかし自分はもう、この「指示を出してくれない」に、ある程度の諦めをつけました。「何をすればいいですか?」と自ら尋ね、確認します。ただ「何をすればいいですか?」と聞いてばかりでは「そんなことも分からないのか」「前にも言っただろう」「自分で考えろ」などと返されることもあるので「何をすればいいですか?」と聞く回数を減らすために、何をすればいいか自分で判断できるよう、判断材料を経験で感じとっていくしかありません。
指示を出されれば、それに関係する「起こりうる問題」について考えます。「すぐに終わらせてね」と言われれば「すぐとは具体的にどのくらいの時間?」という疑問を思い浮かべ「どのくらいですか?10分程度でよろしいですか?」とその疑問をその場で投げかけます。これが自分が辿り着いた「コミュニケーション」です。「具体的な指示」を出されない場合、自分で「今出された指示に従って自分が動いたら、この先どうなるか」を先読みする能力が必要です。もちろん、その能力を使っても上手く行かないこともありますが……
おわりに
溜まりに溜まったストレスが、ほんのちょっとのきっかけで爆発する現象を「コップに少しずつ溜まった水がすれすれになれば、一滴増えただけで溢れだす」と表現します。お互いにストレスをぶつけないようにするためにも、自分のコップにどれくらい水が溜まっているか定期的に確認し、ある程度溜まっていれば少しずつ捨てていく。そのような習慣をつけたいものです。
参考文献
発達障害