ADHDの私が大学在学中に1年間働いた体験談

仕事 発達障害

出典:Photo by Jane Last on Unsplash

現在、私は関西の就労移行支援施設に通いながら就職に向けて活動しています。大学を卒業し数か月してから就労移行支援に通い始めたので、社会経験というものはないに等しいです。唯一といえる社会経験は、大学休学中の非正規での仕事です。 今回はその間の出来事を紹介させていただきます。学生さんが就職活動の助けになれば幸いです。

休学して働くまで

私は大学在学中にADHD(注意欠陥多動性障害)の診断を受けました。どうやらADHDの兆候は幼少期から現れていたそうです。また、同時期に躁鬱の状態も重なっていました。そのため、2回の留年の後に2年間休学しました。最初の1年は躁鬱やADHDの治療に専念し、後半の1年は復学後の1年分の学費を貯める計画でした。

どのようにして学費を貯めていくかが最大の課題となり、休学1年目が終わりごろ、親が近所の社会福祉法人の方に相談をしてくれました。その方のすすめで、私は市の障害福祉課の方と相談しながらハローワークで仕事を探してみました。 そこで見つけたのは、契約社員として1年間、社内での郵便物の仕分け、配達、会議室の設営をする仕事でした。特に障害者雇用として募集していたわけではありませんでしたが、私は面接で自分の障碍のことについて話しました。ADHDであること、症状として注意力が欠けていること、朝早いのが苦手であること、マルチタスクが苦手であることも伝えました。結果、採用されました。

半月後、会社に採用された私は1年間働くこととなりました。採用担当者に「大学在学中の障碍者を雇うのは初めての事例」と言われました。(障碍者の雇用自体はしていたそうです)恐らく企業側にとっても私の採用はチャレンジだったのではないかと思います。

どうしてアルバイトではなく契約社員を選んだのか。その理由は3つあります。1つ目は規則正しい生活リズムを作るため、2つ目はアルバイトよりも稼げると考えたため、3つ目は社会保障がアルバイトより充実しているためです。

また、働くにあたり私は2つの目標を立てました。1つは社会人として経験を積むために「与えられた仕事はやり遂げる」こと。もう1つは復学してからの1年間の学費「100万円を貯める」ことでした。実際はもう少し安いですがキリが良かったのでこの金額に設定しました。

実際に働いてみてどうだったか?

1つ目の目標に関しては、結論からいうと契約期間まで勤め上げることができました。しかし、仕事中に細かいミスや物忘れもたびたびありました。注意されたり、時に怒られたりもしましたが、それでも周りが気長に再度指導してくれたりフォローしてくれたので、期間内まで勤めあげることができたのではと思っています。

配達や仕分け、会議室の設営のミスというものは相手方に迷惑がかかります。特に仕分けミスについては時間指定のものがあるので最優先に。また、届け先の方の部署が変わっていないかなどの細心の注意を払わなければなりませんでした。配達に関しては基本的には二人一組のダブルチェックができる体制でした。これに関しては大きなミスは少なかったかと思います。

会議室の設営に関しては、私1人でもできるような規模のものもありました。しかし、相手の要望通りの形にできているか確認してもらうため、同僚の方と一緒に作業をしました。

障碍の詳細などについては、面接や入社の際に採用担当者と現場の上長のみに伝えました。必要であれば他の社員の方にも私から話していました。配慮に関しては大方希望通りに受けられた思います。

ただ、朝が苦手というものに関しては、入社1か月後に、とりあえず1週間早番にチャレンジしてみて、ダメであれば最初の出勤時間に戻すという方針になりました。入社後しばらくは8時出勤でしたが、早番の場合7時出勤でした。私は通勤に1時間かかるため、出社の準備を考えると遅くとも朝の4時半に起きなければいけませんでした。この時間帯に起きたことは、今まで数回ほどしかなかったのでつらかったです。それでも1週間遅刻せずに出社することができ、早番の担当の週も増えていきました。最終的にはこの1年間を無遅刻無欠勤を通すことができました。

2つ目の目標の学費の貯蓄についてですが、これは月のお小遣いと携帯料金以外は預金して母親にお金の管理をお願いしました。そのおかげで、目標額以上の金額を貯めることができ、余ったお金で退職後に宮城、岩手へ一人旅をすることができました。

こうして2つの目標を達成でき、翌年にはなんとか大学を卒業することができました。

終わりに

この働いていた1年間は、個人的には充実した1年であったと思っています。この期間に「できること」「できないこと」を炙り出せたのは、自己分析のいい材料となっています。

復学後は体調のこともあり、大学の卒業を優先し就活についてはほとんどしませんでした。卒業後に第二新卒としての就職を目指して就活をしていましたが、コロナなどの影響もあって厳しいものでした。そこで、しばらくしてから現在通っている就労移行支援施設に通所することを決めました。

契約社員として働く前もアルバイトはしていましたが、この経験はアルバイトと契約社員の違いを感じる1年でもありました。大きな違いは自由に休めないことです。契約社員はアルバイトのように簡単に休みを決めることはできません。しかしそれにともなって仕事に対するより大きな責任を感じることができました。自分が休めば周りに迷惑をかけると思い、体調管理に気を使うようにもなりました。責任感が生まれ、体調にも気を配りながら無遅刻無欠勤を達成できたことは、私にとって大きな自信となっています。

採用担当の方も、今回期間内まで勤めた私にねぎらいの言葉をかけてくれました。また、会社としても今回の採用が大きな自信になったともおっしゃっていました。

大学のキャリアセンターの方によると、休学期間中に契約社員として働く方もたまにおられるそうです。読者のなかに休学中の学生の方がおられれば、休学期間を使って契約社員として働いてみませんか。さまざまな業務をする上で自身の得意・不得意の発見、仕事に対する責任感、社会の仕組みを学ぶことができると思います。契約社員として働いた経験が、キャリアの形成のみならず人生観も変わります。働いた経験は履歴書に書くこともでき、就職活動おいて武器の1つとして使うことができます。特殊な事例ではありますが「休学中の契約社員」も選択肢に入れてみてください。

ケア

ケア

関東生まれながら育ちはずっと関西。ADHDの症状は幼少期からチラホラあったものの診断を貰ったのは大学時代になってから。現在は就労移行支援施設に通いながら就職に向けての準備を進めています。

趣味は旅行と大リーグを見ること。特にクリーブランド・インディアンスのファン。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

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