就労移行支援事業所の訓練内容は?~利用者からのレポート

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出典:Photo by You X Ventures on Unsplash

就労移行支援事業所とは、18歳以上の障害者が就職するために必要な訓練をおこなう場所です。

訓練と聞くと、「がむしゃらに頑張る」「厳しく行う」というイメージを持つかもしれません。しかし、就労移行支援事業所ではそのような訓練はしていません。では、どのような訓練をするのでしょうか?事業所に通う当事者がレポートします。

プログラム受講

カリキュラムの1つとして、知識や自己理解の基礎を身に付けるための、プログラムを受講します。主な内容は「ビジネスマナー」「自己の障害・病気の理解」「ストレスマネジメント」「コミュニケーション」「応募・面接の仕方」になります。

ただ話を聞くだけではなく、ロールプレイがあったり、自分の考えを書き出す時間があったり、他の利用者の意見を聴く機会などたくさんあります。例えば、「出勤したときに気持ちのいい挨拶をする」というロールプレイがあったり、自分の特性についてワークシートを使って整理したり、他の方のストレス解消法を聴いたりしました。

特に印象に残ったプログラムは、履歴書作成の回でした。障害者求人の履歴書には障害説明の欄があります。私は大人になってから発達障害の診断が出たので、自分の特性を文にまとめるのは初めてでした。そのときは、医者から指摘された症状を書いてみましたが、実感が湧きませんでした。医者から言われたこと以外にも何か困難を感じているのに、うまく文にできなかった思い出があります。現在は、さらに自己理解を深めつつ、すでに書いた障害説明を一新すべく、訓練に取り組んでいます。

個別訓練

個別訓練では自分自身の特性や事情に合わせて、取り組む内容を決めていきます。事前にスタッフと決めた内容以外にも、解決したい事案がある時に取り組みます。これだけではイメージが湧きにくいので、私の事例を紹介します。

私はストレスをため込むクセがあり、あまり周りの人に相談しませんでした。そのため、気分が落ち込んで生活に支障が出ていたのです。これに対処するために、悩みごとをノートに書いてスタッフに見せて相談しました。気持ちの落ち込みのサポートが得られただけでなく、悩みごとに対処する方法を考えることができたのです。この活動を繰り返した結果、気持ちが安定することが多くなっています。

さらに、思いついたことや好きなことについて、衝動的になってしまうことがあります。後先考えずに発言してしまって、自分が思わないところで人の気持ちを傷つけてしまう、誤解を招いてしまうことが何回かありました。自分の言動を改善しようと、TPOチェックリストを作ってみました。使用方法は前向きに検討中です。

また、取りたい資格のために、自主勉強する時間を作りました。試験に必要な知識を本やインターネットからえて、ノートにまとめています。新型コロナウイルスの影響で試験が半年間の延期になってしまいましたが、スタッフと話し合い、勉強のペースを調整しています。

このように、柔軟性をもって個別訓練に取り組むことができています。

企業見学・実習

就労移行支援事業所での最終目標は就職です。そのために、企業を訪問してお仕事を見学したり、実際に実習にいきます。

個人的に企業見学・実習では3つのポイントを重視しています。「仕事内容」「配慮に応じてくれる人がいるか」「どんな場所で仕事をするか」この3点です。

私は病院での実習で様々な部署で実習させていただいたことがありました。その中で印象に残ったのは薬局での体験です。

「仕事内容」……仕事内容は薬剤のピッキングです。ピッキングは体力的には可能です。

「配慮に応じてくれる人がいるか」……配慮してくれる人はいました。病院では部署ごとの連絡網が整っていて、必要なときに人が支援してくれるシステムでした。実習のときには人事課の方が中心になって対応していただきました。

「どんな場所で仕事をするか」……作業場所は薬棚がとても多くある環境でした。

実習の結果、休憩を挟んだにも関わらず疲れてしまいました。実は実習前に私の特性を知っているスタッフが予測していたのです。その背景は次の通りです。私は医者から「物を見て探すのが苦手」と言われています。その情報を基にスタッフがピッキングの訓練を事前にするように提案してきました。実際にやってみると、疲れて、正確性もあまりよくありませんでした。事前の訓練と実習を通して、ピッキングは私には合わないことが判明したのです。

このように、企業見学・実習では自分の特性が仕事にどう影響するか見極めたり、対策を考えたりできます。

まとめ

就労移行支援事業所でしている訓練とは、自分を知る活動と仕事を知る活動です。今後の生活を豊かにするための基礎作りだと私は考えています。

今回は私の例を紹介しました。訓練の内容は事業所によって特色があります。気になる場合は事業所に連絡してみてください。

お家の眠り羊

お家の眠り羊

28歳の女性。広汎性発達障害。学生の時に特別支援教育や心理を学び、活かしたいと思っている今日この頃。現在は就労移行支援事業所に通所。羊の湯たんぽカバーが大好きで、すでにマイキャラクターになっています。

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