内部障害とは?障害は「見えない」けど配慮が必要です
みなさん、「内部障害」という言葉を聞いたことがありますか?内部障害は、その名のとおり、肢体不自由以外の「体の内部の障害」です。
身体障害者福祉法で定められており、身体障害者手帳の交付対象になっています。
内部障害の種類
内部障害は、次の7つの障害に分けられ、厚生労働省による平成23年生活のしづらさなどに関する調査では障害者数は93万人と推計されています。
①心臓機能障害 59万1,200人
不整脈、虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞、心不全などにより、血液循環の機能が低下する障害です。
②腎臓機能障害 19万4,600人
慢性腎不全により、血液を浄化する機能が低下し、体液の恒常性が維持できない障害です。
③呼吸器機能障害 6万8,300人
呼吸慢性気管支炎、慢性肺気腫、慢性呼吸不全などにより、呼吸機能が低下する障害です。
④膀胱・直腸機能障害 10万6,600人
二分脊椎、膀胱がん、大腸がん、腸閉塞などなどにより、通常の部位からの尿や便の排泄できず、新たな排泄口(ストマ)を設ける必要がある障害です。
⑤小腸機能障害 7,800人
腸閉塞、腸結核、上腸管膜血管閉塞症、事故による外傷などにより、小腸の一部を切除し、食事以外の栄養摂取も必要となる障害です。
⑥ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV感染症) 3,400人
HIVに感染し、エイズの発症により免疫機能が低下する障害です。
⑦肝臓機能障害 5,000人
肝炎、肝硬変、肝ガン(肝臓がん)などにより肝機能が低下する障害です。
なお、1型糖尿病は、膵臓機能障害ですが、現在のところ、身体障害の認定基準は満たしておらず、対象にはなっていません。
内部障害のリハビリテーション
内部障害者は長期の安静・臥床などにより身体・精神活動の抑制を強いられることが少なくありません。そのため、能力低下をもたらし、内部障害や運動機能障害がさらに悪化するおそれがあります。積極的に運動を行い、健康や体力を維持・向上させる運動療法が効果的です。
それから、薬物療法・食事療法・カウンセリングなどのリハビリテーションを行うことで症状の改善が期待できます。
身体障害者手帳を得ることで、就労移行支援や就労継続支援といった福祉サービスを利用して、就労に向けて訓練することができます。また、ホームヘルパーやグループホーム、補装具費助成など生活の支援を受けることも可能です。
内部障害の人への接し方
内部障害者の共通の悩みとして、外見からは問題が無いように見えて、障害があることをわかってもらえない、いわゆる「見えない障害」という点があります。呼吸器機能障害者の方で酸素ボンベを携帯している場合もありますが、ほとんどの人が外見からはわかりません。そのため、周囲の理解が得られにくく、電車やバスの優先席に座っていても、マナーを守らないように見られ、嫌な思いをすることがあります。
また、進行性の疾患を伴っていることも多く、症状の変化で不安を抱えていたり、人工透析などの継続的な医療ケアや介護が必要な人もいます。定期的な病院への通院、本人自身の自己管理、周囲の理解ある配慮等により生活のリズムを守り、体調を維持することが大切です。ヘルプマークを身につけることで、周囲の人から援助を得られやすくなるので便利です。
内部障害者が就職して仕事をするためには、十分に休息がとれる場所の確保、長時間の通勤を必要とせず、時間外勤務などの少ない職場への配置等が必要です。内部障害のある人と接する場合に適切な対応がとれるように、日頃から彼らの生活上のさまざまな不便さを理解しておくことが大切です。
内部障害については、まだまだ理解や必要な配慮がなされておらず、困っている人が多くいます。まずは、電車の優先座席では携帯電話の電源を切ったり、近くではタバコを吸わないなど、できることから始めていきましょう。
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