参議院選でれいわ新撰組、重度身体障害者2人を擁立する。史上初の国会議員となるか!?
暮らし 身体障害参院選の投票日が迫ってまいりました。障害者擁立といえば以前、立憲民主党から“筆談ホステス”で話題となった斉藤里恵氏が擁立されたのですが、「れいわ新撰組」からも身体障害者が2名擁立されることになっています。
れいわ新撰組から立候補した2名というのは、脳性まひの木村英子氏とALS患者の舩後靖彦(ふなご・やすひこ)氏です。どちらも重度の身体障害者で、公示前日の候補者発表会には介助者付き添いのもと出席しました。
本人の得票数によらず優先的に当選する「特定枠」の1位2位で擁立されており、各新聞の世論調査でれいわ新撰組が1~2議席取ると予想されていることから考えると、代表の山本太郎氏が落選しない限り木村氏と舩後氏の参政は確実とみられています。
ALS歴20年の副社長・舩後靖彦氏
ALSとは全身の筋肉のほとんどが動かなくなっていく原因不明の難病です。舩後氏も20年前に突然ALSを発症し、数年で人工呼吸器と胃ろうを必要とするまでになりました。現在は残された身体機能を駆使して意思疎通から創作活動まで行う手段を確立しています。
舩後氏は看護・介護事業に携わる株式会社アースの取締役副社長や高齢者向け住宅「サボテン六高台」の名誉施設長も務めています。この肩書きは、ALS患者から適当に擁立された訳でないことを物語っています。また、ALSは思考や知能への影響がないので、意思疎通の手段さえあれば議論や意見交換は十分可能です。
ALSと国会には苦い過去があります。2016年5月10日、衆議院で障害者支援法の審議が行われており、日本ALS協会副会長の岡部宏生氏が参考人として答弁する予定となっていました。ところが、審議の8日前になって岡部副会長は「答弁に時間がかかるから参考人を変えてほしい」と、事実上出席を拒否されてしまったのです。
舩後氏は1回限りの参考人ではなく、何度も審議に出席する議員へなろうとしています。かつて岡部副会長を拒んだ過去からの大きな変化が迫られることでしょう。
木村英子氏「介護保険と障害福祉の統合は危険」
木村氏は18歳まで施設と支援学校を行き来する、いわば「社会と切り離された生活」を送っていました。19歳からは地域への独立を選びます。地域で生きる知識がほとんどゼロの状態から始まったため、生活力を得るまで35年を要したと候補者発表会で述べました。
木村氏が現在危惧しているのは、介護保険と障害福祉の統合です。障害福祉としての支援サービスであれば、必要な時間分までヘルパーの介助を受けられますが、介護保険になると1日1時間しか介助を受けられません。65歳を迎えた障害者は介護保険へ強制的に組み込まれ、本来必要な介助を受けられなくなるのが現状です。
障害者の自立を認めず施設へ抑え込もうとする動きは木村氏にとって到底看過できるものではありません。障害者にも施設以外の生き場所ができるよう、介護保障運動に何度も携わってきました。木村氏にとって介護保障運動は生きるために必要なことなのです。
参議院の改築が必要か
舩後氏が特定枠1位で、各新聞の予想ではれいわ新撰組が1~2議席は得られると予想されていることから、当選はほぼ確実とみられています。それにあたって参議院では、大規模なバリアフリー改築が必要とされるのではないかと予想されています。
国会も決してバリアフリーに疎いわけではありません。身体障害者の国会議員だった八代英太氏が、77年~95年の18年間参議院議員として活動(その後96年~05年は衆議院議員も)していましたので、車椅子の八代氏が審議に出られるぐらいの設備は整っています。
ところが、舩後氏の場合は電動式ベッド+介助者なので普通のエレベーターでは審議に出られません。大きなエレベーターをつけるなどの大改築が必要となってくるのではないでしょうか。ただ、エレベーターの巨大化ひとつとっても、急病人を担架で運んだり大荷物を台車で運んだりしやすくなるので、全議員にとってもプラスになる筈です。前向きな解釈が望まれます。
参考文献
【参院選】脳性まひで障害の女性とALSの男性が立候補へ。れいわ新撰組が擁立。演説文に拍手喝采|ハフポスト
https://www.huffingtonpost.jp
れいわ新撰組・難病ALS患者が当選確実で参議院が困惑。対応策を検討か(2019年7月17日) - エキサイトニュース
https://www.excite.co.jp
重度障害者の木村英子氏、れいわ新撰組から参院選出馬(全文1)政治に参加して戦っていこう(THE PAGE)- yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp
『国会審議にALS患者の出席拒否』の真相と本質的な問題点|ハフポスト
https://www.huffingtonpost.jp
八代英太 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org
身体障害