福祉雑貨専門店「マジェルカ」が11年の歴史に幕、今後は市民活動として再出発

暮らし

一般社団法人マジェルカ(本社:東京都武蔵野市 代表理事:藤本光浩)は11月13日、11年間続けてきた雑貨専門店「マジェルカ」を閉店しました。今まで商品の売り上げによる営業努力で活動してきましたが、コロナ禍による売り上げ低迷にここ数年苦しんだ上での苦渋の決断でした。

しかし、予想を上回る反響や活動継続を求める声を受けて再始動を決め、月1000円からの継続的な寄付を募る「マンスリーサポーターキャンペーン」を11月15日よりスタートしました。更に、「吉祥寺のシェアスペースレンタル」という新たな収益事業の立ち上げにより、社会的価値を創出する活動の継続に挑戦いたします。

マジェルカの活動意義

雑貨店「マジェルカ」は、全国の障害者施設で作られた雑貨製品(福祉雑貨)を販売する専門店です。民間の福祉雑貨店のパイオニアとして今まで延べ300の福祉事業所と取引をし、障害者一人ひとりの「得意」が活かされた手仕事品などを東京吉祥寺の実店舗とオンラインショップで販売。「買ってあげる」ではなく「欲しいから買う」と思ってもらえる店づくりに努め、多くの支持を得てきました。

マジェルカが取り組む社会課題は、障害者に対する無意識の偏見すなわちアンコンシャス・バイアスです。障害者と身近に接して正しく知る機会の少なさを最大の要因と捉え、多くの人が障害者と繋がるきっかけ作りを進めてきました。

また、活動の柱として「ウェルフェア(福祉)」と「フェアトレード」を掛け合わせた「ウェルフェアトレード」を推し進めてきました。福祉雑貨には一般の流通品にないベネフィットを持つ製品が数多く秘められていますが、バザーや即売会などで安く叩き売られているのが現実です。商品の価値を正しく評価して適正な価格と方法で流通させ、作り手である障害者についての認知を広げ利益や評価を還元していく取り組みが「ウェルフェアトレード」です。

これまでマジェルカは障害者施設に対し、製品作りや販売方法のアドバイス、商品力向上に向けたワークショップを定期的に行い、作り手の支援にも努めてきました。こうした地道な取り組みを続けることで、社会と福祉の双方にまたがる「価値」を生んできています。

断腸の思いで閉店

マジェルカの活動は製品販売による利益によって続けてこられました。しかし、作り手となる障害者への還元によって利益が大きくならないのと、一点ものにつき販売効率を上げづらい福祉雑貨の特性がネックとなります。加えて、製造や販売に不慣れな事業所との取引は一般のそれより手間も時間もかかり、安定した経営とは言い難い状況でした。

そこで追い討ちとなったのがコロナ禍による消費活動の変化です。年々徐々に増えていた売り上げが一気に低迷し、コロナ禍の落ち着きで客足が戻っても改善されませんでした。理念の為に無理を重ね続けることは出来ないと判断し、苦渋の決断ですが11年間続けた実店舗とオンラインショップを閉める決断をしました。

ところが、閉店を決めたことへの反響は予想以上に凄まじく、オンライン注文は通常の10倍になり、実際の来店も増え、1週間で在庫の8割が売れるほどでした。お客様の声も「とても残念」「なんとか活動を続けられないのか」「マジェルカは唯一無二なのに」「障害を持つ子の将来を憂える日常の中で、マジェルカの存在が希望でした」と様々です。

事業所からも閉店を惜しむ声が寄せられ、「今まで製品を作ってきた皆にどう伝えればいいのか」と話す支援員や「マジェルカで販売されることが誇らしかったです」「注文されたおかげで工賃も以前より上がりました。今までありがとうございました」と感謝を伝える利用者がいました。

再スタートに向けて

「マジェルカを市民活動に」とは、多くの激励を受ける中で活動再開の為にたどり着いた答えです。これまで公的制度に頼らず自助努力で運営してきたマジェルカですが、これからは世の中の皆様の力を借りて良いのではないかと思い、「マンスリーサポーター制度」を導入します。

マンスリーサポーター制度は、毎月1000円からの一定額を継続して寄付してもらうことにより運営を安定化する仕組みです。活動に共感してくれる人や興味のある人がマジェルカを育てていく制度でもあります。サポーターとなる方には特典として、いつでも商品を約10%引きで購入できるほか、月1回ペースで開催する予定の懇話会「マジェルカカフェ」に参加することができるようになります。

このサポーターキャンペーンは開始1週間で76名の寄付者が登録され、月20万円という目標金額の約6割を達成しています。寄付してくださる方々からは「存続を選んでくださりありがとうございます」「サポーターとして応援できて嬉しいです」などと反響が寄せられています。

マンスリーサポーターによる寄付を安定的な活動原資とし、マジェルカは同じ場所の地下スペースで2023年1月からのショップ再開を計画しています。取引先の事業所からは「利用者の仕事が減ってしまうところだった。引き続き取引が出来れば利用者のモチベーション維持にもつながる」と喜ばれました。

これまで店舗を構えていた1階では「シェアスペース マジェルカ」としてスペースを貸し出す新事業を始め、活動費の足しにしています。

社会的価値が生まれる活動をいかにして続けていくか、マジェルカの新たな挑戦に参加してくれる寄付者は引き続き募集中です。マンスリーサポーターキャンペーンは12月31日までです。

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
よろしくお願いします。

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください