「聴覚障害」は情報を得にくいコミュニケーションの障害です
聴覚障害とは?
聴覚障害とは、音声情報を脳に送る外耳、中耳、内耳、聴神経などに障害があるために、聞こえにくい状態や聞こえなくなっている状態のことをいいます。「音量が小さくなったようになり、聞き取りにくくなる」「音は聞き取れるが内容が聞き分けにくくなる」「補聴器をつけても音声がほとんど聞き取れなくなる」など、聞こえかたの程度はさまざまです。補聴器等の装用によってある程度音声を聞き取れる人であっても、周囲に雑音がある場所では、話が通じにくくなります。マイクを通した音声、テレビや動画の音声は、肉声に比べて聞きにくくなります。
また、聴覚障害者にとっては、聞きとりやすい話し方と聞きとりにくい話し方があります。モグモグした話し方は話が通じにくくなってしまいます。聴覚障害の多くを占める外耳・中耳に障害による「感音性難聴」の場合はとくに、音声情報を「音」としては認識していても、「言葉」として正確に内容を聞き取ることが難しく、1対1では通じても、グループとなると、どこで誰が何を話しているのか、把握することが非常に困難になります。
聴覚障害者のコミュニケーション
聴覚障害は外見上わかりにくく、その人が抱えている困難も、他の人から気づかれにくい障害です。また、聴覚障害はコミュニケーション障害であるともいわれます。聴覚障害者のコミュニケーション方法は、聴覚障害の種類や程度のみならず、聴覚障害が生じた時期や、教育歴などによって、一人ひとり異なります。聴覚障害者のコミュニケーション方法には、手話、筆談、口話、聴覚活用などさまざまな方法があります。聴覚障害者の多くは話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせて使い分けています。しかし、だれもが声を使って話したり聞いたりする環境では、聴覚障害者は、周囲にあわせ、音声でのコミュニケーションを強いられることが少なくありません。周りの雰囲気に合わせて、わかったふりをせざるを得ないということもしばしば生じます。また、筆談を求めるのは、聴覚障害者の能力や努力の不足と見なされることがあります。周囲の方は、聴覚障害者は、一人ひとり、聞こえ方も、コミュニケーションのしかたも、現在までの経験も異なっていることをふまえ、まずは聞こえない・聞こえにくい本人から、その置かれている状況を聞いて理解するようこころがけましょう。
コミュニケーションをうまくとるために
聴覚障害者の周囲の人はうまくコミュニケーションをとるために下記のことをこころがけるとよいでしょう。
・音声だけでなく視覚的な情報も合せて話す。
・複数の人がいる場合、話す前に手をあげて、自分の名前を言うようにする。
・早口にならないようにする。
・文節で区切りながら、はっきり、ゆっくりと話す。
・できるだけ向かい合った状態で、相手が自分の顔を見ているか確認しながらコミュニケーションをとる。
・明るいところで話す。
(筆談では)
・濃く、はっきりした読みやすい文字で書く。
・長文は避け、要点を手短に、わかりやすく書く。
・省略、要約は避けて、もとの言葉の意味・内容に忠実に書く。
聴覚障害をもつ方は、情報が入りにくいため、「社会性が欠けている」とか「空気が読めない」とか誤解されがちです。聴覚障害をもたない方は、聴覚障害をもつ方にわかりすく伝える工夫をし、聴覚障害をもつ方は、自分の気持ちを遠慮せず伝える姿勢が大切です。聴覚障害をもつ方は、聴覚障害をもたない方がお互いに理解し合いコミュニケーションをとることで、信頼関係をつくることができるでしょう。
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