障害者も裁判員裁判に参加義務があるの?
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2009年に施行された裁判員制度。TVニュースや新聞などで裁判員裁判のことを見聞きしたことはあるものの、まだ多くの方は身近に感じていらっしゃらないのではないでしょうか。本コラムでは障害を持った人が裁判員裁判に選任された場合、どのようなことに気を付ければ良いかなどを解説したいと思います。
障害者も裁判員に該当する?
最高裁判所のホームページ上の裁判員制度Q&Aでは、
『障害のある方であっても、裁判員としての職務遂行に著しい支障がなければ、裁判員になることができます。』(引用:障害があるのですが裁判員になれるのですか。)
と記述してあります。
裁判員および補充裁判員は地方裁判所ごとに、管内の市町村の選挙管理委員会がくじで選んで作成した名簿に基づき、裁判員候補者に質問状、調査票が郵送されるのです。
つまり、選挙権を持つ人は高齢な方を含め、誰でも候補になりうるわけですが、成年後見制度(知的障害、精神障害、認知症など、行為能力が十分ではない人のための制度)を利用している方は対象外となるようです。
法廷での障害者のための配慮
障害をお持ちの方も出頭したい方、配慮があれば出頭したい方がいらっしゃると思います。それでは、法定での障害をお持ちの方に向けた配慮例をいくつか記載いたします。
視覚障碍者
・点字、音声コード付きのパンフレットの用意
・書類の点字化、拡大コピー
・盲導犬の同伴
・ガイドヘルパー、家族の付き添い
聴覚障碍者
・手話通訳者・要約筆記者の手配
・被告や証人に対し、曖昧な表現は使わない等の指導
辞退したい障害者の方
前述しました通り、裁判員として職務遂行に著しい支障がなければ、障害者も裁判員として参加することができます。
しかし、調査票の質問一つである「重い疾病または傷害があるため裁判員としての参加が困難な場合」で該当する場合、障害や病気を理由に辞退したい旨を申し立てることができます。その際は障害者手帳の写し、医療費の内容のわかる領収書の写しなどを添付すれば良いようです。
事件を担当する裁判所が検討し、他に証明書などが必要と判断すると、その旨通知が来るようです。そして辞退が認められるかどうかは事件ごと、障害や症状ごとに決められるそうです。
参加か辞退か迷ったら
裁判員裁判では、普段見慣れないショッキングな証拠写真を見たり、音声を聞いたりする場合があります。残念ながら、事前に「見たくない」「聞きたくない」との理由で辞退することはできないようです。
福島県の女性は、裁判で遺体の写真を見たことによって、急性ストレス障害(ASD)になったとして、損害賠償を求め訴訟を起こしました。しかし、1審福島地裁判決は裁判員を務めたことと病状の因果関係を認めたものの、敗訴となったそうです。
このように裁判によっては、精神的にも体力的にも負荷がかかりやすいことがわかります。また、どのような裁判を担当するかは事前にわからないようです。
国民全員が司法への理解を深め、みんなの声を反映することに意義があるとされ、裁判員制度は始まりました。もし呼出状が来て迷った場合、障害に合った配慮をしてもらえるかどうか確認したり、主治医に意見を聞いたりして、心身に負担のない決断をしてはいかがでしょうか。
参考文献
裁判員制度Q&A
http://www.saibanin.courts.go.jp/
裁判員制度と障害者保障
http://www.dinf.ne.jp/
障害のある裁判員候補者への情報
http://www.courts.go.jp/
「遺体写真」見て急性ストレス障害――裁判員の「心理的負担」どこまで配慮すべき?
https://www.bengo4.com/topics/