自分を好きになる方法〜うつ病と異性装(女装・男装)

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みなさんは異性装(女装・男装)についてどういったイメージをお持ちでしょうか?異性装についてイメージがつきにくい方は、コスプレについて考えてみていただいても構いません。テレビタレントや演劇のイメージが強く、あまり身近なイメージがないかもしれません。しかし異性装には自分を好きになるヒントが沢山あります。うつ病でコンプレックスばかりの私を救った、異性装の魅力について紹介いたします。

自分を忘れられる

異性装をしている時の自分は、自分であって自分でありません。著者が異性装を始めたときには高校を卒業していましたが、異性の学生服を着用していました。性別だけではなく、年齢も装ったのです。うつになると、自分も見失うほどに様々な事が手につかなくなります。それでも周りからは「彼氏」「女友達」「上司」「親」など今まで自分の役割を強要され、なによりも自分自信が「過去の自分と同じような振る舞い」を求めます。そんな中で異性装をすると、その全ての役割を忘れることが出来るのです。自分と性別も年齢も違う人物を装い、自分の役割を全て忘れる時間がとれたことで、それ以外の時間に自分の役割に戻ってくることが出来るようになりました。真面目で冴えない社会人であった自分は、ウィッグ(かつら)を被り学生服で異性装をしているときだけ、自分が大好きな「アニメに出てくるような美しい異性」になれたのです。鏡を見たときの興奮は今でも鮮明に覚えています。

美しくなる

異性装にはまるまでは、自分の外見にコンプレックスしかありませんでした。「鏡を見るのも怖い」という方も居ると思います。ですが異性装をしていると、鏡を見るのが楽しいとさえ思えるようになりました。著者の場合外見コンプレックスは「自己嫌悪」からきており、自分である限りどんな服装やおしゃれをしても変えられるものではありませんでした。しかし異性装であれば鏡に映るのは自分ではありません。異性愛者である著者にとって、美しい異性はいつまででも見ていたい存在でした。まるでギリシャ神話のナルキッソス(泉に映る自身の姿に恋をする青年、ナルシストの語源)のように惚れ惚れ鏡を見つめる日々です。そんなある日、自分の変化に気がつきます。「異性装をしていなくても鏡を見られる」ようになっていたのです。正確には「いつでも鏡の中に異性装の面影を見られる」ようになりました。著者はより美しい異性装をするために、歩き方や表情について日ごろから研究をしていました。その成果があったのかはたまた思い込みかは分かりませんが、普段の自分の姿にも異性の美しさを見るようになったのです。外見コンプレックスはどこへやら、この変化に気づいてからは自分の外見が大好きになりました。それまで平常時の自分については「何をしても変わらない」と思っていたのが、「いつでも異性装のときの自分のように美しくあろう」と姿勢の矯正やスキンケアに取り組みました。その努力のかいもあってか、今ではいつでも鏡をみるたびに「今日も惚れ惚れするなー!」と微笑むほどです。

自分を好きになり恋愛が出来る

外見にコンプレックスがあった頃、著者は恋愛が出来ませんでした。他人を好きになることはあれど、他人から好きになってもらうことを想像できませんでした。自分が嫌いなものを他人に好きになってもらうのは困難です。稀に好きになってもらえたときも、自分が自分を嫌いな以上、その気持ちを信じることが出来ませんでした。ですが異性装を始めたことで、「異性として自分の外見を好意的にとらえる」ことが出来るようになりました。自分で自分を異性として美しいと思えるのなら、他人からもそう思ってもらえるのではないかと自信がついたのです。異性装をし距離をとって自分を見ることで、自己嫌悪から逃れて自分の魅力を見つけられるようになりました。自分のことが好きなのだから、他人からも好きになってもらいやすくなります。なにより、自分が好きなもの(つまり自分自身)を好きだと思ってくれるのなら、信じられようというものです。実際、異性装を始めてからは好意をもってもらえることが増えました。それ以前よりも外見や立ち居振る舞いに気を配り、なにより笑顔が増えたのだから、当然といえば当然です。今では素敵なパートナーと過ごしています。異性装の経験を経て自分を好きになっていなければ、パートナーと結ばれることもなかったかもしれないと思うと、異性装を始められたことに感謝しかありません。

いかがでしたでしょうか。以前より認知されるようになったとは言え、まだまだ「気持ち悪い」などの意見も多い異性装ですが、少しでも魅力を伝えることができたら嬉しいです。異性装に興味があった方は踏み出す一歩に、苦手意識があった方は理解のきっかけに、それ以外の方にも未知の世界の入り口として、この記事が一助になれば幸いです。読んでいただいてありがとうございました。皆さまに幸せが訪れますよう。

参考文献

女装するきっかけと女装する理由
https://www.cross-dresser.net/

ナルキッソス – Weblio 辞書
https://www.weblio.jp/

二足歩行のナマケモノ

二足歩行のナマケモノ

うつ病のアラサー。精神科で働いていたら発症していました。怠け者ゆえに藻やガと共生しているという動物ナマケモノに習い、頑張らない生活を心がけています。好きな人やものを人に紹介するのが好き。

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