人と関わることで始まる自己分析~無意識の壁が生み出す「生きづらさ」の理由
発達障害 パニック障害・不安障害出典:Photo by Sam Moqadam on Unsplash
私は絵を描くことが好きで、学生時代も周囲の人間から褒められる唯一の特技でした。高校生の時「将来は漫画家になる」と意気込み、もうこれしか自分にはないと、芸術系の大学への進学を決意しました。当時の私は、一度決めたら勢いで突き進む「猪突猛進」傾向が強く出ていたのです。しかし、大学卒業を区切りに私の「暗黒の時代」が幕を開けたのです。
大学卒業後も一般社会で必要とされるスキルを磨いて来なかった私は、1年程フリーランスとして活動していました。そんな生活に将来を見出すことができず、私は「職業訓練」に通うことにしました。
足枷になる「こだわり」
大学を卒業しても社会人経験が無いことに焦燥感を抱いた私は、職業訓練を半年受けることにしましたが、この変化に気持ちが追いつきませんでした。これまで積み重ねてきたスキルに固執し、自尊心を保とうとする。それが将来への反発という感情になり、周囲の人間に対して無意識に心の壁を張ってしまったのです。職業訓練校のとき、先生からは常に「威嚇態勢」になっているといわれていましたが、全く自覚はありませんでした。
自身の感情に目を向けず、がむしゃらに突き進んでも「思い描いていた道」を歩めていない悔しさが、執拗に自身に襲い掛かり、気持ちに摩擦が生じていることは常に感じていました。見切りをつけたはずのことに固執し続ける感情に自分自身、違和感を覚える日々を送っていたのです。
診断名「パニック障害」
職業訓練校を卒業したのち、企業に就職しました。就職した企業は、ワンマン社長のパワハラが原因で、従業員の入れ替わりが激しい企業でした。劣悪な環境の中で体調を壊してしまい、仕事を休みがちになりました。
ある日、就業中に自身にこれまでに経験したことが無い異変を感じました。自身を取り巻く環境、理由のない恐怖に悪寒を覚えました。上司に相談し、その日は帰宅することにしました。ここでもまた異変を感じます。電車の乗車中に酷い恐怖感に襲われ、何度も発作に見舞われたのです。
後日、心療内科に駆け込み、そこで「パニック障害」の診断が下りました。
違和感から閉塞感へ~崩壊する自我
しばらく時がたってパニック障害が治まり、服薬を続けながら社会復帰できました。今度はこれまでの職場選びの失敗を踏まえ、慎重に企業選択し、一般的な社風の企業に勤めることにしました。しかし、就業期間が長くなるにつれ、まかされるタスク量は増加します。頑張るほど自身のキャパシティを超過してしまい、周囲から心配されることが度々ありました。私にとって「タスク管理」が人並み以上に苦手であることが顕著に出てしまったのです。
「精一杯頑張っているのに何故か人並みの結果すら出せない」理由の分からない違和感や劣等感が負のスパイラルを生み出し、無意識に「閉塞感」に支配されていきました。上司やスタッフと認識が一致しない中「自分は何か病気じゃないか?」と積もる負の感情が自己不信感を助長し、これまでの自分が崩壊していくような感覚を覚えました。やがて、企業側からの信用を失った私は退職することになりました。
診断名「発達障害」
その後、通院していた心療内科の先生に、自身が抱く違和感やこれまでのつまずきを相談したところ、そこで初めて「発達障害」という診断が下りました。いわゆる「健常者」として生きてきた私は、複雑な気持ちになってしまいました。一方でこれまで感じてきた、社会生活での「生きづらさ」の理由がわかり、必要以上に自分を責めることはなくなりました。
発信から分かった~違和感の「理由」
他者とのコミュニケーションの中で生まれる「認識の齟齬」や「タスク管理の中で発生する予測や見積もりのズレ」「同時並行作業が出来ない」という、違和感の「理由」にたどり着くことが出来ました。私自身、社会生活を送らなければ「発達障害」について、恐らく気づいていなかったと思います。
自分が無意識が発するSOSに耳を傾けることが「見えない障害」と上手く付き合っていくうえで、大切なのだと思います。
参考文献
【医療法人和楽会 大人の発達障害とは?】
https://www.fuanclinic.com
【ハートネット・福祉情報総合サイト そもそも「発達障害」って?】
https://www.nhk.or.jp/heart-net/
【労働問題弁護士ナビ|パワハラの定義とは 6つの種類と具体例・裁判例の判断基準付き】
https://roudou-pro.com/
発達障害 パニック障害・不安障害