セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜
「何のレッテルもない、あなたとわたし」(セコラム!第16回)
『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.16 <毎月25日連載>
こんにちは。世古口です。
大切な友人から素敵なおはなしを聞きました。彼女はスーパーで働いています。もちろん多様な方々が来店し、欲しいものを購入しています。そこには、年代の差がないし、性別の差もないし、障害がある・ないの差も関係ありません。
よく来店されるお客さんに、
目が見えない方がいらっしゃいます。
最初のうちは、彼が自分自身でかごを持ち、店員に対して「たまごはどこにあるの」「おにぎりは何の具材がありますか」と質問をしながら買い物をしていました。
彼女が何回か彼の対応をするにつれ、商品の場所を教えることから商品の場所まで誘導することに変化してきました。
彼の手を彼女の腕に携えさせ、歩幅を合わせてゆっくりと歩きます。彼はいままで以上にスムーズに買い物をすることができました。
行為だけではなく呼び名も同様に変化してきました。はじめのうちは「店員さん」と呼んでいましたが「田中(仮)さん」と、そして「みなみ(仮)ちゃん」と変わってきました。いまでは来店するやいなや「みなみちゃん、いる?」と気兼ねなく声を掛け、彼女とおはなしすることを楽しみに来店するようになりました。
彼と彼女の関係性が変わってくるなかで、「目が見えなくても、生きやすい社会」がその瞬間につくられただろうと思います。こんな些細な1つひとつの変化が「障害にまつわる常識の再構築」をし、「障害があってもなくても生きやすい社会」へとつながっていくのではないだろうか。何のレッテルもない、あなたとわたしへとなりますように。