意外な禁止語「脳死撃ち」と「片手落ち」
暮らしPhoto by Kim Gorga on Unsplash
当たり前のように使っていた言葉が後で規制レベルの単語と知ったら、結構恥ずかしくなりますよね。しかし、ものによっては「過剰反応ではないのか?」「規制されるような言葉か」「それってあなたの感想ですよね」と抗弁したくなることもあります。個人的に、自主規制に値するのか疑問視している言葉を2つ紹介します。
一つは「脳死撃ち」です。主にFPSなどで考えなしに弾を撃ちまくることで、戦局を読まず頭も使わない様子を表しています。アクションゲームでも、有力な技ばかり連発する時にこう言われます。とにかく考え込むことの少ないプレイングが「脳を使っていない」と例えられるわけです。
これが一部では「脳死状態の人に失礼だ」と湧き上がっており、ゲーマーによっては自主規制して言わなくなることもあります。「ぶっぱ」などの類義語もあるにはあるのですが、脳死状態を馬鹿にする意味で使われだした言葉ではない筈ですよね。
もう一つは「片手落ち」です。配慮や対処に抜けがあって不十分であることを指す日本語で、「担任の片手落ちな仲裁で、余計いじめが酷くなった」「その程度の試験対策は片手落ちでしかない」などと使います。こちらは放送業界の自主規制である「放送禁止用語」に入ってしまっています。
「片手落ち」は「片」と「手落ち」で区切られており、一方に手(配慮)が行き届いていないという意味になります。ところが、これを理解していない人からの「片手のない人を差別している!」というクレームが来ないよう、放送業界が予め自主規制してしまいました。
これらは最初から侮蔑の為に生まれた言葉ではありません。字面や字義だけに囚われ、単語の意味や奥深さに思いを馳せることすらせず、エモーショナルに暴れ回る人々が次々と「言葉狩り」してきたのです。この嵐で進化した言葉というのはヌタウナギ(旧メクラウナギ)くらいではないでしょうか。
最近は、「骨が折れる」を本当に骨折すると誤解したり、「身内の不幸」を死亡と分かっていなかったり、慣用句が正しく伝わらない事例が出ているそうです。調べはしないが字義には囚われるような人が、国語力の低下へ大いに関わっていると思えてなりません。
参考サイト
片手落ちって差別用語なの?正しい意味と類語・対義語・英語表現
https://docoic.com