茂原の子殺しと一線越えたらアウトと分からない人々
暮らし
Photo by Brian Matangelo on Unsplash
暴れん坊だけど言うべきことはガツンと言ってくれる、それこそかつての「青い芝の会」のような存在が残っていれば今のネット言論も律されていたでしょうか。千葉県茂原市で58歳の母親が、先天性の重度身体障害を持つ29歳の娘を殺害したとして逮捕されたのですが、寝たきりの娘を長年ひとりで介護していたことや親亡き後への不安が動機であったことなどから、犯人の女は悲劇のヒロインとして憐れみを受けています。
「冷水じゃなくてぬるま湯ってのがせめてもの愛情だよね、少しでも苦しまず逝けるように……」
「自分が先に死ねない気持ち、分かるよ……」
「父親は速攻離婚して逃げたんだろうね、可哀想……」
「一人で大変だったよね、長い間お疲れ様……」
「ずっと一人で頑張ったんだから、罪を背負い込む必要はないよ!」
「こういう人こそ無罪にするべきだ」
犯人の女に対する数々のエールに反吐が出ます。越えてはならない一線を越えた「子殺し」として扱うべきところを、被害者が寝たきりの重度身体障害というだけで、善人ぶるにしても大いにズレたコメントが大量発生しています。被害者の存在や人生が背景と同化、下手をすれば親の人生を奪った悪人として見做されていないでしょうか。どうせ重度障害だからと舐めてかかっている節が見受けられます。申し訳程度の「娘さんのご冥福を~」ではズレた偽善を誤魔化すことは出来ません。
いい子ぶりたいだけなら毒にも薬にもならないので放っておけばいいです。しかし反障害者、反出生主義、安楽死賛成派といった輩が介護殺人問題に寄生して思想を喧伝するとなると、一過性のやんちゃでは片付けられません。犯人の苦悩に寄り添うふりをしながら、実際は自分が一時気持ち良くなるための踏み台にしているだけです。
こうした事件に対しては社会や制度を反省させ鍛え直すのが筋なのですが、ああいった輩は「キレイゴト反対!現実を見ろ!」「行政にそんな人手も資源も余裕もない!」などと反発し、かよわい行政に理解のある自分たちこそ現実をよく知るリアリストだと信じ切っています。実態は間引きでみんなハッピーみたいな、余りにも粗雑で漫画の見過ぎとしか思えない、もう真面目な議論に紛れ込まないで貰いたい邪魔者に過ぎない訳ですが。
犯人の女が罪深いのは子殺しだけではありません。思想のためなら他人の生きる権利を嬉々として妨げる自分本位な輩に餌を与えて喜ばせたのもまた罪です。出所後の老い先短い人生は、子殺しの汚名を背負ったまま本当の孤独の中で償い続けて貰わねばなりません。それが、殺した娘と同じ境遇の人々に恐怖を与えたことへの責任の取り方というものです。
元議員の天畠大輔さんや「バリバラの河童」で有名なあそどっぐさん等、重度身体障害の有名人にも親はおり、子を立派に育て上げました。彼らの親がたまたま恵まれていたに過ぎないというのなら、尚更「恵まれない親」を支える仕組みが必要となってきます。
そうこうしている間に、俳優の高知東生さんが自身のXアカウントで私見を述べられており、言いたかったことを全て喋ってくれました。
「『母親を責められない』という意見が多く、仕方ないよねといった空気が流れているが」と容疑者に対するSNS上の声について触れ、「俺はそれが怖い」と思いを吐露した。
「健康な人が殺されたなら決してこんな空気にならない。命の差別を感じる」と指摘。さらに「それと重度障害の子供の預け先を見つけられない、日本の現状が一番辛い」と思いをつづった。(日刊スポーツ2026年3月11日付の記事から引用)
高知さんの問題提起を受けてもなお「じゃあお前が介護をしてみろ」「制度を変えたいならお前が政界に行け」などと対人議論の禁句をぶつける者がおり、残念ながら理性ある人間らしい発想が浸透するのは難しそうです。かつての「青い芝の会」みたいな存在が躾けてくれればネット言論も多少マシにはなってくれたでしょうか。本当に一番足りない資源とは「叱ってくれる大人」のことです。
参考サイト
「一緒に天国に行こうと」茂原市で重度身体障害の29歳娘殺害か 母親を逮捕
https://news.jp
高知東生、重度障がい者の娘殺害事件めぐる一部の声に私見「命の差別を感じる」
https://www.nikkansports.com
]
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