原発事故が起きたら障害者はどう避難する?大阪でシンポジウム
3月27日、大阪でシンポジウム「原発災害と障害者」が開催されました。
今回のシンポジウムは、昨年までに鹿児島、島根、鳥取、青森、福井で行われた「障害のある人といっしょに考える防災ワークショップ」の最終報告会として行われました。この防災ワークショップは福島の障害者らが「タケダいのちとくらしの再生プログラム」の事業として開催されてきました。震災での障害者の死亡率は全住民の約2倍とされ、「生きにくさ」は災害によって増幅してあぶり出されます。障害者にとって「より早く」「より遠く」「より高く」避難することが課題で、継続して障害者の防災について一緒に考えて行動していくことを呼びかけられました。
-
主催する「障害者防災出前講座実行委員会」のメンバーである認定NPO「ゆめ風基金」は、阪神大震災があった1995年に被災した障害者を支援するため永六輔さんと小室等さんらが呼びかけて設立されました。
-
南相馬市のNPOさぽーとセンターぴあ代表の青田さんは「ほとんどの障害者や高齢者は南相馬に帰ってきたが、介助者・支援員は半分以上が辞めてしまった。未経験の支援者が多数になり、今まで支えてきた経験者の負担が増えて崩壊寸前の所も多くて不安。」と現場の切迫した現状を話されました。
-
名古屋市のわだちコンピューターハウス所長の水谷さんは、防災ワークショップで行った「クロスロードゲーム」について説明されました。「クロスロード」は、岐路を意味し、災害時にどう対応するかYESかNOの2択で考えるゲームです。どちらが正解という訳でなく、多様な考え方を知ることが目的です。災害リスクの低減に役立てるのがねらいです。
-
東京都の自立生活センターSTEPえどがわの今村さんは、ドイツでのエコ活動の視察について報告されました。ドイツでは持続可能な社会を構築するための新しい取り組みが住民主導で行われています。今村さんは「日本でも人優先ではなく、持続可能な社会を考えていくことが必要である。」と提言されました。
-
福島に現在住んでいる障害当事者の設楽さんは、うつ病になりながら苦しい生活を送っている現状を伝え、「人口の少ない場所に原発をつくるのは差別。人権が希薄になっている。」と訴えました。
-
田村市市民ネット代表世話人の鈴木さんは、映像を交えて福島の現状を報告されました。「フレコンバック」とよばれる除染廃棄物の黒い袋があちこちに置かれたままで、その数は900万袋を超えています。たくさんの子どもたちが甲状腺がんで苦しんでいる問題も深刻です。こうした現実をもっと国民に伝え、国民全体で危機意識をもってしっかり考えていくことが必要です。