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視覚障害者=全盲は偏見。視覚障害の正しい理解を

出典:https://www.pakutaso.com


視覚障害とは、眼球、視神経及び大脳視中枢などで構成される視覚系のいずれかの部分に障害があるために、見ることが不自由または不可能になっている状態のことです。
全盲や弱視を含めた視覚障害者の方は、統計的には日本全国で約30万人と言われています。

視覚障害の特徴・認定基準・分類



視覚障害は全く見えない「盲(全盲)」と全く見えないわけではない「弱視」(ロービジョン)に大別されます。

①盲(全盲)
盲(全盲)とは全く見えないことを言います。しかし、一般的な視力検査ではある程度以下の視力を測定することができません。
そこで、0.01よりも低い視力の表し方には次のようなものがあります。
指数弁 検査者が被検査者の眼の前に出した指の数が数えられる(0.01と同じ視力とされる)
手動弁 検査者が被検査者の眼の前で動かす手の動きがわかる
光覚弁 光を感じられる
盲(全盲) 光も感じない

②弱視(ロービジョン)
両眼の矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズをかけた時の視力)が0.3未満で、主に視覚による学習や、日常生活の諸々行動ができる状態、というのが一般的な定義です。
ですが、弱視は単に視力が悪いというだけでなく、種類や見えにくさは多岐にわたります。
ある特定の環境下やある特定の行為においてならさほど不自由することはない、という弱視者もいます。
そのような弱視者は、周囲からは結構見えていると思われ、いざ補助が必要になった時に甘えていると、勘違いされてしまうこともあります。

視覚障害は身体障害者手帳の対象であり、障害の程度・状態について認定基準は次のようになっています。
1級 両眼の視力の和が0.01以下
2級 ①両眼の視力の和が0.02以上0.04以下 
   ②両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について
   視能率による損失率が95%以上
3級 ①両眼の視力の和が0.05以上0.08以下
   ②両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について
   視能率による損失率が90%以上
4級 ①両眼の視力の和が0.09以上0.12以下
   ②両眼の視野がそれぞれ10度以内
5級 ①両眼の視力の和が0.13以上0.2以下
    ②両眼による視野の2分の1以上が欠けている方
6級 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下で、両眼の視力の和が0.2を超える
※1級から4級①までが1種、4級②から6級までが2種になります。

眼の障害は、次のように区分されます。

①視力障害
視力の測定は、万国式試視力表又はそれと同一原理によって作成された試視力表によって行われます。
屈折異常のあるものについては、眼鏡やコンタクトレンズを用いた矯正視力を測定し、これにより視力障害を認定します。
両眼の視力は、両眼視によって累加された視力ではなく、それぞれの視力を別々に測定した数値であり、両眼の視力の和とはそれぞれの測定値を合算したものをいいます。
視力が0.01に満たないもののうち、明暗弁又は手動弁のものは視力0として計算し、指数弁のものは0.01として計算します。

②視野障害
「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両眼の視野が5度以内のものをいいます。
視野は、ゴールドマン視野計及び自動視野計又はこれらに準ずるものを用いて測定します。
求心性視野狭窄は、「両眼の視野が10度以内」又は「両眼の視野が5度以内」のことをいい、それぞれの眼の視野が10度以内又は5度以内であります。
「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」とは、両眼で一点を注視しつつ測定した視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損している場合の意味です。
したがって、両眼の高度の不規則性視野狭窄又は半盲性視野欠損等は該当しますが、交叉性半盲等では、該当しない場合もあります。

③調節機能障害及び輻輳機能障害
「調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの」とは、眼の調節機能及び輻輳機能の障害のため複視、頭痛等の眼精疲労が生じ、読書等が続けられない程度のものをいいます。

④まぶたの欠損障害
「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全に覆い得ない程度のものをいいます。

※視力障害と視野障害が併存する場合には、併合認定の取扱いを行います。


視覚障害・失明の原因



視覚障害や失明の原因として多い目の病気は、次のように挙げられます。

①糖尿病性網膜症
糖尿病患者数は約270万人、予備軍も含めると成人の27%(そのうちの4割は未治療)と報告されています。
糖尿病患者の血液は糖分を多く含み粘性が高いため、毛細血管を詰まらせたり血管壁に負担をかけたりします。毛細血管が傷害されると、網膜に出血が起きたり血液中の水分や脂肪が漏れ出て浮腫を起こしやすくなります。
最初の段階では自覚症状はあまり感じませんが、そのまま放置しておくと血管の閉息と出血を繰り返すことによって最終的には失明につながる恐れがある疾患です。

②緑内障
眼球内の圧力が高まって視力が落ちたり、視野が狭くなったりする状態をいいます。
適切な治療が行われないと、非常にゆっくりと視野が欠損していき本人が気がついた時には手遅れという場合もあります。
早期発見、早期治療、長期管理が必要な病気です。

③網膜色素変性症
遺伝性素因で起こるといわれ遺伝形式としては常染色体劣性遺伝が多く、両親に血族結婚がみられることが多い疾患です。
変性は杆体(かんたい)と網膜色素上皮から始まり、錐体(すいたい)と脈絡幕に及んでいきます。
初めは視力・視野は良好で、夜盲(暗くなると見えにくい)という主症状で眼科を受診することが多く、病気が進むと周辺視野異常、求心性視野狭窄(視野全体が狭くなるもの)などが生じてきます。

④網膜剥離
網膜に小さな穴ができ、この穴から眼球内の水(液化した硝子体)が網膜の下へ入り込んで網膜が剥離する病気です。
網膜にできた穴のことを網膜裂孔、または円孔といいます。
剥離した部分では物が見えなくなります。
上方の網膜が剥離すると下方が見えなくなります。
物を見る中心部に剥離が進むと視力が一度に低下します。
網膜剥離の人は、ただちに手術をする必要があります。
黄斑部に剥離が進む前に手術をしないと、剥離が治ってもなかなか良い視力が得られないことがしばしば起こります。

⑤強度近視
目の長さが異常に長くて近視の度が強いため、メガネをかけてもあまり良く見えるようにはなりません。
また、眼球が非常に細長く伸びた目ですから眼球壁の内側に付いている網膜も引き伸ばされて薄くなっています。
網膜は透明な弱い膜なので、引き伸ばされた状態が長い間続くと網膜の中心部がひび割れたり出血したりして萎縮します。
ここが萎縮すると視力が非常に悪くなります。

⑥ベーチェット病
葡萄膜炎、外陰部(陰嚢や陰唇)の潰瘍、舌や唇のアフター、皮膚の発疹が主な症状で何年にもわたってこれらの症状が出現したり消失したりします。
この病気での葡萄膜炎は、何度も再発を繰り返し次第に視力が低下して、ついには見えなくなってしまうことが多く、非常に治りにくい病気です。

その他に、サルコイドーシス(全身のリンパ節やいろいろな臓器に腫瘍状の固まり結節ができる病)
、気網膜芽細胞腫(乳幼児の眼内に発生する悪性腫瘍)、黄斑変性症(多くは加齢に伴い高齢者に発症する)、皮膚疾患-アトピー性皮膚炎(特に若者に発症すると白内障を起こしたり、網膜変性を伴うこともある)などがあります。


視覚障害者のコミュニケーションの道具



点字
視覚障害者のコミュニケーションのツールとしては「点字」がもっとも有名ですが、点字を使う視覚障害者の方は全体の約1割だそうです。
点字を使う人が少ない主な理由は、覚えるのが大変だと言われています。
特に中途失明者にとっては書籍などの点字は、本の厚さは数倍変わるそうです。
最近では合成音声による読み上げソフトを用いて、本を読むことが可能になりました。

杖(白杖)
視覚障害者が歩行の際に前方の路面を触擦して使用する白い杖です。
大きさは直径2cm程度で、長さ1mから1.4m程度のものが一般的です。
白杖の主な役割は、安全の確保、歩行に必要な情報の収集、ドライバーや他の歩行者・警察官などへの注意喚起の3つです。
白杖を持つ人は視覚障害者とみなされ、最優先で保護されるべき対象となります。

視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)
視覚障害者を安全に誘導するために地面や床面に敷設されているブロックのことです。
歩道・鉄道駅・公共施設だけでなく通常の商店の出入り口付近や、横断歩道の手前、車道の横断歩道部分にも設置が進んでいます。
また、諸外国の公共施設などでも敷設されていますが日本ほど多くはありません。

時計
視覚障害者用腕時計は文字盤を点で表し直接手で触れて確認できる腕時計や、 ボタンを押す事で自動的に音声で時刻をお知らせするという設計で視力の弱い方でも時刻を確認することのできる腕時計が販売されています。

これらの道具の普及により、視覚障害を持つ人の社会参加も促進されました。
仕事では、あん摩・マッサージ・指圧、鍼、灸に従事されている人が多いです。
その他いろいろな職種で活躍していて、ヴァイオリンやピアノなどクラシック演奏で活躍されている有名な視覚障害者もたくさんいらっしゃいます。


視覚障害者の生活を支える便利な道具はたくさんありますが、周囲のサポートも生活には不可欠です。
周囲は視覚障害をもつ人の特徴や支援している機関や制度について理解して、視覚障害をもつ人が豊かな生活を送っていくサポーターとなっていきましょう。

障害者ドットコムニュース編集部

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「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、
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