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セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜,連載コラム

サービス化以前の思いやりを<前編>(セコラム!第3回)

サービス化以前の思いやりを<前編>(セコラム!第3回)
『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.3 <毎月25日連載>

前回の記事「Create the New Job! -指先で奏でるメッセージ-」で紹介したイベントを大盛況の中、終えることができました。約50名が「医療福祉」をベースとした空間に彩られた京都のギャラリーカフェに集まり、学び/遊び/話し、つながりをつくっていました。

「障害があっても学びたいことが学べる」ように障害学生をサポートするサービスを立ち上げ、展開している人をゲストに迎え、主力サービスである「要約筆記者派遣」を中心に、新しく事業を立ち上げ、展開していくしんどさや苦悩、嬉しさややりがいをありのままに伝えるようなトークを展開しました。


ゲストトークを終えた後、参加者数人からゲストに対して質問がありましたが、1つの質問に違和感を覚えました。質問者は、中学生の車椅子ユーザー。彼は「学校の授業で、黒板の文字が見えない。これを解消するサービスはありませんか」と質問しました。僕は頭の中が「?」でいっぱいになりました。


まず、黒板が見えないのであれば、見えない理由を考え、見えない理由を解消するために環境を変えたり、整えたりし、黒板が見えるようにします。これらを行い、学べる環境をつくることで、授業に参加している状態になっていると「はじめて」捉えることができます。

例えば、耳が聞こえない学生は、先生が何を話しているのか分かりません。このバリアを解消する1つの手段が「要約筆記」。要約筆記を使用することで、先生が何を話しているのかを文字として伝わり、授業に参加できることができます。目が見えない学生は、教科書を読むことができません。このバリアを解消する1つの手段が「点字の教科書」。点字の教科書を使用することで、教科書を読むことができ、授業に参加することができます。

例にも挙げた通り、「できない」を「できる」に変える環境をつくり、環境を維持していくのにヒトやモノが必要である場合、サービスやプロダクトが生まれます。しかし、中学生の彼が伝えてくれた質問の内容はサービス化以前の段階です。学校の先生や友達が彼のことを考え、「見えない」をつくってしまっているバリアに向き合い、どのようなことに配慮したらバリアを解消し、黒板の文字が見えることができるかを考え、そのアイディアを実行すれば、彼が困っている「黒板の文字が見えない」を「黒板の文字が見える」に変え、授業に参加することができます。例えば、彼が座る席を前にしたり、見える位置にしたりし、文字が見えるよう配慮したら、バリアはすぐに解消し、彼は問題なく授業に参加することができます。

今回はサービス化以前の思いやりの段階です。サービスにする事象ではなく、少しの思いやりが解消できることです。

  • 10/14トークイベント“WellCON京都”に参加したみなさん


後編では、思いやりが救った脳性マヒの方との東京旅行をお話します。後半は11月25日。お楽しみに!

ライタープロフィール
世古口 敦嗣
世古口 敦嗣

大学で中国語と英語を学ぶ。就職活動に失敗し、何となく障害者福祉の世界へ。新卒でNPO法人サポネに入社。介護福祉士/コーディネーター/事務局と幅広く業務を行う。障害者の生活をサポートするなかで、障害のある人が普通の暮らしを過ごす難しさや、彼らの「したい」を叶えられない悔しさを感じる。その難しさや悔しさを限りなくゼロにすることをライフワークと捉える。2015年から約2年間、障害者福祉の仕事と並行し、医療福祉エンターテインメント集団Ubdobe の関西支部長としてイベントを企画・運営を行う。現在、社会福祉法人明照会(あそか苑)勤務。法人全体の採用活動に関わると同時に、障害者福祉サービスの立ち上げを目指す。また「バリアとおさらば」をコンセプトと据えた団体の設立を目指している。ときどき、コラムニスト。ときどき、講師。

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