福祉現場で議論を呼ぶ「支援臭」とは? 支援者と当事者の関係性を考える
最近、X(旧Twitter)上で「支援臭」という言葉をめぐる議論が静かに、しかし熱く交わされています。
「支援臭」とは、支援者側の「してあげている」「寄り添ってあげている」というエゴや傲慢さが滲み出る態度のこと。福祉や医療、教育の現場などで、支援する側とされる側の関係性に疑問を投げかける言葉として注目を集めています。
今回は、当社代表のポストと、それに対するXユーザーのリアルな反応から、この「支援臭」の正体と、私たちが向き合うべき課題についてひも解いていきます。
「善意」だからこそ厄介。当事者は「臭い」に敏感
議論のきっかけとなったのは、障害者当事者であり、支援者でもある当社代表の以下のポストでした。
「支援してあげてる」が滲み出てる人、福祉の現場にはおる。本人は善意のつもりやから厄介で、経験が長い人ほど自覚できてない。
僕自身、障害者当事者であり支援者でもあるから両方の立場がわかる。支援される側って、その"臭い"にめちゃくちゃ敏感なんですよ。
資格を取って、専門職を名乗って、それで対等になれるわけちゃう。むしろ「専門職だから正しい」と思った瞬間に、もう臭ってる。倫理を学んだはずやのに、その倫理で相手を裁いてたら本末転倒ですよね。
自分も気をつけなあかん。一生の宿題です。
このポストが指摘しているのは、**「悪意のない傲慢さ」**の恐ろしさです。専門知識を持ち、経験を積めば積むほど「自分が正しい」という思い込みに陥りやすくなります。支援される側は、言葉の端々や態度からその「上から目線」を敏感に感じ取っているのです。
Xの反応から見えてくる「支援臭」の正体
このポストに対し、Xでは多くの共感や独自の考察が寄せられました。皆さんの声を分類すると、「支援臭」がどのような場面で放たれるのかが浮き彫りになります。
1. 「上から目線」と「安全圏からの同情」
「共に横に立ってる感じじゃなくて、手を差し伸べてあげてます。当事者のことをあまり知らない皆さんは差別しないでくださいねーってカウンターしてるつもりで(自分はそうじゃなくて欠陥ない側なんですけど)って感じがありありとわかる」
真に対等な関係ではなく、「自分は支援を必要としない安全な側にいる」という無意識の優位性が透けて見える態度。これがまさに「支援臭」の典型です。
2. 「あなたのために」という無敵の押し付け
「そういう人は利用者さんに好かれないし、かえって問題行動を引き起こす。けど本人気づいてないし、その人にとっては正しい支援だから、もう無敵の人なんだよな。『良かれと思って』『あなたのために』これが一番厄介」
支援者の独善的な「正しさ」は、時に利用者を追い詰めます。善意でコーティングされているため、周囲も本人も問題に気づきにくい構造があります。
3. 「自分軸」になっていないか?
「『一体だれ軸なん?』がカギ。
・相手が『してほしい』と思うことか、それとも『すべきこと』をしているのか
・支援した後で相手でなく『自分』が満足感を得てないか
・相手が断れる関係になっているか」
支援が「相手のため」ではなく、「支援している自分を満足させるため」の行為にすり替わっていないか。この3つのチェックポイントは、支援者にとって非常に実践的な指針と言えます。
4. 対等な関係を築ける人の特徴
「自分の担当してくれた支援者は、『利用者さんからはいつも学ばせてもらうことが多い』と言っていた。こちらを対等に見てくれてるんだなと感じた」
「支援する/される」という固定化された上下関係を手放し、一人の人間としてリスペクトを持って接することができるかどうかが、支援臭を消す唯一の方法なのかもしれません。
5. 「支援者」という枠組み自体のバイアス
「支援者って名前を使ってることで関係フレームが価値を決めちゃう。支援者ってだけで支援臭がするというバイアスが生まれている」
構造的な問題への指摘もありました。「支援する側」と「される側」というレッテルがある以上、価値観の押し付けが生まれやすい土壌があるという厳しい現実です。
まとめ
「支援臭」という言葉は、決して一部の支援者を非難するためだけのものではありません。人と人が関わるあらゆる現場において、誰もが陥る可能性のある落とし穴を警告してくれています。
・「良かれと思って」の善意は、時に相手をコントロールする刃になる
・「専門職だから正しい」という奢りが、対等な関係を壊す
・支援は「自分軸」の満足ではなく、「相手軸」のニーズに基づいているか
「支援してあげている」のではなく、「共に歩んでいる」か。
代表の言葉にもある通り、これは支援に関わるすべての人にとっての「一生の宿題」です。目の前の相手と真摯に向き合い、自分自身の態度を常に問い直す謙虚さこそが、今最も求められているのではないでしょうか。
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