その人がその人らしく着る「ゆかたゼロ」
暮らし 身体障害 知的障害 発達障害着物企業として103年目を迎えている老舗「株式会社やまと」では、夏に向けてその人がその人らしく着るユニバーサルデザインの浴衣「ゆかたゼロ」を発表・販売することになりました。ユニバーサルデザインとは、原則である「誰でも・自由に・単純に・明解に・安全に・持続的に・狭い場所でも」着用できることを前提に、企画・開発の段階からなるべく多くの人が使えるよう設計されたデザインのことで、ここでは身体・知的・発達障害者も非障害者も使いやすいものを指します。
「着られない」をゼロに
ゆかたゼロの由来は、「“ゆかたを着られない”という心細さをゼロにする」というコンセプトに基づいており、誰でも着られるような設計となっています。
ゆかたゼロ最大の特徴は、着やすさを極限まで追求していることです。例えば“結ばなくてもいいネクタイ”のように、スナップボタンやゴムを用いることで簡単に着られ、見た目にも違和感がありません。従来の浴衣は結んだり体に合わせて布を折り込んだりと、複雑な動作が多く、一人で着られるよりも着付け師に依頼して着せてもらう人のほうが圧倒的に多いです。
しかし、ゆかたゼロは一人で簡単に着られるよう設計されています。着用時における和装本来の美しいシルエットも追求されており、見た目上の違和感はありません。着崩れへの対策も施されており、日常のお手入れすらも洗濯機の丸洗いで済む徹底された簡略化ぶりです。
車椅子ユーザー向けの着物は以前より存在していたそうですが、ゆかたゼロはより幅広く各種障害者および着物初心者が着られるものとして開発されました。実際に身体や知的の障害者とその保護者による試着も行われており、介助しやすく着崩れしにくい商品づくりに活かされています。開発時、ゆかたに関する保護者の心配事として多かった「胸元や裾が肌けて露出してしまわないか?」という声も新たな設計によって悩みを解消し、年頃の女性でも安心して着ることのできる肌けにくい構造となっています。
直感的な着用プロセス
ゆかたゼロは正しい着付けを意識しなくても直感的に着用できるように設計されています。例えば、スナップボタンやボタンホールもたくさんついていますが、全部留めてもよし、好きな箇所を好きな数だけ留めてもよし、とプレッシャーを感じることなくよりリラックスして着用できるようになっています。
今まで、初めての着付けをする時に避けて通れなかった、専門用語の並んだ説明書を目の前にし、文字を認識・理解しながら身体を動かすという複雑な行程もなくなるなど、発達障害者にとっても簡単な構造です。
着方は3タイプ
ゆかたゼロには着方に応じて3タイプが存在します。「上下に分かれた前開きタイプ」「かぶるだけ、はくだけタイプ」「ワンピースタイプ」で、いずれも簡単な手順で着られ浴衣として違和感のない見た目になります。
帯もマジックテープやスナップボタンにより、結ばずして結んだ風合いになるようデザインされています。見た目上の結び目には「平面的な結び目」と「リボン型の結び目」の2タイプが存在し、5色を揃えています。
浴衣の柄は5種類、サイズは6段階あり、できるだけ多くの体型や嗜好に合わせています。ユニバーサルデザインの浴衣で、より多くの人が日本の夏を楽しんでもらえればと思います。
やまと公式オンラインストア、きものやまと有楽町店での販売以外にも、福祉団体によるレンタルのご相談も絶賛受付中とのことです。
公式サイト
株式会社やまと ゆかたゼロ
https://store.kimono-yamato.com
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