就労継続支援A型での私の体験談~支援者と利用者として

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障がい者支援の仕事でヘルパーやデイサービス等に勤めてから、就労継続支援A型(以下、作業所とします)に支援員として働きはじめました。その当時私もパニック障がいでしたが、手帳を取得していなかった為、健常者として扱われていました。

支援員として働いていた頃

作業所の利用者の方の障がいは様々ですが、自立して通われていましたので、私が正直「この人たちと自分は何処が違うのだろう?」と思いました。実際に作業で接する中で、得意な作業のコツを教えていただいたり、私が作業手順を勉強してコツを教えたりとお互い得意な所を伝え合う事ができました。

しかし、私が入社して一ヶ月ほどたった頃、立ち上げから働いていた職員さんが退職してサービス管理責任者と作業全体を管理する職員が変わりました。それまでは利用者の方に対して近しい形で接していた形から、一線を引いて接する様に変わってしまいました。

支援員として悩んだ事

私が経験した実例ですが、利用者の方から相談を受けた事があります。「Aさんは人が良いから、色々仕事を引きうけて大変そう」と言われました。施設外就労と言う形で色々な仕事を引き受けていて、断り辛くないかを心配していたのです。私は「分かりました、管理者に伝えますね」とその場では答えて、管理者に話をした所「そんな事はこっちが考えると言っておけ」と言われてしまいました。心の中で「そんな言い方出来るか!」と思いました。

また、朝礼時間や休憩時間が変更になった際、その事がしっかりと伝わっておらずにと軽くトラブルになることもありました。(実は私も知らせてもらって無かったです)

作業所を運営する側も、利用する側も同じ人間です。障がい者はただ言う事を聞いていろ、健常者だから思いのままにする、というのは私の中では違うと感じました。作業等で、上手く出来る方法や、利用者の方同士での悩みを相談している事を上手く伝えるようにしてくれている姿勢は、支援員の私にも勉強になりました。

しかし残念な事に立場を持っている事を勘違いして、自分が偉いから正しいと思ってしまう人がいるのも事実です。(これは一般的な仕事でもある事ですが)実際問題として頂くお仕事の工賃から利用者の方の給料を支払わなければいけないので、管理者も大変なのですが、私の中ではまず利用者があっての就労継続支援事業だとおもいました。

一人の人間としての在り方

違和感を抱いた事で、もう一つあるのが、利用者の方の話をする際に○○君○○ちゃんなどと子ども扱いをしていた事があります。就労継続支援に通うかたの年齢は様々ですが、時には若い方も通われます。自分より若いからといって子供扱いしていた事がありました。その他にも利用者の方が退所した後に呼び捨てにしたり、おっさん呼ばわりをしたりと日報を作成しながら聞いていて耐えがたい内容でした。仕事が終わって飲み屋で愚痴を言うのは理解できるのですが、あくまで勤務時間内かつ作業所の中です。誰かが突然相談や見学に来る事もありえる事だと思い、私は良くないと思いました。

利用者として働いていた頃

その後も作業所の支援員として働いていましたが、うつ病を発症してしまったので、退職しました。そして、精神障害者保健福祉手帳を取得して、作業所で利用者として働くことになりました。(私が支援員をしていた作業所とは別の所です)

簡単作業の試験をクリアして作業所に入りましたが、管理者の方は、私のそれまでの経歴を知っていたので、いずれは職員登用したいと考えている様子でした。立ち上げたばかりの作業所でしたので、利用者は私を含めて3名しかいませんでした。

管理者の方は、私たち利用者に作業の受け取りから納期までの管理を任せて行きたいと思っていました。しかし、毎日通所するのは私一人で、他の方は週三回からのスタートでしたので、無理が生じてくることがありました。

すれ違ってしまった期待

そんな中で、私に対する管理者の話し方が変わってきたことを感じます。朝の朝礼で「前日にミスがあったので、ミスのない様に作業したいと思います」と一言挨拶すると、「ミスがない様にではなく、丁寧に行うようにしてください」と言われました。私の中では「意味は一緒じゃないの?」と思いましたが、「解りました、気をつけます」と答えて作業に入りました。

今だからこそ解る事なのですが、職員登用を考えてくれていましたので、期待をかけて厳しく接していたのだとおもいます。しかし、通所して一ヶ月未満の時に厳しくされてしまったので、その当時の私は他の利用者の方との扱いの差を比べてしまいました。そこに不満を持ってしまい、他の職員さんに相談することになりました。

職員さんと相談したこともあり、管理者の方と話し合う機会を持ったのですが、「職員にしたいと思っていた」「別に他の方と差をつけているつもりはない」と言われてしまったのです。心の中では「まず個別支援計画を更新してよ!」とツッコミを入れていましたが、その場では私もハッキリ言う事が出来ませんでした。

その後、暫定支給の期間が終わり、本契約を結ぶかどうかの話し合いを行った時に、私は感情的に不満を言ってしまい、利用を辞めてしまいました。

心のバリアについて

作業所について、支援員と利用者の両方で経験した私が感じた事として、支援側も利用側も間に一線を引いてしまう壁(バリア)がある様に見えました。

支援側としては、利用者の言う事だからと言って片付けて、自分たちが運営をしているのだから要らない事は考えなくていい、作業をしっかりやってくれればいいとの考えがあり、利用者の方が提案した事を、聞きもせずに受け入れないという壁が見受けられました。

利用側としては、自分が障がいを持っている事で配慮があるのが当然だと思ってしまい、自分で出来る事、出来ない事をしっかりと伝えられていません。そのため、苦手な環境や状況をしっかりと理解して説明出来ない状態で、支援員に配慮を求めてしまう事があると思いました。私も、障がい名を伝えるだけで、自分で出来る事、出来ない事をしっかりと伝えられていませんでしたと思います。

まとめ

作業所にも様々な所あるので、私が体験した事はほんの少しだとおもいます。その体験の中で感じた事としては、障がい者や健常者関係なく、良い物は良い、悪い物は悪い、とシンプルに考える事が必要かと思いました。実際に作業の効率化に役立つアイデアが利用者側から出て、手順に問題が無ければ、その方法を採用する事で、作業スピードが速くなり、一つの仕事に対しての時間を短縮でき、より多くの仕事を受ける事や施設外就労を増やすことが可能になると思います。

利用する側も自分の障がい特性を知ることで、得意な作業、苦手な作業をしっかりと伝えることでき、作業の役割分担が出来ます。また、苦手な環境や、分かりやすい伝え方をしっかりと意思表示する事で、支援側が配慮をしやすくなると思います。

一般就労に向けての良いステップになる為に、就労継続支援A型が上手く機能してく世の中になればいいと思い、自身の経験を書かせて頂きました。

木場 新太

木場 新太

25歳の時に適応障害を発症。その後33歳の頃に不安障害やうつ病になり、障がい者手帳を取得して現在は就労移行支援事業所に通いながら、長期就労とメンタルコーチになることを目指して日々奮闘中です。

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