精神障害者保健福祉手帳〜精神障害者向けの手帳について
暮らし障害者手帳には身体・知的・精神それぞれに別々の名前がついています。身体はそのまま「障害者手帳」、知的は「療育手帳」、精神は「精神障害者保健福祉手帳」が正式名です。とはいえ、精神障害者保健福祉手帳は名前が長く、精神疾患への配慮などから、表面カバーは「障害者手帳」と印字されているのですが。
精神障害者保健福祉手帳は、ただ精神障害者であると証明するためだけのものではありません。これにより受けられるサービスは若干ながら存在します。また、他2種の手帳と明らかに違う点も存在します。
身体でも知的でもない障害はだいたい対象
精神障害者保健福祉手帳の対象となるのは、身体や知的に属さない障害や疾患のほぼ全てといっていいでしょう。具体的には、統合失調症・気分障害・依存症・高次脳機能障害・てんかん・各種精神疾患などが挙げられます。ADHDやASDなどの発達障害もこちらのカテゴリに含まれます。
等級は重いほうから1級・2級・3級とあり、同じ級の障害年金に相当している模様です。3級だと厚生年金に入っていないと障害年金が下りないので、就労経験にかなり左右されやすいです。
ちなみに、知的障害と発達障害が同時にある場合は、療育手帳と一緒に持つこともできます。
唯一更新の義務がある
他2種の手帳と違う最大の特徴は、運転免許のように定期的な更新手続きをせねばならないことです。ペースは2年に1回で、万が一これをすっぽかすと手帳は失効となります。
申請や更新には医師の診断書あるいは障害年金証書の写しが必要となります。毎回更新するたびに診断書を発行してもらう必要があるため、更新時期は所持金に余裕を持っておきましょう。
逆に、精神疾患が寛解したなどの理由で返納することもできます。寧ろ手帳を持つ理由が無くなってなお更新しようとしても、申請が通らず返還を迫られるケースさえあります。もちろん返還すれば法的には健常者です。
精神疾患と違って発達障害は一生モノなのですが、精神障害者手帳に含まれる以上定期的な更新作業は必須です。発達障害でも当人が不自由なしと判断して返還することはあるかもしれませんが、人生何処へ飛ぶか分からないので、無鉄砲な行動は慎んだほうがいいのではないかと思います。診断書発行の際は、医師としっかり相談しておきましょう。
更新の義務や返還の選択肢が、精神障害者保健福祉手帳ならではの特徴といえます。他2種でも返還することはありますが、9割以上の理由が当人の死亡ですね。
どういったサービスが受けられるのか
精神障害者保健福祉手帳によって受けられる福祉サービスは、他2種とだいたい一緒かもしれません。まず障害者向けの就労支援や障害者雇用枠での入社などが出来るようになります。税金も所得税・住民税・相続税が控除され、1級に限り自動車税も減免されます。NHK受信料も減免され、地域などによっては私鉄・携帯料金・水道代が割引されることもあるようです。
ちなみに精神科受診の際利用するであろう自立支援医療(医療費の自己負担を3割から1割に落とすアレ)は手帳がなくとも受けられます。
挙げた中で最も大きいのは、住民税や所得税の控除となるでしょう。障害者の就労は大抵非正規から入ることになり、経済的な自立がとても難しいです。税負担を減らす方法が実践できるならば試す価値は大いにあります。昇給より先に寛解して手帳返納となると後が怖いのですが。
まとめ
精神障害者保健福祉手帳は、他2種と違って定期的に更新の手続きをせねばならず、手帳を支給される理由の精神疾患が寛解すれば返還を迫られることもあります。裏を返せば、必要無くなれば返還して健常者として暮らせる可能性が秘められています。
しかし、復職はまだしも再就職となれば非正規からとなるので収入は不安定です。手帳があれば住民税や所得税の控除が出来ますので、収入が安定するまでは税負担を抑えて凌ぎましょう。というか、障害者の平均年収(健常者平均の65%程度)を考えるとこれらの防衛策は積極的に活用すべきです。
住民税や所得税の控除は全国どこでも出来ますので、困ったときは試してください。
参考文献
精神障害者保健福祉手帳|経済的な支援|治療や生活に役立つ情報|みんなのメンタルヘルス総合サイト
https://www.mhlw.go.jp