「仕事と病の両立」「ワークシックバランス」について、ヤンセンファーマ株式会社が調査

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ヤンセンファーマ株式会社は10月に「ワークシックバランス」への意識調査を行いました。ワークシックバランスとは、持病を持つ社会人が周囲の理解を促しつつ仕事と持病のバランスをとり、持病があっても自分らしく働ける世の中を目指す考え方です。

調査方法は楽天インサイトでのインターネット調査で、29~69歳かつ就労中の人(持病あり375人+持病なし625人=計1000人)を対象に行いました。更に、ワークシックバランスの重要性を啓発するイベントも開催しています。

必要性は理解している

調査結果を簡単に述べますと、「ワークシックバランスの重要性について理解はしているものの、それを共有するコミュニケーションが難しい」というものでした。ワークシックバランスの理念について回答者の8割以上が共感を示しており、「自分の働き方はワークシックバランスが取れている」と答えたのが7割弱、「会社がワークシックバランスの実現に積極的」と答えたのが5割弱と少なくない数です。

さて現実はどうでしょう。持病のある回答者は「通院や治療が仕事で潰れる」「持病のため仕事を続けるのが不安」「持病のために上司や同僚など周囲に迷惑をかけている」とそれぞれの項目で2~3割がYesと答えていました。持病のサポートを相談しようにも3割程度が「相談しにくい・しても意味が無さそう」と回答しており、合理的配慮を求めるのに及び腰となっている当事者が少なくないと示唆されました。

持病のない人については、「周りの人が持病を持っているかどうか分からない」「持病について聞いていいのか分からない」「持病のある人へどう支援すればいいか分からない」という回答が7割を占めていました。持病のある人は伝えるのに及び腰で、持病のない人は分からないことだらけという、意思伝達の問題が窺えます。

また、リモートワークについての質問もありました。リモートワークについては、「体調管理しやすくなった」「治療と仕事を両立しやすくなった」「症状があっても仕事をしやすくなった」の3項目で5~6割がYesと答えており、概ね好意的に受け取られていたようです。

啓発イベントを開催

この調査を踏まえ、ヤンセンファーマ株式会社では12月11日~13日の3日間にわたり「ワークシックバランス」の啓発イベントを開催しました。場所は東京都世田谷区の二子玉川ライズ「ガレリア」です。

IBD(後述)やワークシックバランスについてまとめたフリーペーパーを配布したほか、在宅勤務がより快適になる自走式のビデオ会議ロボットの紹介・体験がありました。自身のワークシックバランスについて振り返るチェックを壁面パネルとして設置するなど、持病と仕事のバランスについて考え直す良い機会となっています。

「IBDとはたらくプロジェクト」とは

これらの調査やイベントは、ヤンセンファーマ株式会社が立ち上げた「IBDとはたらくプロジェクト」の一環として行われています。IBDとは「炎症性腸疾患」のことで、クローン病や潰瘍性大腸炎を指しています。いずれも原因や治療法は不明で、国から難病として指定されています。

小腸や大腸の粘膜に慢性の炎症を引き起こすのが主な症状で、再燃と寛解を繰り返しながら一生付き合うことになります。患者数が世界的に増加しているほか、10~20代が発症しやすい傾向にあるようです。

IBDに限ったことではありませんが、「持病があるから働けない」ではなく「持病と上手く付き合える働き方」を広げていくのが大事です。そうすれば指定難病を今抱えている人だけでなく、自身が難病を抱えてしまった時にも働き続けられる社会に近づいていくことでしょう。

イベントレポート

ヤンセンファーマ株式会社は、働く皆と一緒に仕事と治療の両立を考えるイベント「ワークシックバランスひろば」を12月11日(金)から13日(日)まで、二子玉川ライズガレリアにて開催されました。イベントに先立ち実施したメディアセミナーでは、炎症性腸疾患を事例にした「ニューノーマル時代の仕事と治療の両立支援」をテーマにエッセイスト/タレントの小島慶子さん、北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター(IBD センター)副センター長を務める小林拓先生、医療ジャーナリストの森まどかさん、実際にIBDを患いながら、自分らしいワークスタイルを送っている患者さんの代表として、奥野真由さんの4名を交えたトークセッションが行われました。

トークセッションでは、ヤンセンファーマが 2019年に立ち上げた 「IBDとはたらくプロジェクト」より、「IBDという難病を抱えながらも、自分らしく働くためにはどうするべきか」 「昨今の社会情勢の中で治療とどう向き合っていくか」について語り、IBD患者の就労支援について議論されました。

働く日本人の3人に1人が持病を抱えている現代、仕事と治療の両立(ワークシックバランス)が課題となっています、セミナーのトークセッションでも、小林拓先生から「IBD は10~30代で多く発症するため、就職から働き盛りを経て定年まで、IBDと付き合いながら過ごす人も多く、患者さんが自分らしく働き続けられる環境づくりがとても重要です」と、患者さんの実情を踏まえたコメントされました。さらに「普段つい『シック』に注目して診察しがちですが、患者さんとコミュニケーションを取るうえで『ワーク』や『ライフ』の部分にも目を向けることは、我々医療従事者にとっても重要なことだと感じました」ともおっしゃられました。

また、自身の病気や障害について積極的に発信し「ワークシックバランス」にとりくんでいる小島慶子さんは「33歳で不安障害を発症して仕事と治療と子育ての両立をしていたとき、会社の人が親身になって話を聞いてくれて気軽に相談できたことがすごく助かった」と自身の経験を振り返りながら、周囲のサポートの重要性や「心理的安全性が高い職場は結果的に能率が上がると思うので、みんなのハッピーにつながるような職場作りをしてほしい」と職場の環境が仕事に与える影響や、その環境を整える立場の方々に対する自身の期待を訴えました。

最後にMCから、ワークシックバランスを実現するために必要な事について問われると、奥野さんの「企業に理解を求めるだけでなく、患者自身も伝える力を磨かなければならないと思います。『周囲の理解がない』と嘆くのではなく、自分の強みをアピールできるようなコミュニケーションを心がけ、企業側と患者さんが互いに理解を高めながら、歩み寄ることが、ワークシックバランスに繋がると感じています」という、相互理解を目指す言葉でセミナーが締めくくられました。

障害者ドットコムニュース編集部

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「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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