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日本の点字ブロックの現状〜誰もが使いやすい点字ブロックに
出典:http://www.photo-ac.com
街中では当たり前に設置されるようになった点字ブロックのお話です。実際に見てみると、途中に物が置いてあったり剥がれていたり、不適切な使用も見受けられたりして、使用する側には様々な問題があります。今回はその点字ブロックについて考察してみたいと思います。
点字ブロックに関すること
ご存知の方も多いかと思いますが、これは日本発祥の視覚障害者のための誘導設備です。正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」といいます。
国内では公共施設や商業施設、歩道や駅などで設置がかなり進んでいます。一方、諸外国ではエスコートゾーンや公共施設では設置されているものの、その有用性や安全性を疑問視する向きもあり、積極的な設置を進めている国は少ないようです。
2012年には国際規格ISO23599が発行されて、国際的に標準化していく動きがあります。
視覚障害者以外にとっての点字ブロック
このJIS規格の点字ブロックは様々なテストなどを経て現在の形ができました。しかし、視覚障害者以外にとって、あまり優しくない部分もあります。
車いすを使用している場合、点字ブロックにホイールが盗られ、移動する時の大きな障害になってしまっています。同様に自転車などでもタイヤが盗られ、転倒する危険性があります。万が一車道側に転倒した場合は非常に危険です。足腰の弱い方は躓いて転倒し、けがをする恐れがあります。雨などで濡れている場合は非常に滑りやすくなります。
海外の点字ブロックはどうなっているでしょうか?海外の例を一部紹介します。
デンマーク
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福祉先進国と言われるデンマークの一例です。
エレベータホールの床です。模様やJISより低い凸凹でエレベータホールであること、エレベータの位置が表現されています。
オーストリア -
こちらの例では溝を利用したりJISより低い凸形状を採用しています。
日本では、JIS規格を基準に靴底で踏んだ時に検知できる最適値が選ばれているのに対し、海外では白杖を使うことを前提にしている地域が多く見受けられ、考え方に違いがあるようです。
近年、ユニバーサルデザイン、バリアフリー、ノーマライゼーションが浸透しつつあります。これからはさらに「だれもが使いやすい」ことを追求していくことが求められています。