限られた人材を活用するスウェーデン社会
仕事出典:Photo by Jonathan Brinkhorst on Unsplash
北欧の国スウェーデン、近年では北欧デザインの家具メーカーIKEA、ファストファッションのH&M、女性を中心にオシャレな国のイメージとして、マスメディアやSNSで紹介されることが多くなりました。またスウェーデンは福祉国家として有名でもあります。
スウェーデンは女性の社会進出はもちろん、障害者の雇用も日本や他の欧米諸国よりも進んでいます。では、なぜ女性と障害者の社会進出が進んでるのでしょうか?
消費税は最高25%
スウェーデンの北部は北極圏に位置するため、夏は太陽が沈まない白夜、逆に冬は太陽が昇らない極夜があり、雪も降るため都市部では除雪作業が必要になります。また人々を寒さから守るため、都市部の建物には中央暖房が完備され、同じ欧州でも南欧に比べると都市機能に対するコストが非常に高いのが特徴です。この特徴は他の北欧諸国にも当てはまります。
当然このコストは、国民からの税金から賄われています。さらに税金はこれらとは別に、教育や医療そして福祉にも充てられているため、高い税金が国民にのしかかります。しかしスウェーデンの総人口は約1027万人、これは大体、北海道と福岡県の総人口を足した数です。また最も人口が多いスウェーデンの首都、ストックホルムでも約96万人で千葉県より少ないです。当然、日本よりスウェーデンのほうが1人当たりの税金の負担が多くなります。
働けない理由を無くす
少ない人口で福祉大国を維持するには、1人でも多く納税する必要があります。そこで、スウェーデン政府は「仕事をしない理由」を無くす対策を打ち出しました。
例えば1年間の育児休暇の義務化や障害を配慮して進学の条件を下げ、高等教育を受けるチャンスを増やす「クオーター制」の導入。
障害者の支援としては、個人の状や特性に合わせ、労働と自立を目標とした「プランニングと充実な職業訓練」。例え重度な障害があっても、可能な限り1人で自立し生活できるのを共通の目標としています。
また一般企業でも、仕事の考え方が異なり、日本のように、全社員が均質な能力を持ち一定の業務をこなすことを目的とせず、社員1人1人が専門的な業務を行います。そのため、例え障害者でも与えられた業務ができれば、健常者と区別されることはありません。
さらに、仕事とプライベートを明確に区別し、職場の人間関係を割り切ってる人が多いため、特に発達障害の人には負担の少ない職場環境でしょう。
まとめ 日本の未来
人口が少ないからこそ、限られた人材の力を最大限まで活用しなければなりません。スウェーデンは、女性や障害者などが積極的に社会進出できる環境を国が、法の整備をし納税者を1人でも多く増やすことで整えましました。
1人1人の能力を生かすために、人々が社会に合わせるのではなく、人々と社会、両方で少しづつ合わせあうことで社会を維持しています。
日本も今後も、少子高齢化で労働者が減少し続けます。だからこそ、近い未来、AIや産業ロボットの導入はもちろん、障害者も労働者とし働ける環境を整備しなければ、労働者不足、納税者不足に陥るのではないでしょうか?
障害や性別など健常者と区別することなく誰もが労働に配慮が必要で、それらを他の人が補うという考え方が必要になってくるのではないでしょうか?
今後、仕事も全般をある程度こなせる社員ではなく、AIなど高等技術に関する知識を持った口頭技能者へと移行すると考えられます。
今回のパンデミックの騒動で、日本の働き方に対する考えが大きく変化しました。この機会に社会や企業、そして1人1人が今後の仕事のこと、労働者減少のことなどを考え、スウェーデンのように、障害など関係なく最大限に活躍できる社会に方向転回する必要があるのではないでしょうか?
参考文献
【18カ国における障害者雇用政策】
https://www.dinf.ne.jp/index.html
【在日スウェーデン大使館公認 観光情報サイト】
http://letsgo-sweden.com
【北欧のあれこれを日本と比べてみたら意外なことがわかった〜人口編〜】
https://norr.jp
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