新型コロナウイルスの影響で1100人以上の障害者が解雇~厚生労働省が発表
仕事 暮らし出典:Photo by Igor Miske on Unsplash
新型コロナウイルスの影響で、派遣社員を中心に雇い止めの報道がされています。厚生労働省から、2020年8月7日集計分で労働者の解雇見込み数が約4万人以上になると発表されました。さらに、障害者雇用で採用された人も2020年2月から6月までに、1100人以上も解雇されていたことも発表されました。
新型コロナウイルスの影響での雇い止めの実態は?
政府もこの状況をよく思っていません。実際に厚生労働大臣は派遣業界団体に対して、安易な雇い止めを控えるよう求めています。雇用調整助成金などの補助金を活用などして雇用を維持するようにと5月末に「要請」を出していました。
しかし、多くの派遣会社では、休業補償などの措置を取っていないことが明かるみになってきています。ある派遣社員が会社に休業補償を求めても、「国からこうしなさいという指示はない」と応じてもらえず退職を余儀なくされるケースさえ報告されています。
このようなことが続けば労働者の雇い止めの件数は、2008年に起きたリーマンショック以上の労働者の雇い止めが発生するかもしれません。
さらに、明るみに出た数字だけですので、労働者の雇い止めの実数は確認されている数よりはるかに多いと予想されています。新型コロナウイルスによる景気の後退は、障害者雇用にも黒い影を落としています。
障害者雇用枠での雇い止めは増えたのか?
新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年2月以降、職場を解雇された障害者は1100人以上に、去年の同じ時期と比べて、約150人増えたことが厚生労働省のまとめで分かりました。この数字は7月の段階で厚生労働省がまとめた分ですが、これからの景気の動向によってはさらに増える可能性もあり、先が見えない状況になっています。
障害者雇用への影響は?
ある会社のアンケート調査では、全国で緊急事態宣言発令中でも全体の約6割の会社が障害者採用を継続したと回答しており、残り4割に関しては採用の延期、変更をしたと回答しています。
しかし、今後の展望についての問いに対しては、先程書いたアンケート結果の数字の割合は逆転しています。アンケートでは約4割の会社がそのまま採用を続けると回答しました、残り約6割の会社は障害者雇用の採用計画を見直し、もしくは採用を延期すると回答しています。新型コロナウイルスによる不況が、障害者雇用にどこまで影響を及ぼすか予想がつきません。
障害者雇用をめぐっては、現在2.2%から障害者雇用率を今年度中に0.1%引き上げることが決まっており、厚生労働省の審議会で引き上げ時期を決めるための議論が重ねられています。しかし、経済界では障害者雇用率の引き上げに慎重な意見が出ており、来年度からの障害者雇用率が予定通り引き上げるかどうかは不透明です。
新型コロナウイルスの影響はいつまで続くか誰にもわかりません。早くいつもの日常に戻ることを祈るばかりです。
参考文献
【独立行政法人労働政策研究・研修機構 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響】
https://www.jil.go.jp/
【NHK 障害者の解雇 2月以降で1100人以上”感染拡大も影響”厚労省】
https://www.nhk.or.jp/
【厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について】
https://www.mhlw.go.jp/index.html
【PERSOLパーソルチャレンジ「新型コロナウイルスによる障害者の採用・雇用施策への影響」調査結果を発表 コロナ禍でも障害者の採用活動を約 6 割の企業が継続】
https://www.persol-group.co.jp/index.html
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