「自分の生きる、歩む道探し」 佐久間勇人の2018年自由日記 vol.11
『佐久間勇人の2018年自由日記 』vol.11 <毎月30日連載>
私の症状はこの先、どのようなスピードで進行していくかはわからない。
確実に1年前よりも、1か月前よりも、運動機能が失われている。
焦る気持ちもある。
俺は何をやりたかったんだろう、この先何をしたいんだろうと気持ちが立ち止まってしまう。
これで良いのかな。
とてもとても不安になるけれど、目の前のことに精一杯、全力で自分の出来ることをやってみる。
よし、それで良いのだ。
そう言い聞かせるしかないじゃないか。
平成30年10月末日
私は、埼玉にある大学で特別講義をする機会を頂いた。
午前の部と午後の部と合わせて2コマだった。
緊張した。大学で講義するような器じゃないし、と思って。
でも私にオファーが来たということは誰かが何かを求めてくれているのだと、魂を込めて講義をした。
知ってもらいたい事、気が付いてほしい事を思いっきり伝えることができたと思う。
まぁ、大学生の反応は鈍かったようにも感じなくもないけれど、彼らの感性は良いと思った、なんて、偉そうなことを思う自分が恥ずかしい気もするけれど。
でも自分の子どものような年頃の学生に話をするということは謙虚な気持ちと多少優越感があった方が説得力は上がる、そう思った。
人生を倍近くは経験しているわけだし、今は普通じゃない状況で、悲しい事も寂しい事も楽しい事も嬉しい事も沢山に経験している分、若者に伝えておかなければならないことがある。
張り切ったしやり切った。
まぁ自分の方が良い経験させてもらった感じかな。
平成30年11月16日金曜日
今度は東京都中央区にある聖路加国際大学の「遺伝をめぐる看護を考える学習会」で講演をした。
遺伝子看護研究室・青木先生からのご紹介だ。
今年初め、私の属する「患者スピーカーバンク」で講演をしたのがきっかけだった。
過去の私にとって、こんな繋がりはありえない出来事で、決して病気になってよかったとは言わないが、病気も捨てたもんじゃない。
貴重な繋がりに感謝し、これからもそうやって生きていかなければならないと心底思った。
とにかく今回の講演では遺伝をめぐる当事者の“生の声”を聞いてもらいたかった。
インターネットで「遺伝」「病名」とかで検索すれば、たくさんの症例が出てくる。
一覧もあるし、内容は一目瞭然なんだけれど、テキストでは分かってもらえないことがある。
そう、情報を提供する学習ではなくて、ライブで私を見て話しを聞いて、そして、考えてもらいたかった。
私や患者達が本当に伝えたい事は何なのか?
こんな思いで日々過ごしており、こんなことを感じているんだということと、
目の前で話をしている人間が実際に羅漢している患者であって、
でも、私もあなたも同じでしょ、ということ。
個人としては「今出来る事を後悔しないように精一杯やる」これを伝え、
貴方の「今出来る事」を実行していってほしい、そう願って話をした。
講演をしてみて、今の自分に出来る事としては100点をあげたい。
話を聞けて良かったと、思ってもらえたら嬉しい。
講演当日、学生時代の後輩が聴講しに来てくれた。
「ありがとう」と伝えた。
「ありがとう」をこんなに多発してもいいのだろうか?と思うほどの「ありがとう」だった。
元来、人は人に恵まれている。
感謝しかない。心底思った。
またこれからも「自分の生きる道」を模索していこう。
それもまた、「今出来る事」だ。
12月初めに日本身体障害者パラ水泳選手権大会が三重県の鈴鹿市で行われる。
今シーズン最後の水泳大会だ。
さぁ、そこに気持ちを切り替えて泳いできます。
この結果は来月2018年最後のvol.12でお伝えします。