博報堂が「エモテクJAPAN」を発足、ボタン型スピーカー「Pechat」の新モデルを販売開始
暮らし 発達障害株式会社博報堂(東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の新規事業推進組織「ミライの事業室」は、 人間と対話するサービスインターフェースを「エージェント」としたうえで、人がこれと心を通わせる技術やノウハウを「エモテク」と命名し、新プロジェクト「エモテクJAPAN」を発足しました。
さらに、ボタン型スピーカー「Pechat(ペチャット)」をリニューアルした新モデルの販売が始まりました。ぬいぐるみにセットすることで、あたかもぬいぐるみから声が出ているように使うことができ、これが発達障害児とのコミュニケーションに役立つと評価されています。
業界を横断する新プロジェクト
「エージェント」と定義される、人間どうしの対話をサポートするツールの数々は、今後もニーズを増やしていくとされています。その反面、技術だけでの発展は難しく、目を惹くデザインや市場へ出すマーケティングといった要素にも気を配らなくてはなりません。
ゆえに、業界横断プロジェクトとして「エモテクJAPAN」は立ち上がりました。ロボットやAIや音声コンテンツだけでなく、マーケティングなどの別分野も参入し、「エージェント」の発展と普及を目指します。今後も参加企業を広く募って増やしていく予定です。
Pechat(ペチャット)について
「エモテクJAPAN」の一環として、博報堂はボタン型スピーカー「Pechat(ペチャット)」をリニューアルし新モデルとしての販売を始めました。ペチャットはぬいぐるみに装着することで、あたかもぬいぐるみが喋っているかのような演出をする、小学校低学年までを対象とした育児グッズです。
ペチャットには多くのシチュエーションに合わせ、3,000種類以上のセリフと読み聞かせ用の歌や朗読20種が収録されています。情操教育から寝かしつけまで様々な目的に応じて適切なセリフを喋らせるようにして使います。操作はスマホ用の専用アプリから遠隔で出来るようになっています。
また、月額プランとして「ほぼ自動おしゃべりモード」も搭載されています。子どもの発話を自動認識し、それに合わせたセリフを喋ってくれます。こちらはクイズと雑談ができ、子どもの話し具合に応じてペチャット側が相槌を打ったり自分から話したりと対応を変えることもあります。
ペチャットがコミュニケーションを円滑に
発達障害を持つ児童にとって、コミュニケーションの助けになるツールは有用なものです。その一つとして「ペチャット」は療育の観点から好ましい評価を受けています。
リニューアル前のペチャットを売っていた頃、「発達ナビ」のスタッフがその有用性を説いたことで共同調査が行われました。中でも「好きなぬいぐるみが喋ってくれる」という特性が響き、保護者や先生の代わりに指示してくれたり対人コミュニケーションの練習に活用出来たりと療育の新たな可能性が拓けたようです。
続くASDの児童120人を対象としたモニタリングでは、「一方的に喋り続けていたのが、ぬいぐるみからの返事を待てるようになった」「声に出す表現に乏しかったのが、ペチャットを通じて言葉を活用するようになった」と好意的な感想が述べられました。他にも「ペチャットは優しい言葉遣いなので、影響されて子どもの言葉遣いも和らいだ」という意外な効果や、「既にスマートスピーカーがあるので効果が薄かった」という不満の声もあります。
モニタリングした家庭に追加でアンケート調査を実施すると、「子どもの視線や発声に良い変化が出た」と言える結果が出たほか、保護者の方からも子どもとの関わりが楽しくなったという効果まで示唆されました。互いにコミュニケーションが楽しくなったというのは想定以上の良い変化と言えそうです。
旧型の時点でこれほど療育への効果が出ているわけですから、様々な新機能が導入されたリニューアル機の効果にもより相応の期待が持てます。コミュニケーションの苦手を少しでも改善するツールとして頼ってみてはいかがでしょうか。
参考サイト
Pechat(ペチャット)|ぬいぐるみをおしゃべりにするボタン
https://pechat.jp
教えて!はったつ博士|ASD(自閉スペクトラム症)のリアルと子育てのヒント
https://h-hakase.jp