大人の発達障害〜私が障害を理解したワケ

発達障害

unsplash-logo Jenny Hill

近年は発達障害という言葉が様々なメディアで取り上げられ、知名度が上がってきています。私も幼少期から自分に対して違和感を持ちながらも障害の発覚には至らず、働き始めてようやく自身の発達障害を認知するに至りました。このコラムでは私がどのように自身の障害を認知するに至ったかをお話したいと思います。

増えていく分からない

幼少期、特に小学生・中学生の頃はどんどん分からない事が募って行きました。その分からないは特に人と関わるほどに大きくなっていきました。人が自分に対して怒る、笑うことがなぜそうなるのかがとても分からないのです。先生に指されて返事をするだけで笑いが起きる、体育で走っているだけでくすくす笑われる、友人と話をしていたら後で怒っていたことが分かる、このような経験の連続でした。理由があって怒られる、笑われるのならば当然のことだと思っていましたが、自分では理由が思い当たらない。今、思い返せば発達障害の特徴そのものだと気づきますが、その当時は勉学に問題は無く、コミュニケーションが取れない訳でも無かったため、自分は変わり者で周囲からは変わって見えるのだろうという認識までしか至りませんでした。

模倣で過ごす高校・大学生活

小学生・中学生の頃は変わった人間でも周囲にいじられる形で人との関わりがありました。それが、高校生になると変わり者はあまり関わらないようにされてしまい、クラスからはみ出した形になりました。自分ではそれを仕方ないものと受け入れながらもとてもさびしく、孤独感を感じておりました。そしてこのままでは社会の一員になれないのではと不安を感じた自分が選択したのは人の行動を模倣するということでした。

社会からはみ出さないためには自分の行動を周囲の人に合わせなければと感じ、私はその為の方法を人の行動をまねすることに求めました。他の人と同じ行動を取っていれば、きっと間違いないはずだと思っておりました。ただ、その行動は自分の考え方が変わったわけではなく、社会で生きていくための処世術の様なものでした。考え方を変える事は出来なくても、人との関わり方が上手でなくても、行動さえ合わせられれば問題なく生きていけるはずだとその時は思っておりました。

大学生になった際には、サークル活動(卓球)を行ったりしました。サークル活動はある程度趣味、嗜好が近い人が集まっている集団でしたので、高校生の頃に抱いていた孤独感から解放されてこれで大丈夫だと思うようになりました。今思えば、この時に閉じた人間関係だけにこだわらずもっと広く自分を他人を知るということをしていなかったことが就職後のミスにつながったと感じます。

模倣の限界、そして診断へ

そして、就職活動では公務員試験に落ち続けるという挫折を味わいながらも何とか一般企業の就職にこぎつける事は出来ました。ですが、これまでの学生生活と社会人としての生活は求められることの違いが大きく、理解が遅かったり、対応できない事が増えていきました。特に、コミュニケーション上での齟齬が大きく、期日を明確にされていなかった業務を放置して怒られたり、顧客からの電話などで確認すべきことが全くできていないと怒られたりしました。言われてないことはしない、放置するという行動はそれまでの言われた通りのことだけすれば良いという環境とは大きく異なり、私は環境の変化に対応できませんでした。人の行動をまねするばかりでその行動の意味が理解できていなかったが故の限界でした。そして、それらの叱責が続き、精神的にも落ち込んでさらにミスをするという悪循環に陥ってしまい、ようやく自分が何かの異常があるのではないかと考え、発達障害の発覚に繋がりました。

診断を受けて初めに思ったことは子どもの頃から感じていた違和感、自分に対する疑問に対する答えの一つが見つかったことに対する安堵感でした。障害があるということはショックなことではありますが、自分にとっては今の苦しみに対してできる事が明確になったことは喜びでもありました。

新たな道の模索

私は今、仕事を止め発達障害者向けの就労移行施設に通っています。自分が何をしたいのか、将来どうなりたいのかを改めて考える時間として日々活動中です。この年になってそんなことしていいのかと思い悩んでしまうこともありますが、かつて自分の考えを伝えずふたをして生きてきたことを振り返り、今の自分を受け入れつつ出来ない事・できる事を正しく理解しようと努めております。

過去を振り返ってみて思うことは日々の違和感に対してそこに向き合わなかったことがまずかったと感じます。今もまだ自分と向き合い自分を理解する途上にありますが障害の発覚はそのきっかけになりました。自分の障害を知ること、自分の障害と向き合うことは人生にとって必ずプラスになることだと思います。このコラムが同じような悩みを持つ人のきっかけになってくれればと思います。

日々適当

日々適当

自閉症スペクトラムの20代男性です。いろんなことに毎日悩みながら人生を生きる上でのいい塩梅を模索中。趣味はゲーム。

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