人生の先輩から障害のある私への教訓〜長い目でみることの大切さ
仕事今まで私が生きてきた中で、色々な方から色々な言葉をかけて頂きました。非常に失礼な話ですが、当時の私には理解できない事が多く、何を言っているのだろうとか、頭がおかしいのではないか等と、思っていました。しかし、年を重ねて当時の自分くらいの人を前にして、当時言われた言葉の意味が少しだけわかった気がします。障害が原因で失敗ばかりしていた自分が、今日まで紛いなりにも社会人としてやってこれたのは、その方達のお陰だと思います。
結果が全てではない
過去の勤め先で、同い年くらいの同僚がいました。彼は何事も器用にこなし仕事を覚えるのが早く、指示された事は直ぐに理解し適切にこなしていました。対して自分は、何事も不器用で仕事を覚えるのにも時間がかかり、指示された事をなかなか理解せず見当違いな事ばかりしていました。今思えば自身の障害が原因だったように思います。彼は、上司からの信頼を得て、色々な仕事を任される様になりました。
私はというと同じ失敗ばかり繰り返し、雑用しかさせて貰えませんでした。別に手を抜いている訳でも、失敗しようと思ってしている訳でもなく、自分なりに一生懸命やっているつもりでした。その時、当時の職場の先輩から「結果が全てでは無いから、ちゃんと過程もみているから、一生懸命やり続ける姿勢があれば、きっと出来る様になるから」という言葉をいただきました。当時の私には理解の及ぶところではありませんでした。
仕事を覚えるのが早い人は手を抜く事を覚えるのも早い
そんな感じで仕事をしている訳ですから、仕事を覚える事が早い彼は、朝は定時に来て準備をし自分の仕事が終わったらさっさと休憩して、仕事が終わったら直ぐに遊びに行ってました。私はというと相変わらず、仕事が遅く失敗ばかりしていたので、朝早く出てきて、それでも間に合わずに怒られて、仕事もなかなか終わらず遅くまで帰れませんでした。
それからしばらくして、彼は手を抜くようになりました。仕事中に先輩にばれないように、サボって携帯電話でゲームをしたり、「このやり方の方が早いから」という理由で、教わった方法と違うやり方で仕事をしたりしていました。彼は大抵の人が苦労する様な仕事でも、難なくこなす事が出来たので、何故そんな簡単な事が出来ないの?という感じでした。出来ない人の気持ち、なぜその仕事をするのかという理由、仕事を突き詰めて更に上を目指す、という事がわからなかったみたいです。それに対して、自分は障害の特性上、こだわりが強かったので、一つの仕事を突き詰めるという事は出来たので、技術的な事に関しては教える事が出来るようになりました。
自分自身を優秀だと思っている人に本当に優秀な人はいない
その後、彼は腕を買われて店を任せられるようになりました。しかし、彼のやり方についていけず、従業員やアルバイトが変わっていました。話を聞いてみると「従業員がなかなか仕事を覚えてくれないのでそんな人に給料は払えないので、やめさせた。」、「仕事を教えても、その通りのやってくれないし、その仕事の理由とか意味とかばかり聞いてくるので、それだったら人に仕事を教えるよりも、自分でやった方が早い」といった感じでした。その結果、店としては収益が上がらず、オーナーと折り合いが合わなくなり、彼は店を辞めてしまいました。その後、他の所で勤めて、最初のうちは仕事が出来ると重宝されるのですが、次第に他のスタッフと折り合いが合わなくなって辞めるというのを、繰り返したそうです。
自分自身は障害が原因という事もあって、仕事で同じ失敗を何度も繰り返してました。ですが、仕事に対して、一生懸命取り組む姿勢は評価して貰えました。今になって思う事は、人を評価する時は仕事が出来る、出来ないだけではなく、その人がどのような姿勢で仕事に取り組んでいるか、人の対してどのように接しているかといった人間性の方が、遥かに大事だと思います。当時の先輩の言葉を今の私は、このように解釈しています。