特別支援学級の弱点〜療育と学力の両立はできない?

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一定の大きさがある学校ならば大抵特別支援学級はあります。通常学級だと難しいが支援学校へ行くほどでもないレベルの障害を持つ児童が対象ですが、具体的な基準というのは恐らく定まっていないと思います。

診断技術の進歩や保護者の意識向上もあって、支援学級が選択肢として加わることも今では珍しくありません。ただ、支援学級が抱える構造上・本質上の問題は無視できなくなってくるのではないかと思います。

“捨て場”扱いは変わらず?

身内の話になるのですが、母は小1の頃(1960年代前半)、通常学級から支援学級へ無理矢理放り込まれた経験があったようです。あまりに勉強のできない子だったため、「担任の女性教師が急にキレて、訳の分からないことを言ったと思ったら支援学級に入れられた。」と語ってくれました。程なくして復帰はしましたが、女性教師への不信という形でトラウマが刻まれました。進級のとき最初に質問するのは決まって「担任の性別」だったぐらいです。

実は50年以上経った現代に至ってもなお手に余る子を支援学級に移したがる、母の担任のような教師は存在します。それどころか支援学級が定員超過すると、障害の重いほうから支援学校への転校を迫るケースまであります。保護者が拒否すればそれ以上のアクションは起こしてこない筈ですが。

背景に診断技術の進歩による障害の早期発見があります。昔は見過ごされていた発達障害に診断が下りるようになりましたが、その副作用で支援学級を選ぶハードルが下がりました。「通常学級では難しいので支援学級へ」という選択が安易にとられ、そのしわ寄せで支援学校への半強制転校がなされているのです。通級指導には地域差がありますし。

学力・進学と療育が両立しない

高機能自閉症など、知能指数に問題のない発達障害の児童・生徒には、特別支援学級に入ることが却ってマイナスになる場合があります。療育の面では支援学級のほうが優れている傾向にありますが、勉強となるとどうしても独学になりやすいです。地域によっては内申点がつかない中学校もあり、一般高校への進学は無理とまでいかずとも極めて不利となるでしょう。学力面では通常学級よりも、保健室登校や不登校と近い状態にあると言えます。

とはいえ、通常学級は療育が行き届かず環境的にはリスキーです。勉強と療育を同時に進めるのが難しい点は障害児教育に昔から降りかかる問題といえるでしょう。知能指数に問題はなくとも、発達障害の傾向が酷いだけで進路先が大きく制限されるのは将来的に不幸しか生みません。障害の代償になるスキルを持っている人間ばかりではありませんし。

通常学級との交流について

通常学級からみた支援学級のイメージ問題も無いわけではありません。通常学級との交流を進める学校は多いですが、障害の理解よりも福祉関係に就く才能を発見する目的のほうが理に適っている気がします。要するに、理解する子は福祉の才能を開花させ、逆に理解を拒む子は猶更強く差別意識を持ちます。

中学の時、部活が支援学級生の受け皿だったことでちょくちょく関わっていたのですが、交流授業になっても関わるクラスメートは男子数人程度で、女子の中には「本格的にキモイ」「ガイジめ」と陰口をたたくのもいました。自分は能動的に関わることはありませんでしたが、飛び出したのを追いかけたことは数回ありました。

交流授業が流行り出す少し前のことなので今の状況は分かりませんが、支援学級にいいイメージを持たない子は一定数居ます。中学時代の話にもう一つ付け加えると、スクールカーストの高い生徒は支援学級の生徒と関わりません。

自分の経験から言えることは結局、「通常学級と交流するにしても、クラスの権力者の理解次第」ということです。カジュアルに行き来できるようになった時代を大学の実習で見たのですが、それでもスクールカースト上位が障害児に理解を示すビジョンは見えておらず、暗黙の「〜ちゃん係」が出来ている有様です。

まとめ

特別支援学級のイメージは前より多少上がり、障害の早期発見もあって希望者は増えています。しかし定員の問題で、通常学級に留め置いたり支援学校への転校を要請したりする学校も出てきています。

また、知能指数に問題のない児童・生徒にとっては、療育と勉学を両立しづらく進路先が狭まりやすい問題があります。しかし絶対無理というわけではありません。中学時代に身体障害の先輩がいたのですが、彼は一般高校へ進学しましたし、絶対に無理ということはない筈です。ただ、地域によっては不利です。

気がかりなのは、スクールカーストの高い生徒が障害を持つ生徒に対してやる気がないことです。将来福祉を潰すのは恐らく彼らではないかとさえ思うのです。

参考文献

「特別支援学級」で育った子の知られざる本音|おとなたちには、わからない|東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net

支援学級・学校へ押し出される子どもたち|AERA.dot|東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net

特別支援学級に対するイメージがガラリと変わった〜!|この世界はLOVEで出来ている
https://ameblo.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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