双極性障害(躁うつ病)とは?うつ病とは違う!その症状や原因、治療法は
双極性障害(躁うつ病)出典:http://www.huffingtonpost.com
双極性障害という病気をご存知ですか?元々、躁うつ病とも呼ばれる病気です。精神疾患の中でも気分障害に分類され、激しい躁状態とうつ状態を繰り返す双極I型障害と軽い躁状態とうつ状態を繰り返す双極II型障害があります。この病気の恐ろしいところは、数ある精神疾患の中でも自殺企図率が最も高いところです。現在の日本では約500人に1人の割合で報告されていますが、世界的に見れば約100人に1人が罹っている疑いがあると言われている病気です。
双極性障害の症状
躁状態とは、気分が病的に高ぶっているということです。誰かれ構わず話しかけたり、ギャンブルに溺れる、高額のローンを組んでの買い物を繰り返す、上司と喧嘩をして辞表を叩き付けるなど、社会的信用や財産を失うほどの激しい状態です。周りから見ても、「あの人いつもと全然違う」「どうかしてる」など一目瞭然です。一方うつ状態とは、1日中憂鬱な気分が続いたり、不眠や意欲、関心の低下、食欲低下などがあり、重度化するとベッドから起き上がる事すら困難になります。
双極性障害を放置しておくと躁状態、うつ状態ともに深刻化し、「生きていても仕方ない」など考え、最悪の状況も起こり得ます。
また、双極性障害の症状はうつ病と類似しているため、単なるうつ病と診断されることも少なくありません。うつ病と区別が難しく、診断初期には軽躁状態も躁状態もなくうつ症状のみの方や、本当は双極性障害なのに正しい診断がされないため、うつ病と診断されるケースもあります。
うつ病と双極性障害では使用する薬や治療法も全く違ってきます。ご自身のうつ状態だけに目を向けるのではなく、それ以前の行動や思考なども医師に相談することが大切になってきます。
双極性障害の原因やきっかけは?
双極性障害になる原因は今現在明確には解明されていません。しかし、一般的には、遺伝とストレスの2つが関わっているとされています。
まず遺伝についてですが、双極性障害は1つの遺伝子だけが関わってくる、いわゆる「遺伝病」というわけではなく、複数の遺伝子が複雑に関わっている可能性が高いと考えられます。よって、「親が双極性障害だから自分も双極性障害になる」というわけではありません。しかし、両親ともに双極性障害ならば、その子どもが双極性障害になる確率は50%〜75%ほどになると言われています。これらの理由から、遺伝が双極性障害の原因の1つである可能性が高いと言われているのです。
次にストレスについてですが、ストレスと一括りに言っても、環境であったり、個人の性格、ストレス耐性によって受ける負荷はまちまちです。しかし、ストレスを受けると、「コルチゾール」という血糖を上げるホルモンが分泌されます。このコルチゾールが過剰に分泌されることで神経に障害を受け、それが双極性障害を発症する要因の1つではないかと考えられています。
双極性障害の治療法と心構え
双極性障害は放置すると再発や重度化する恐れがあります。双極性障害が疑われる場合は、まずは医療機関を早めに受診しましょう。双極性障害と診断されたら、「感情の波を上手くコントロールすること」を目標として治療していきましょう。まずは、この病気をしっかり自覚をすることが大切になってきます。
続いて双極性障害の治療法として代表的なものを2つ挙げます。
<投薬治療>
双極性障害の治療は長期間にわたって継続していくことが大切になってきます。そのため投薬治療が一番の基本となってきます。一般的には気分安定薬や向精神薬が使われます。気分安定薬は躁状態とうつ状態両方の治療と予防に効果があります。向精神薬は気分安定薬と併用することによって主に躁状態の治療に効果を発揮します。
<精神療法>
この治療法も投薬治療と同じく双極性障害には一般的な治療法となってきます。これはフロイトの精神分析学が基本となっていて、「認知療法」「行動療法」「対人関係療法」などがあります。精神療法の定義としては、「治療者と患者のやり取りの中で症状を改善させていく」というものです。この治療は治療者が一方向に治療を行っていくのではなく、患者さん自らが主体的に、治療者と関わりを持ち、自身の日々の認知や思考パターンを考え、それを元に自身をコントロールする方法を見つけていくというものです。
双極性障害は再発性が高い分、長期間の服薬などが必要になってきますが、適切な治療を施せば普通の生活を送ることもできます。もし双極性障害になってしまっても悲観的になりすぎず、自覚を持って、前向きに治療に取り組みましょう。
その他の障害・病気