発達障害との向き合い方~最近診断された筆者の場合
発達障害出典:Photo by Giulia Bertelli on Unsplash
近年、多くのチェックリストがSNSで公開されたり、芸能人がカミングアウトしたり、と「発達障害」という病気が世間に浸透しつつあります。その影響もあり、大人になってから発達障害と診断される人も少なくありません。
かくいう私も、大人になってから「発達障害」を診断されており、診断された後は様々な苦悩や経験をしました。今回のコラムでは「発達障害との向き合い方」について、私の経験をふまえて書いていきます。
発達障害の種類
発達障害は基本的に3種類に分けられます。
1つ目は「自閉スペクトラム症(ASD)」です。
社会的なコミュニケーションや他の人との意思疎通が上手くできない、こだわりが強く他人の理解をえにくい、といった症状がでる精神疾患のひとつで、別名として「アスペルガー症候群」とも呼ばれています。学生の時に気づかないまま大人になってしまい、会社などでひんしゅくをかったり、空気が読めずつまはじきにされたりすることで、ようやく気づき診断を受けるという人も少なくないようです。
2つ目は「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」です。
こちらはケアレスミスや見落としが増えるなどの「不注意」さ、思い付きで本能のままに行動してしまうなどの「衝動性」や、年齢に見合わず落ち着きがないなどの「多動性」の3つが症状として出る精神疾患のひとつで、患者数が3種類の中でもっとも多いといわれています。ADHDは仕事での失敗が直接出てしまうため、大人になってから気づき、診断を受けるというケースも多いです。
3つ目は「学習症害(LD)」です。
こちらは、知能的な発達の遅れは無いのに「読み、書き、計算」など特定のことができないといった症状がでる精神疾患です。例えば、国語など他の教科の成績は良いのに、算数だけが極端に低いなど、偏りが激しい場合が多いです。こちらは、他の二つに比べて学生のうちに気づいて診断されるケースが多いようです。
私が発達障害を診断されたとき
私がADHDとASDを診断されたのはちょうど1年前です。
その当時、1社目に就職した会社をパニック障害という病気が原因で辞めてしまい、療養していた私は、医師から勧められ発達障害の診断を受けました。自分自身、思い当たる節もあり、すんなり受けようと思いました。
結果として、私は日常生活に十分に支障をきたす程度のADHDと、軽度のASDを診断されました。
これは当時の私にとって結構重い出来事でした。もちろん、覚悟はあったものの、いざ診断を受けてみるとしっかりとした心構えができていませんでした。特に、世間や友人、知り合いの視線が変わってしまうという不安が大きかったように思います。
就労移行支援事業所との出会い
診断を受けた直後の私は将来のことを何も考えられず、1~2か月は何もせず過ごしていました。そんな中、とある「就労移行支援事業所」を見つけます。就労移行支援事業所(以降、事業所)とは、障害を持つ人がスムーズに社会に出る、もしくは復帰できるように職業体験などを通して、障害について学ぶ福祉サービスです。
その事業所は、お試しでプログラムを受けられる「体験通所」をやっており、早速私も申し込みました。この事業所は発達障害とうつの2種類のプログラムがあり、どちらの利用者も非常に明るく通所していたのを覚えています。さらに、職員は利用者に優しく接しており、体験の私にもとても親身になって相談を受けてくださいました。
これらに加え、プログラムの内容や立地などもよく、私はこの事業所へ通所を決め、実際に通い始めました。
余談ですが、事業所にはピンからキリまで様々なものがあるそうなので、一度体験や見学することをおすすめします。
就労移行支援事業所を経て
事業所での学びは本当に多く、すべて書くと10記事を超えそうなので、中でも重要な学びをご紹介します。
1つ目は「人にはそれぞれの個性がある」ということです。
私が通っていた事業所には、様々な発達障害者がいます。就職経験のない学生から、10社以上を転々とした50才越えの人など、多種多様な人が同じプログラムを受けることになります。プログラムや普段の会話を通して、経験や知識を見聞きすることで、自分自身の視野は本当に広がりました。
また、私の勝手なイメージでは「障害はマイナスのみのハンデ」だったのですが、実際には障害がプラスに働く面もあることに気づきました。例えば「注意散漫」という症状は、逆にいうと「新しいことに気がつきやすい」ということです。このように発達障害は利益も不利益もある、ある種の「個性」であり、誰もが自分の才能を咲かせる場所があると思っています。
2つ目は「なにごとも自分から動く」ことの重要性です。
個性とはいえ障害を抱えている以上、失敗やミスが多くなります。そのため、人によっては失敗を恐れて、挑戦をしないことがあります。私もそうでしたが、利用者の中には「障害だから」「個性だから」といって、そもそも対策を使用としない人もいるのです。
しかしながら、特に障害の場合は、失敗をしないと対処法が見えてこないこともあり、結果として自体は好転しません。事業所の通所で私はそのことを学び、できるだけやってみることを心がけています。具体的には業務を断らないわけではなく、その断る理由が「言い訳」ではないかを自分の中で問うようにしています。
他にも具体的な障害の対策に加え、ビジネススキルやコミュニケーションなど様々なことを事業所で学びましたが、一番はやはり「考え方の変化」だと思います。特に、自分と他人への「価値観」が広がり、柔軟な考え方ができるようになったと感じています。
おわりに~障害との向き合い方
私の通う事業所で「自己受容」という単語がよく使われます。これは「ありのままの自分を受けいれる」ということです。事業所に通うまでは発達障害を持つ自分、つまりはありのままの自分を受けいれられていませんでした。しかし、自己受容ができた今は社会での自分の役割をある程度理解し、自分ができる範囲で積極的に動けるようになりました。
障害を持つ人は、発達障害自体を受けいれられないことと、発達障害のせいで自分自身を見つけられないことの、2つの側面から「自己受容」ができない場合が多いです。もし、この記事をお読みのあなたが「自己受容」できていないと感じるなら、色々な方法を試して、自己理解を深めてみませんか。
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