発達障害の特性を活かす②「視覚空間型情報処理~安藤忠雄さんを例に~」

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出典:https://www.photo-ac.com


シリーズ第1回目の発達障害の特性を活かす①「学びの特性に合った教育・仕事の大切さ」
では、3つの学びの特性についてお話しました。「視覚空間型」「聴覚言語型」「視覚言語型」の3つでした。今回は、「視覚空間型情報処理」について掘り下げてお話します。

「視覚空間型情報処理」の特徴



「視覚空間型」の情報処理が得意な人は、身体反応、バランス感覚に優れています。「視覚空間型」の情報処理における特長と問題点には次のようなものがあります。

特長
1 行動的で、手や体を動かした活動を好む
2 じっと座って話を聞くのが苦手で、頭に入らない
3 言葉で学ぶより、体で感覚的に覚える
4 目で見て、瞬間的な反応や処理を行うのに長けている
5 理論や抽象は苦手で、実践や応用に関心がある
6 注意が散りやすく、新奇な刺激を求める
7 体感的で、オリジナルな感性をもつこともある

問題点
1 五教科では成績不振に陥りやすい
2 講義型の授業は集中できない
3 言葉の説明では、頭に入りにくい
4 衝動的で、暴言や攻撃的行動に走りやすい
5 口下手で、無愛想なため、周囲から誤解されやすい
6 押さえつけようとすると、反抗的になりやすい
7 学習障害を抱える子も多い


安藤忠雄さんも「視覚空間型」な人



国際的な評価も高く、高卒で東京大学の教授となった、建築家の安藤忠雄さんも「視覚空間型」の情報処理のタイプにあてはまるようです。

安藤さんは双子の兄弟だったので、一人だけ祖父母の養子となり、実の両親とは離れて育ちました。小さい頃から喧嘩の強いガキ大将だったそうです。手先が器用で、物作りの才能を示していた安藤さんは、工業高校の建築科に進学します。ですが、短気な性格もあって、就職先もなかなか定まりません。そんな時、知人にバーのインテリア設計の仕事を紹介されます。そして、その仕事を独力で成し遂げます。その後も、設計事務所で働きながら独学で建築の勉強をしました。木工家具を作って売っていたこともあります。安藤さんは、貯金の全てを使って、四年間世界放浪に出て、各地で様々な建造物と出会います。それも、学問では得られない貴重なインスピレーションの元となりました。帰国後は、オリジナルな才能を持つ世界的な建築家になります。

ちなみに、ル・コルビジェも装飾美術学校の出身で、大学には行っていません。大学を中心とするアカデミズム(学問や芸術での、正当性・権威を重んずる態度)は、「視覚言語型」の文化であり、「視覚空間型」の才能を伸ばすのには向いていないこともあります。


「視覚空間型」の人が特性を活かすには



視覚空間型の人は、書物を読んだり講義を聞いたりするよりも、実際に手や体を動かす体験から多くを学びます。また、このタイプの人の勉強の意欲を掻き立てるためには、「こういうことに役に立つ」という具体的な利益や報酬が必要です。知識偏重の五教科よりも、実践が得意な傾向があります。最初に五教科の基礎的な知識を身に付けてから応用に進む学習法は向いていません。先に応用から入ると、そこから興味を持って技術を覚えて使いこなすことも可能ですし、また後に基礎の学習に興味を覚えることもあります。向いている職業として、大工、職人、土木技術者、造園業、陶芸、インテリア・コーディネーター、整備士、デザイン・グラフィック関連、美容師、スポーツ選手などが挙げられます。



「視覚空間型」の人の特徴について見てきました。次回の記事では、「聴覚言語型」の人の特徴を見ていきます。

▶︎続きのページ:発達障害の特性を活かす③「聴覚言語型情報処理~バラク・オバマさんを例に~」

岡田尊司著『子どもが自立できる教育』小学館文庫/2013年

過集中系女子☆彡

過集中系女子☆彡

関西出身。色々なことがあり、精神の病を発症しました。現在は体調安定を目標に、就労移行支援施設に通っています。趣味は散歩と音楽鑑賞です。微力ですが、当事者の方やご家族のお力になれればとても嬉しいです。

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