就労移行支援事業所に通ってみて~体験談 Part.1 「就労移行支援に入ってから就職が決まるまで」
暮らし 仕事出典:Photo by Adrien Olichon on Unsplash
※ は じ め に ※
今回の内容はすごく重たい、暗い内容になっています。「いじめ」や「パワハラ」などのワードが苦手な方はお気をつけください。
また「就労移行支援、トライアル雇用を利用して失敗した」という内容なのですが、滅多なことがない限り私のような状況にはならないと思います。なので、あまり参考になるような話ではないことを先にお伝えしておきます。
前提として私の障害は「うつ病」です。ストレスに非常に弱いです。私の障害のことを登場人物は全員「初めから知っています」。そのことを念頭にお読みください。
なんで就労移行支援に通おうと思ったのか
簡単に就労移行支援について説明しますと……
「将来、一般企業への就職を前提として、そのための知識と能力を訓練する障害福祉サービス」
「企業が求める能力・知識と障害者の能力・知識のギャップを埋めるための支援をする。就労後も長く働けるように職場への定着支援も行う」
この2つが主な役割です。簡単に言うと「企業と障害者の間に入って中立の立場で仲介役をしてくれる福祉サービス」といった所でしょうか。
私が就労移行支援事業所に通うようになったのは、ケースワーカーさんに私が通いたいと申し出たからでした。動機は過去にいくつかの障害者向けの就職イベントに参加をした際に「就労移行支援に通ってますか?」と尋ねられたことです。当時、私は就労移行支援に通っておらず1人で就職活動をしていました。要は企業側から「障害者を雇用するにあたって不安だから相談役となる人はいないか」と確認されたわけです。
「早く就職できる就労移行支援事業所に行きたいです」
ケースワーカーさんは私の希望通り、早期就職に力を入れている就労移行支援事業所を紹介してくれました。
はじめての就労移行支援事業所
通所を開始する前に一度面談に行き、その後、何回か体験通所しました。人がたくさんいるにも関わらず非常に静かな雰囲気だったのを今でも覚えています。
その事業所は都市部にある雑居ビルの一室にありました。他の企業さんも入っているのですが、障害者福祉を取り扱っている企業というわけではなく、ごく一般的なオフィスの中に就労移行支援事業所が入っているという環境でした。毎朝、出勤されるサラリーマンやOLの方々に交じって私服の通所者がビルに入っていきます。
時間は10時から15時まで。1日4時間(昼休憩1時間)というスケジュール。45分を1コマとして訓練を行い、1コマ終わるごとに15分の休憩が入ります。
訓練時間内は特に何を訓練するかは決まっておらず、自由でした。
ワードやエクセルなどのオフィススキル。簿記やMOSなどの資格の勉強。プログラミングやデザインなどの専門的な勉強。
時おり、希望者が何人か集まって、コミュニケーションスキルやマナーの講座を受講します。講師の方が来られたりもしましたが、大抵は職員さんが毎回、どこかのインターネットサイトで見つけたようなプリントを配布し、一緒に読み合わせをするだけでしたが……
通所してくる人の障害の種類は様々で、ほどんどが精神障害か発達障害の方でしたが、中には知的障害や身体障害の方もおり、エレベーターに乗るときに補助をすることもありました。
それでもさすがに……
「早期就職に力を入れている事業所」とケースワーカーさんに紹介されただけあって、1カ月も通所すると職員さんが求人を見つけて持ってきてくれるようになりました。
流れとしては、職員さんが持ってきてくれた求人の内容を見てその中からいくつかを選ぶと、職員さんが電話でその企業にアポイントを取ってくれ、「うまくいけば」面接にお伺いするという手順でした。というのも、職員さんが持ってくるのは「一般の求人」がほとんどでした。
インターネットで利用者さんが興味ありそうな求人をいくつかピックアップして印刷。それを利用者さんに渡して、気に入ったところがあれば企業に電話。一般求人を障害者求人に切り替えてほしいとお願いしてたからです。当然、企業側からしてみれば「突然そんなこと言われても……」というお話なわけでして。快く切り替えてくださる企業は少なく、面接に伺うことができない場合がほとんどでした。
一方、私は私で就職イベントに参加したり、障害者向けの求人サイトを閲覧したり応募したりしてました。結果は大抵が一次選考で落選。面接に行けても「お祈り」ばかり頂くという残念な結果でしたが……。
そんなこんなで2~3ヵ月ほどが経過したある日。就労移行支援事業所から紹介された求人で偶然にも面接をしてくださる企業が見つかりました。通勤は電車で1時間半くらい、県境を跨いだ先にある住宅地の中の服屋さんでした。いくつかのお店を持っているらしく、さらにはインターネットでのオンライン販売もしている立派な会社でした。私の仕事の内容はWebデザイナー。前職と同じです。喜んで面接を受けに行き、その2週間後には、みごと内定の通知を頂くことができました。その時、利用したのが「トライアル雇用」です。
何故、トライアル雇用を利用したか
トライアル雇用とは簡単に言いますと「一定期間のお試し雇用期間」です。企業と対象となる人がお互いに「相性がいいか」とか「仕事はきちんとできるのか」とかを「お試し」することができます。そして、お試し期間中は企業側に「助成金」が支給されます。つまり、企業側は普通に雇用するよりも「安く」人材を確保できるわけです。そして、お互いに合意すれば期間終了後に本採用となります。
私は面接のときに、「一般就労と同じ条件で障害者を雇用するのはちょっと……」って感じの雰囲気を担当の方から感じました。なので、「トライアル雇用という制度を利用したら助成金出ますよ」と言ったのです。
実は私もトライアル雇用についての知識はさほど持っていませんでした。なので、面接が終わってから就労移行支援の担当の職員さんに連絡をして、企業の担当の方に詳しく説明をしてもらうことにしました。そのおかげで理解を得ることができ、内定までこぎつけたというわけです。
勤務初日
さて、勤務初日。
早速、私の上司となる方を店長さんから紹介されました。実は面接を担当された方はお店の店長さんだったらしく、会社の地位としても上の方だったようです。私が初出勤して出された契約書に目を通してサインをしている時に私の上司となる方が出社されてきました。
出典:Photo by alan King on Unsplash
Let's!! Party People!!!!
※注 画像はイメージです
待てと。
さすがに引きました。いくら私服が大丈夫な会社でも、そんなラフな格好で出勤してくる人がいるのかと度肝を抜かれてしまいました。Webデザイナーでも洋服屋の店員だからおしゃれをしてるとかそういった次元ではありません。というか、見るからにラッパー。明らかに会社員という雰囲気ではありません。
私が店長に紹介されると「よろしく」とだけ短く挨拶をされ、部屋の奥に入って行ってしまいました。「何かあったら彼に聞いて」と、店長もお店の方へ戻っていきました。仕方がなく私も中に入り、勤務初日が始まりました。
結局、この日は特に何事もなく終わったのですが……
実はこの時からすでに問題は発生していました。
つづく……
うつ病