障害者向けに特化した犯罪被害相談窓口はあるのか

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犯罪被害に遭った際の相談窓口に、障害者向けのものがないかどうかまとめてほしいというリクエストを頂きました。どのような犯罪にいつ出くわすか分からない以上、相談できる窓口を知識としてインプットしておくことは保険として役立ちます。

結論から申し上げますと、障害を持つ方々へ特化した相談窓口というのは存在しないか、あってもごく少数です。犯罪被害の相談先として挙げられる候補は、健常者とさほど変わらないのではないかと思います。

被害者支援センター

被害者支援センターとは、その名の通り犯罪被害者の支援に特化した民間支援団体で、各都道府県に必ず1つ以上存在します。支援の内容は幅広く、犯罪で傷ついた心を吐き出すケアや、捜査や司法手続きの援助など、様々な方面で犯罪被害者に寄り添います。支援は主に「電話相談」「面接相談」「直接的支援」で構成されています。

電話相談は、とにかく話を聞いてもらうための支援です。誰にも相談できなかった傷や鬱積を、オペレーターに心おきなく相談してください。話を聞くだけではなく、より踏み込んだ支援への入口になることもなります。連絡先は年末年始と深夜以外なら毎日開いています。

面接相談は、次の直接的支援が必要と判断された人への支援です。専門の研修を受けた相談員と面談し、被害者として何を必要としているのかを明らかにしながら、本人の自主性を尊重した支援計画を作成します。

直接的支援は、主に司法や医療など大掛かりでダイレクトな行動への支援です。各種機関への付き添いや、必要な手続きのお手伝い、裁判を起こした際の代理傍聴など、より具体的な行動に関わっています。センターにもよりますが、日常生活のサポートやカウンセリングなどが出来るところも一部ございます。

いずれの支援も、無償と守秘義務について一貫しているのも特徴です。また、犯罪被害で受けた傷を一生モノと捉え、裁判など大掛かりな行動が終わったとしても途切れることなく、本人の人生に寄り添い伴走し続けます。都道府県に1つずつなのでアクセス面の不完全さは否めませんが、電話相談から承るほど間口が広いので、犯罪被害の相談先としては代表的なものだと思います。

弁護士会や法テラス

法律に基づいた支援を考えているならば、弁護士会や法テラスといった法律に明るい相談先が頼りになる筈です。法廷での解決を考えるのであれば、弁護士会は最優先の選択肢となるでしょう。甚大な被害を被ったのであれば、警察や検察庁も相談先として挙がってきます。

明らかな被害を知覚しているのであれば、弁護士会を頼って速やかに法廷闘争へ持ち込まないと逃げられるかもしれません。詐欺や性被害であれば、うかうかしていると証拠隠滅が完了してしまいます。すぐ弁護士会へ向かった方がいいケースもあるでしょう。障害に付け込まれて借金を背負わされるなど、ノータイムで法律事務所に駆け込むべき被害もあります。

弁護士会は主に実際の訴訟へ関わるアクション、法テラスは主に被害者側への情報提供や弁護士費用の援助などを担当します。別々ではなく、段階に応じて両者ともに関わっていく感じですね。弁護士会の中にも、大阪弁護士会の「ひまわり」など、稀少ながら障害者向けに特化したものがあるそうです。もし身近にあれば心強いですね。

地域生活定着支援センター

地域生活定着支援センターの役割は、主に刑務所や少年院を出た人間が再犯しないよう支える出口支援です。加害者への支援なので関係ないように思えますが、社会的接点に乏しい元犯罪者というのは意外と多く、再犯の火種になりがちです。犯罪組織にとっても便利な鉄砲玉として扱われるかもしれません。

特にそれが高齢者や障害者となっては尚更です。社会で暮らせないばかりに微罪を繰り返し、社会と刑務所を往復するような人がいるのは、見放してきた我々の責任と言えるかもしれません。再犯リスクを抑える出口支援もまた、犯罪被害を生まない予防策となります。どのみち被害者側には関係ないのかもしれませんが。

全国被害者支援ネットワークのホームページ

公益社団法人「全国被害者支援ネットワーク」のサイトでは、犯罪被害に遭った際役に立つ読み物や動画といった様々なコンテンツが用意されています。Q&A、漫画、動画などで分かりやすく解説されていますので、一通り知識として頭に入れておけば相談でも話しやすくなるでしょう。

障害種によっては自分が被害に遭っていることすら理解していないこともあります。そもそも健常者でも知らないうちに何かの被害に遭うこともあるでしょう。日頃の備えとしても、実際に被害を受けたときにも、これらの読み物をチェックしておけば力になってくれる筈です。

ここまで書いておいて何ですが、犯罪被害を相談するにあたってのバリアフリーはあまり進んでいない印象があります。障害者(特に自分で説明のしづらい知的障害や境界知能)に向けた窓口というのは未だに数少ない状況です。「確かにこれだ」といえる相談先は、こと障害者に限っては安定した答えが見つかりません。障害者が詐欺や性被害に遭った際にどう支援するか、懸賞金をつけてでもこの難題を社会全体で考える体制が必要とすら感じてしまいます。

参考サイト

公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク
https://www.nnvs.org

被害者支援センターの支援活動について
https://www.nnvs.org/shien/about

大阪弁護士会 高齢者・障害者総合支援センター「ひまわり」
https://soudan.osakaben.or.jp

地域生活定着支援センターとは|よりそいネットおおさか
https://yorisoi-osaka.jp


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遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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