ストレスとオキシトシン
暮らし出典:Photo by Eric Ward on Unsplash
発達障害は対人関係のつまずきなどから、ストレスを感じやすいとされています。人づきあいや仕事の重圧だけでなく、天気や寒暖差、騒音などあらゆる外的刺激を受け取って疲労するケースがあるのです。
さて、ストレスを軽減する方法のひとつとして「オキシトシン」というホルモンが有効とされているのはご存知でしょうか。今回はオキシトシンの効果とその出し方について紹介します。
オキシトシンとは
オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれ、幸福感をもたらしてくれるホルモンとして知られています。人とのふれあいによって分泌されやすく、不安や恐怖をやわらげる作用があるといいます。また、他者への信頼感と親密度が増すとも考えられ、社交性を高める効果が期待されます。
精神を安定させる働きをもつセロトニンの分泌も促すため、ストレスを感じたときには積極的に増やしたいホルモンです。
オキシトシンの出し方
オキシトシンを分泌させる方法はいくつかありますが、今回は3つ紹介します。
1つめは、会話や共同作業、マッサージなどの「ふれあい」。人相手だけではなく、動物でも問題ありません。誰かのために行動するとより多く分泌されるという特徴があり、人に親切にするなどの「与える」行為も効果的です。
2つめは、ふかふかの毛布やぬいぐるみなど「やわらかいものを触ること」。ゆっくり優しく撫で、生地の感触を味わうとオキシトシンが増えるとされています。
3つめは「好きなものを見ること」。コロナ禍でコミュニケーションの場はぐっと減りましたが、実際にふれあえなくてもオキシトシンは増えます。画像や動画を見て「かわいい」「愛おしい」という気持ちが起きるだけで、幸福感に繋がるのです。
オキシトシンの活用例
私のおすすめは「好きなものを見ること」です。疲れきって動けないときでもなにかを見ることはできますし、自分のタイミングでおこなえるからです。
忙しさに心がささくれ立ったり、先のことをくよくよ考え込んでしまったりすることがあるのですが、そのときには「特効薬」として動物の動画や画像を見るようにしています。動物たちがイキイキと走ったりひたすら寝たり、そんなシンプルな内容であっても心の中が温かい気持ちで満たされていきます。そうして幸福感で満たされているうちにストレスから切り離され、気持ちの余裕が戻ってくるのです。
さらに、スマートフォンのロック画面にかわいいものの画像を設定しておくと便利です。私は発達障害の特性によってネガティブな気持ちを切り替えるのが苦手です。しかし、ロック画面は頻繁に目にする場所なので、自然と区切りをつけることができます。
好きなものを見ることはどこでもできます。また、媒体を問わず「好き」「かわいい」と感じることができればよいため、紙でもデジタルでも問題ありません。通勤電車でも休憩中でも、手軽かつスピーディーに癒し効果を得られるところが利点です。
ストレス社会を上手に生きよう
オキシトシンは今でも研究が続けられていて、全容はまだわかっていません。
しかし、ストレス耐性を高めることや他者との絆を育むための、重要な物質と考えられています。
コミュニケーションや皮膚刺激、また「好きなものを見るだけ」など、さまざまな方法でオキシトシンの分泌を促すことができます。ご自身に合うものから日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献
【「タッチケアで絆を育む」…安らぎの物質オキシトシン 公益財団法人 母子健康協会】
https://jp.glico.com/boshi/index.htm
【セロトニン e-ヘルスネット】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
【ココロとカラダに幸せホルモンのご褒美を 分泌に大事な食事や腸について知ろう 朝日新聞Reライフnet】
https://www.asahi.com/relife
【自己肯定感も高まる! 癒しだけじゃない「アニマルセラピー」の効果 ママテナ】
https://mama.smt.docomo.ne.jp
【オキシトシンの作用と社会的行動 冬城産婦人科医院】
https://www.fuyukilc.or.jp