就労移行支援事業所~障害を認めながら働くために

仕事

出典:Photo by krakenimages on Unsplash

私には「自閉症スペクトラム」に近い障害特性があります。臨機応変な対応が苦手だったり、口頭指示を理解しにくく、今まで3社勤めましたが、2年以上続けられませんでした。親の紹介で就労支援事業を知り、現在は障害を公表した転職活動のために通所しています。

就労移行支援事業とは

就労支援事業は「障害がある人が働くための福祉サービス」の1つです。種類は3つあります。

1「就労移行支援事業」は、最終的に就職することを目的にしています。働ける65歳未満の障害者を対象にしています。

2「就労継続支援A型事業」は事業所に通うのが難しく、退職後に働いていない人が対象です。雇用契約があり、賃金が発生します。

3「就労継続支援B型事業」は事業所に通うのが難しく、年齢や体力が理由で一般企業への就職が難しい人が対象になります。雇用契約がなく、工賃が発生します

私が通っている就労移行支援事業では

・座学による障害理解、雇用や休暇など企業に関する勉強

・作業訓練による作業適性の確認

・企業への体験実習

・利用者の適正に合わせた就職活動

・就職後の職場定着支援

などが主な活動内容です。

メリット

結論からいいますと、普通に転職活動せず、就労支援に通ってよかったと思います。「私の障害を理解している人から、教えてもらえること」と「私以外にも、障害で苦しんでる人がいると知ったこと」が理由です。

「私の障害を理解している人から、教えてもらえること」これには2つのエピソードがあります。

1つ目は、就労支援事業所でのことです。ある日、企業への体験実習参加のために資料を作っていたのですが、面談で「焦っているように見える」といわれました。自覚が無かったので詳しく聞くと、私は「余裕があるのにすぐに完成させようとして焦りやすい性格」だとわかりました。

働いていたときも、時間に余裕があるのに仕事の速さを優先してしまい、上司の期待通りではないことがありました。上司と仕事の仕方について話し合えませんでしたが、就労支援では、期間ごとの予定を立てられる紙をもらいました。予定を可視化して、資料作成と他の活動とのペース配分がしやすくなり、支援者からも「焦っているように見える」といわれなくなりました。

独りでは気づけないことを気づかせてくれたのです。

2つ目は、体験実習でのことです。私は未経験なことを理解するのが苦手で、働いているときも同期の社員より業務の理解が遅かったです。自分は「覚えが悪い人間だから苦手だ」と考えていましたが違ったのです。

初日に実習内容の説明を受けたのですが、1回では理解できず、なかなかうまくいきませんでした。実習先の担当者と話し合った結果、私は覚えが悪いというより「新しい多くの情報を整理するのが苦手」という結論が出ました。

確かに、初日の説明では報告や業務の仕方など、新しいことをメモをとりながら整理していたのですが、それでもなかなか理解できませんでした。覚えが悪いというあいまいな特徴を「新しい多くの情報を整理するのが苦手」と理解できました。今後の転職活動にいかせる意味でも体験実習にいってよかったです。

「私以外にも、障害で苦しんでる人がいると知ったこと」このおかげで、気分が楽になりました。

就労支援に通う以前の私には、自分の障害を理解してくれる家族や医師がいました。しかし、私と同じ自身の障害で悩んでいる人は1人もいませんでした。「自分だけがおかしな人間なのか」と毎日が憂うつだったのです。しかし、就労支援に通い、私以外の障害で苦しむ人が、どのような人生を歩んでいるのかを知ることで、気分がとても楽になりました。

就職できなかった人、年齢を重ねている人、退職した人など、様々な理由で就労支援に集まった人々には、それぞれの「生きる理由」がありました。「好きなことをしたい」「自立した生活がしたい」「貯蓄を増やしたい」自分以外の障害に苦しむ人を知ることで、気分が楽になりその人の「生きる理由」を自分の参考にできるという意味で、就労支援に通ってよかったと思います。

おわりに

就労移行支援事業所には、様々な人生を経験した、障害に苦しむ人と、それを支える障害に理解のある支援者がいます。独りでは考えつかない生き方や、障害克服の方法を色々な人の話を聞くうちに生み出せる場所です。良し悪しがあるとは思いますが、もし独りで障害に悩んでいる方が、就労移行支援事業所に興味を持ってくれたらうれしいです。

参考文献

【障害者福祉施設における就労支援の概要|厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/index.html

地球人

地球人

現在は安定した勤続のため就労移行支援事業所に通っています。野球が好きで、大学生の頃からゲームの中で理想のプロ野球チームを作り続けています。

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