保育から考える大人の発達障害の対処法(後編)~5領域「環境」「言葉」「表現」を参考に

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出典:Photo by Leo Rivas on Unsplash

◀過去の記事:保育から学ぶ大人の発達障害の対処法(前編)~5領域「健康」「人間関係」を参考に

私は大学を卒業後ADHDと診断され、職場にもADHDであることを開示し、配慮を受けながら3年間保育士として働きました。

前回のコラムでは、5領域についての解説と、そのうち「健康」「人間関係」の視点から発達障害の悩みの対処法をお伝えしました。

後編の本コラムでは「環境」「言葉」「表現」の視点から考える発達障害の対処法について紹介します。

「環境」を整理する

5領域の3つ目は「環境」です。環境は、子どもが関わることすべての物事になるのですが、大きく分けると3つあります。1つ目は、おもちゃや絵本、生活に合った導線などの「物的環境」。2つ目は、保育者や友達などの「人的環境」。3つ目は砂や水といって自然のものや通っている保育所など「自然・社会環境」。どれも大切な環境です。

突然ですが、私の部屋は嵐が過ぎ去ったようにぐちゃぐちゃです(笑)優先順位をつけられないので、いろいろな書類が机の上に散らばり、使っていない筆箱がほったらかしで足が引っかかって、こけそうになるなんてことも日常茶飯事です。

これらを少しでも改善するために考えた対処法は、考えずに置く場所をつくることです。例えば、郵便物。明らかに必要ない広告は玄関に置いてある紙袋に捨てます。部屋に入ってすぐにキーフックに鍵をおき、カバンもカゴに置く、といったように仕組化しています。

洗濯物を畳むのが苦手なので、ハンガーにかけたままクローゼットにしまうことで、その作業を減らしました。紙類は、タイマーと紙袋を用意して一気に集中して片づけるようにしています。タイマーを活用することで、判断する時間を短くする効果があります。

このように苦手な優先順位をつけることも、流れでおこなうようにすれば、考えながら片づける時間を減らすことができます。また、優先順位をつけなければいけない作業では「20秒以内にできるか」を考えます。できることはすぐに行動、短時間でできないことは「やることリスト」にメモをしておくことで、後日思い出したときに取り掛かるようにしています。

「言葉」で伝える前に

4つ目は「言葉」です。子どもたちが言葉を覚えていくスピードは本当に早いです。会話は難しくても、話をよく聞いていて大人の言葉を理解しています。個人差はありますが、どの子も必ず行動や言葉で発信してくれます。

さて、私の言葉においての課題は言葉遣いです。ある日、どうしても人手がほしい時にたまたま通りがかった先生にお願いする場面がありました。子どもを見ながら焦って出た声のかけ方が「今暇ですか!?」という失礼極まりないものでした。

この言葉遣いにおけるADHDの特性は衝動性です。思ったことを、相手の気持ちに配慮せず衝動的に発言してしまうことで、トラブルになってしまいます。

私なりの言葉遣いについての対処法は、人に指摘してもらうことです。どれだけ自分が気をつけて話をしたつもりでも、間違った言葉遣いで相手を不快にさせてしまうことはあります。

そのため、会話が終わったあとに「私の話し方の中で、失礼な言葉遣いはありませんでしたか?」と確認するようにしています。自分が気づいていない言葉遣いやマナーを指摘してもらうことで、今後に活かすことができます。

「表現」で心は豊かになる

5つ目は「表現」です。子どもたちは十人十色で歌、お絵描き、工作などで表現を楽しみます。人前で披露することが楽しい子もいれば、1人で黙々と没頭し取り組む子もいます。大人はそれを見守り、その子らしい表現を充分にだせるように環境を整えるのです。

私の表現活動はぬり絵です。けれども「好きな色を選ぶ」「好きな場所を塗る」という、色の優先順位を決めること、正解が決まっていないあいまいなぬり絵は得意ではありません。

そこで見つけたのが「パズルぬり絵」。数字に沿った色をぬっていくと絵が浮かび上がります。ぬることが多いです。耳からの情報だけに集中することができるので、私はYouTube動画を流しながらぬることが多いです。頭の体操になり、気分もスッキリするのでおススメです。

まとめ

後編では5領域についての解説と「環境」「言葉」「表現」からみる発達障害の対処法について考えてきました。

私が実践している工夫はあくまでひとつの事例であり、正解ではありません。

本コラムが参考になり、読者のみなさんの生活が少しでもお役に立てれば幸いです。

参考文献

【厚生労働省 保育所保育指針解説】
https://www.mhlw.go.jp/index.html

【保育士バンク! 保育の5領域を徹底解説!ねらいと内容、遊びの具体例】
https://https://www.hoikushibank.com

 

風鈴

風鈴

大学卒業後、ADHDの診断を受けたあと就職。3年後退職し、現在は自分と向き合いながら就労移行支援に通所しています。
好きなものは文房具。雑貨屋さんでうろうろしていると2時間経ってることもあります。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

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