発達障害のある人が知っておくべきビジネスマナー
仕事 発達障害一般的に、発達障害のある人はマナーを身に着けるのが難しいと言われています。発達障害のある人には、一般社会で「暗黙の了解」とされていることを理解するのが苦手だという障害特性があるからです。今回は、社会に出る前に知っておくべきビジネスマナーをお辞儀、電話応対、言葉遣い、タブーとなる話題の四つに分けてご紹介し、なぜビジネスマナーを守らなければならないかをお伝えしたいと思います。
正しいお辞儀
お辞儀には「会釈」、「敬礼」、「最敬礼」の三種類があります。
会釈は人とすれ違う時や人の前を通る時に行うお辞儀で、体を下げる角度は15度です。
敬礼は取引先の訪問時や来客の送迎時、接客時に行うお辞儀で、体を下げる角度は30度です。
最敬礼は謝罪する時や感謝の意を示す時、取引先を出迎えたり送ったりする時に行うお辞儀で、体を下げる角度は45度です。
【ポイント】
①礼の始めと終わりに相手と目線を合わせます。
②お辞儀をする時の両手は、男性ならズボンの脇に置き、縫い目に合わせ、女性なら体の前で合わせます。
③体を下げる時よりも、体を起こす時の動作のほうが少しゆっくりしている方がより丁寧なお辞儀に見えます。
電話応対のマナー
①職場での電話応対では、「もしもし」と言わないのがマナーです。
※「もしもし」は家族や友人との私的な電話でのみ使う言葉です。
②電話が鳴ったら、3コール以内に出るのが基本です。3回鳴る前に電話に出られたら、まず社名と部署名を言い、その後で名前を伝えます。3コール以内に出られなかった場合、「大変お待たせいたしました」と前置きを言うのがマナーです。
③相手の声が聞き取れない時は、「申し訳ございませんが、お電話が遠いようなので、もう一度お願いいたします」と言います。相手の言っていることが分からない時に、語尾を上げて「はい?」と聞くのは失礼です。
④担当者が不在の場合、「〇〇はただいま席を外しております(外出中です)」と言うだけでは雑な応対です。担当者が席に戻る予定時刻を伝えたり、「〇〇が戻りましたら折り返しご連絡を差し上げましょうか?」などと尋ねたりし、不在をフォローするのがマナーです。
⑤先方から伝言を承る場合、自社の社員に用件を伝えるメモは5W3Hつまり「when(いつ)」、「where(どこで)」、「who(誰が)」、「why(なぜ)」、「what(何を)」、「how(どのように)」、「how many(どのくらい)」、「how much(いくら)」を分かりやすくまとめたものにしましょう。自社の社員に要点を得ない伝言をしてしまうと、先方が掛け直した時に同じ内容を聞き返すことになり、失礼になります。
⑥相手が電話を切るのを確認してから、自分が切るのが電話応対のマナーです。
正しい言葉遣い
①目上・社外の人に対する言葉遣い
・×すみません→〇申し訳ございません、恐れ入ります
・×なるほど→〇おっしゃる通りです
※「なるほど」は目下の人に使う言葉で、目上の人に使うのは失礼にあたります。
・×了解しました、分かりました→〇かしこまりました、承知いたしました
・×知りません→〇存じません
・×伝えます→〇申し伝えます
・×行きます→〇伺います
・×どうしますか→〇いかがなさいますか
・△ご確認をお願いいたします→〇ご査収ください
・×ご苦労様です→〇お疲れ様です
※「ご苦労様です」は目下の人に使う言葉で、目上の人に使うのは失礼にあたります。
・×お世話さまです→〇お世話になっております
・×よろしかったでしょうか→〇よろしいでしょうか
※「よろしかったでしょうか」は日本語としては完全な間違いではないかもしれませんが、俗に言う「アルバイト言葉」なので、年配の方には不快感を示される場合があります。
②自称→他称(謙譲語→尊敬語)
・私、自分→○○様、あなた様
※「わたし」ではなく「わたくし」と言います。
・弊社、小社、当社、私ども→御社、貴社
※「弊社」、「小社」は謙譲語ですが、「当社」は謙譲語ではなく、社内で自社のことを言うのに使う言葉です。
※話し言葉では「御社」、書き言葉では「貴社」を使います。
・おうかがいする、お訪ねする→お越しになる、ご来社する
※インターネットで「敬語」というワードを検索すると、主要な動詞の尊敬語と謙譲語が書かれたサイトがたくさんヒットしますので、丸暗記するのが良いです。
・考え、私見→ご意見、ご意向
③正しい言葉遣いの例
×「はい、お世話様です。田中社長ですか?いらっしゃいます。少々お待ちください」
→〇「はい、お世話になっております。田中ですか?おります。少々お待ちください」
※自社の人間は役職に関わらず呼び捨てにします。
ビジネスシーンでタブーとなる話題
①政治の話はしてはいけません。
②宗教の話はしてはいけません。
③収入の話はしてはいけません。
④学歴の話はしてはいけません。
⑤家庭問題や家族問題の話はしてはいけません。
⑥不特定多数の人がいる場で仕事の話をしてはいけません。
なぜビジネスマナーを守らなければならないのか
大人社会には暗黙のルールがたくさんあり、それらのルールで社会は成り立っています。ビジネスマナーは上司や先輩社員から教えてもらえるものではありませんし、発達障害がある人には暗黙のルールを理解するのが苦手だという障害特性があります。しかし、ビジネスマナーは知らなかったでは済まされません。ビジネスマナーを守れずに相手に不快な思いをさせてしまうと、自分が社内外で信用されなくなるだけでなく、「あの会社は社員教育がなっていない」ということになり、会社自体が信用を失うことにも繋がります。ビジネスマナーを守らなければならない理由は、何よりも自分を守るためなのです。
インターネットで「ビジネスマナー」というワードを検索すると、基本的なビジネスマナーを紹介しているサイトがたくさんヒットします。このコラムが、皆さんがビジネスマナーを勉強するきっかけになれば嬉しいです。
参考文献
「知らないと恥ずかしい、基本中の基本なビジネスマナー10|News|Men’s Non-no Web」
https://www.mensnonno.jp
「電話応対|ビジネスマナー講座【やさしい仕事のマナー】|グリーンサン企画」
http://www.greensun.jp
「社会人としてダイジョウブ?タブーな言動&行動まとめ|転職コラム|WORKPORT」
https://www.workport.co.jp
「ビジネスシーンでのタブー|誰も教えてくれない暗黙の社会ルール|ビジネスマナー中級編|ビジネスマナーを身につけて評価アップ!|さまざまな場面でのビジネスマナー|社会人が身に付けたい敬語・ビジネスマナー講座」
https://www.levelup99.net
発達障害 自閉症スペクトラム障害(ASD)