パニック障害とは?ストレス社会で誰もがなりうる病気です
パニック障害・不安障害パニック障害は、突然起こる激しい動悸、頻脈、呼吸困難、手足の震え、寒気、めまい、吐き気、胸部の圧迫といった自律神経の嵐のような発作を起こし、このままでは死んでしまうというような激しい不安感に襲われる病気です。パニック障害では、発作を起こしていない場合でも高い緊張を維持しています。このため、何でもないことでも緊張の糸が切れてパニック発作につながることがあります。
パニック障害の症状
パニック障害の症状である発作は「パニック発作」といわれ、20分から1時間以内にはおさまります。救急車を呼んで病院に運ばれても医師の診断を受ける頃には発作は消え、心電図検査やMRI、血液検査をしても体に異常は見つからず、そんな発作を何度も繰り返します。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作の起きやすい場所や状況を避け、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。
また発作が起きるのではないかという心配が続くことを「予期不安」といいます。予期不安は、逃げ場のないような場所でのパニック発作や、発作を他人や大勢の人に見られることの不安や恐怖を生み、大勢の人が集まる場所、過去に発作を起こした場所、発作を起こしたら逃げられないような場所を避けるようになります。これを「広場恐怖」といいます。
「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」は、パニック障害の3大症状といわれ、悪化すると、人前に出るのを嫌って閉じこもるようになり、さらに悪化すると、うつ病を併発することもあります。満員電車での通勤、会議での時間の拘束、買い物でレジを並ぶ、美容院・歯医者・映画館に行く、エレベーターに乗るなどの逃げられない状況が苦痛になります。また、一人では出かけられなくなり、人に頼っている自分を情けなく思ったり、申し訳ないと思う気持ちも出てきます。
パニック障害の原因
パニック障害の原因は完全には解明されていませんが、「脳内の不安に関する神経系の機能異常に関連していることがわかっています。脳の通常とは違う変化が指摘されており、各部位の機能に応じて症状が現れていると考えられます。
①大脳
思考や意思など高度な精神活動にかかわる場所。セロトニンの分泌異常により、回避行動が生じると考えられています。
②大脳辺緑系
本能的な不安や興奮が生まれる場所。セロトニンの分泌異常により、漠然とした強い不安が続くのではないかと考えられています。
③青斑核・視床下部
脳内で警報装置のような役割をはたしていて、危険があるとシグナルを出し、血管や心臓、汗腺に反応をおこします。この部位の誤作動により、危険がないにもかかわらず、発作が起きてしまうと考えられています。
またこの神経回路は主としてセロトニン神経によって制御されていて、セロトニンの働きを強めるSSRIがパニック障害の治療に有効であるといわれています。心理的要因も関与していることも間違いありません。小児期に親と別離体験を持つ、発症前1年間のストレスが多い、過去に何らかのきっかけがあったなどの心理的要因があるケースも多いといわれています。
パニック障害の治療法
精神科や心療内科医を受診して、正しい診断と適切な治療をうけるようにしてください。相性の良い医師をみつけて良くなるまで長くかかることをお勧めします。
不安や緊張を和らげる副作用の少ない漢方を医師に処方してもらうのもよいでしょう。自分でも、腹式呼吸やストレッチ、アロマや音楽を用いる方法など、リラックスして緊張をほぐし、不安を和らげましょう。規則正しい生活を心がけて、適度な運動をして、体内リズムを整えましょう。うつの改善にも役立つといわれています。タバコ、アルコール、コーヒー、砂糖などの甘いものをなるべく控えましょう。
パニック障害を克服するには、不安やストレスから逃げず、受け止めて乗り越えるという意識をもつことも大切です。日常生活の中で、無理をせず苦手場面を避けずに挑戦していきましょう。ご家族や友人は、本人の苦しみを理解して、焦らせたり無理をさせることのないように温かく見守ることが大切です。
パニック障害・不安障害