わが人生の最悪の時~アルコールと過食とダイエット

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出典:Photo by i yunmai on Unsplash

私は現在、体重75キロで体脂肪率14パーセントです。かつては100キロを優に超えるメタボでした。仕事のストレスから激太りしていましたが、あるきっかけで自己流ダイエットをはじめ、健やかな身体を取り戻すことができました。

「会うたび丸くなってるよ」

私は大学を卒業した後、ひとり暮らしをしながら介護付きマンションで働いていました。おもな業務は入居者の日用品の補充でした。オムツなどの日用品が足りないと入居者やヘルパーの方たちが困ってしまいます。逆に補充が多すぎても、入居者のご家族から「請求額が多い」とクレームが来てしまいます。業務はいつも私ひとりで行っていたため自由に休みが取れず、またのしかかる責任にいつも重圧を感じていました。

休日もどこかへ出かけ、気分転換した思い出がほとんどありません。オフの楽しみは部屋で動画を見ながらアルコールを飲むことでした。今思えばアルコール依存症で、アルコールはまずは1本空け、2本目で酔いはじめ、3本目の栓も開け、と量が惰性的に増えていき、酔うとお腹がすくのでコンビニの惣菜を食べました。

しだいに身体は急速に太っていきました。職場の同僚が「会うたびに丸くなってるよ」と心配していました。

「かっこいい伯父さんになりたい」

そんなある日、私は運転中事故に遭ってしまいました。ひざを傷め、歩くことが困難になってしまいました。階段の昇り降りや、台車を押して備品を運べるまで回復するのにどれだけ時間がかかるか分かりませんでした。結局、会社を退職することを選びました。

この当時、私は106キロぐらいありました。腹囲は100センチを優に超えていて、一般的なベルトを巻くのに長さが足りません。お腹がはさまり両手で靴下が履けず、また少し動いただけなのに息が上がりました。「痩せなくては」と焦りましたが、健康だったころから30キロ以上もオーバーしてしまい、どこから手をつけたら良いかわからず、途方にくれていました。

友人たちには「太ったね」「ダイエットしなよ」と言われました。私はすっかり自信も希望も失くしていました。でもまだ幼い甥っ子だけは、太ってしまっても変わらず「おにいさん」と呼んでくれました。

甥はそのころ2歳です。離れて暮らしているのため年に数回会うだけですが、私にとてもなついてくれています。甥が生まれたころ、まだ私はスリムでした。でも太ってしまってから甥を長時間だっこしてあげることができなくなっていました。でも甥は、心配な表情も遠慮もすることもなく私を慕ってくれたのです。私は無心に遊んでいる甥の顔を見ながら、彼が生まれたころ、誰かに「かっこいい伯父さんになりたい」と言ったことを思い出しました。「甥にとってかっこいい大人になりたい」という願いが、再び私に芽生えました。

「おにいちゃん!」

ある夏、甥たちと数日間を過ごした後、私は好きだったアルコールをすべて断ちました。食事はご飯とみそ汁、お新香だけにしました。そして家の周りを約4km、1日1回歩き始めました。すぐにひと月で9キロ落ちました。目標体重まで残り約20キロになりました。

私は手ごたえを感じて、4キロのウォーキングを1日1回から3回に増やしました。すると2ヶ月後には15キロ減り、毎月行く美容室の方たちから「どんどん痩せてる」と驚かれました。かかりつけの病院で「食事におかずや野菜を加えるように」と言われたので、食事をゆるやかに戻しました。リバウンドが怖かったですが3キロ程度増えただけで大きな変化はありませんでした。

ダイエットを始めてから4ヶ月経ったころは、私の体重は70キロまでに落ちました。洋服のサイズはXXLだったのが標準的なLサイズを着られるまでになりました。身体がスリムになると運動することも楽しくなりました。

やがて年末となり、甥っ子たちが再びやってきました。玄関のドアが開いて「ただいま」とかわいい声が聞こえました。出迎えると、甥っ子は私が夏に会ってから30キロ以上もスリムになっているのに少しとまどっている様子でした。でも私が彼に「だーれだ?だーれだ?」と尋ねていると、甥っ子は「おにいちゃん!」と笑ってくれました。

その後、私は社会復帰のために精神障害についての検査を受け、現在は就労移行支援事業所に通い訓練する毎日です。土日や祝日に通所する日もありますが、目標と仲間があり、とても充実した暮らしを送っています。

ペコちゃん大魔王

ペコちゃん大魔王

アスペルガー症候群と社交不安障害をもっています。趣味はピアノ演奏、山登り、草野球など。ひとり時間大好き。見るよりもやる派です。座右の銘「人生で一番若いのは常に今」。

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