発達障害に役立つリフレーミング〜どんな物事にも必ずプラスの面がある!
暮らし 発達障害リフレーミングとは、「物事を見る枠組み (frame) を変え、別の枠組みで同じ物事への印象や意味を捉え直す (re-frame)」ことです。どんな物事も中立で、コインに裏表があるように、マイナスの面とプラスの面があります。そのプラスの面に目を向けようとするのがリフレーミングです。今回は、私が実際に就労移行支援事業所で行ったリフレーミングの例を通して、皆さんにリフレーミングをご紹介したいと思います。
リフレーミングとは何か?
リフレーミングとは、心理学用語で、「物事を見る枠組み (frame) を変えて、同じ物事を別の枠組みで見直してみる (re-frame)」ことです。
ここで重要なのは、物事は中立で、その物事に意味づけをするのが、その人の心理的枠組み (frame) だということです。つまり、リフレーミングとは、心理的枠組み (frame) によって、人や物事への印象や意味を変化させ、理想に向かえる有効な状態にしていくことだと言えます。
短所は長所でもある!
「物事は中立である」ということは、私たちの性格についても当てはまります。それ故に、一見短所としか思えないような性格もリフレーミングをすれば長所に変わります!私もこの性格のリフレーミングを今通っている就労移行支援事業所に体験入所した時に初めて知ったのですが、「こういう考え方をすればいいのか!」と目から鱗が落ちました。
以下に、その例をご紹介します。
・優柔不断→慎重
・八方美人→誰とでも仲良くなれる、協調性がある
・頑固→決して諦めない
・おせっかい→面倒見が良い
・気が弱い→優しい
・心配性→用心深い
・オタクっぽい→好みに一貫性がある、知識が深い
・ケチ→物を大切にする、経済的に考える
・口下手→聞き上手
・飽きっぽい→好奇心旺盛
・意志が弱い→柔軟性がある
・計画性がない→臨機応変
・暗い→落ち着いている
・こだわる→信念がある
・太り気味→貫禄がある
などのように、短所と長所は表裏一体ですので、皆さんも短所だと思う性格が思いついたら、リフレーミングをして長所に変えてみてください!
状況のリフレーミング
リフレーミングには二種類の方法があります。一つ目の方法は、「他に役立つ状況を考える」ことです。これを、「状況のリフレーミング」と言います。
例えば、元気のいい後輩が、大切なプレゼンテーションでやや調子づいて話してしまい、結果的にプレゼンが失敗して落ち込んでいるとしましょう。
「元気よく調子づいて話す」ことが、他に役立つ状況を考えてみます。
・お客さんを接待する時なら、すごく盛り上がりそうでいいな
・一緒にお酒を飲みに行ったら楽しいだろうな
という具合です。
内容のリフレーミング
二つ目の方法は、その状況に「他にどんなプラスの意味や価値があるかを考える」ことです。これを、「内容のリフレーミング」と言います。
先ほど例に挙げた後輩の場合だと、
・それだけ聴いている人に一生懸命伝えようとした証拠だよ
・聴いている人に熱意は伝わったはずだよ
・今回の失敗を糧にすれば、次のプレゼンは成功させられるよ
という具合です。
私のケースをリフレーミングしてみると・・・
私には、相手の言うことが聞き取れなかった時に、語尾を上げて「はい?」と聞き返す癖があります。そして、その癖を見抜いた就労移行支援事業所のスタッフから直すように厳しく言われているのですが、最初のうちは「そんな細かいところまで直せと言うなんて厳しすぎる!」と腹を立てていました。この場合、リフレーミングすべきことは、
①相手の言うことが聞き取れなかった時に「はい?」と聞き返す癖が本当に悪い癖なのか?
②「はい?」と聞き返す癖を直すように厳しく言うスタッフは、私に腹を立たせようと思って言っているのか?
という二つです。この場合、どちらも「内容のリフレーミング」が必要なケースです。
まず、①から考えてみましょう。相手の言うことが聞き取れなかった時に「はい?」と聞き返す癖の悪い点は、以前のコラム(「発達障害がある人が知っておくべきビジネスマナー」)でお伝えしましたように「ビジネスマナー上、好ましくない」ということです。複数のスタッフがこの癖を直すように厳しく言う理由はこのためです。
しかし、私はこの癖にも良い点があると考えています。それは、「聞き取れなかったことを分からないままにせず、即座に確認しようとする姿勢」です。私には、聞き取れなかったことに限らず、分からないことを分からないままにしておけず、疑問点をその場で解決しないと気が済まない性格があります。そして、スタッフは私のこの性格を直せと言っているわけではないのです。そう考えると、この癖を直す対策として、相手の言うことが聞き取れなかった時には、少し間を置いた後、「もう一度仰って頂けませんでしょうか?」と落ち着いて聞き返すことが思いつきます。
次に②ですが、スタッフは「ビジネスマナー上、好ましくない癖を私が職場で出すと、私が上司や先輩社員に嫌な思いをさせ、職場での立場が悪くなったり信用を失ったりするので、今のうちにその癖を直した方が良い」という気持ちで言っているのです。最初のうちは、そんなビジネスマナーがあるなんて思ってもみませんでしたので、「そんな細かいことまで!」と腹を立てていましたが、前出のコラム(「発達障害がある人が知っておくべきビジネスマナー」)を書く時にインターネットでこのビジネスマナーを知り、「スタッフは皆、社会人として働いていて、ビジネスマナーを知っているからこそ、私に直せと言い続けているのだな」と納得できました。
ネガティブな状況に置かれた時に、「(その状況)のおかげで頑張る気になった」、「(その状況)だからこそ気づけることがあった」と考えることが、リフレーミング上達の最短距離です。
どんどんリフレーミングをしてみよう!
私はこれまで両親や主治医の先生から「プラス思考」の重要性は聞かされていましたが、リフレーミングというプラス思考を持つための方法は就労移行支援事業所に通うようになるまでは知りませんでした。私の通っている就労移行支援事業所では、朝礼で3分間スピーチを当番制で行うことになっています。これは今年の5月から取り入れられることになっていたのですが、それを聞いた私は「人前で3分もスピーチするなんて出来るだろうか?絶対、緊張して原稿の棒読みになってしまうぞ!」と思い、不安になりました。
しかし、5月に2回スピーチをした後、要領がつかめたからか、「3分間スピーチで度胸をつけてみよう!」と思えるようになりました。そして、そのことを他の利用者の人に言うと、「それ、いいリフレーミング!」という答えが返ってきました。
発達障害者の人はその障害特性から、社会に出た後、困難に直面したり、失敗したりして落ち込むことが少なくないでしょう。そんな時に、その困難や失敗をリフレーミングしてほしいのです!「どんな物事にも必ずプラスの面がある」というのが、リフレーミングの大前提です。皆さんも、日常生活で起こる嫌な出来事をどんどんリフレーミングしてみてくださいネ!
参考文献
竹内義晴、「リフレーミング—大切な人を励ます言葉の作り方|NLP|特定非営利活動法人 しごとのみらい」 https://shigotonomirai.com
「【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例|NLP・心理学|Life &Mind+−自分を高めて人生を120%楽しむ」 https://life-and-mind.com
「頑固でも言い換えると長所に?素直は反対の意味でも両立可!|未分類|どうせ生きるなら光でありたい」 http://lightworking.mobi
発達障害