精神科への入院〜そして退院へ
暮らし病院関係者の方々や家族にお世話になりながら、徐々にできることが増えてきました。自分自身でも回復してきているのだなと実感できました。しかししんどくならないようにと、調子を見ながら、おだやかにすごしていきました。
楽しみだった作業
平日に、ストレッチをしたり手工芸の作業をする時間がありました。塗り絵・革細工・紙工作・ジクソーパズル・刺繍・編み物などいろいろあり、好きなものを選んで作業ができました。作業療法士さんと思いますが、作り方を一から教えて下さり、落ち着いて自分のペースで進めることができました。その中でも、かぎ針でアクリル毛糸を編むのが気に入りました。最初は小さなモチーフを編み、次に、台所で油ものを洗う時のタワシや、敷物や、ポケットティッシュが入るくらいの小さなカバンを編んでいきました。手元の作業に集中しているので、思考から離れることができ、とても充実した時間になりました。土日は作業がありませんでした。作品は退院時に持って帰ることができたので、後日家で食器洗いに使用しました。また、幼児の姪っ子が小さなカバンを気に入ったようで、おままごとに使い出し、そのまま持って帰っていきました。入院中に作ったものですが、何かの役にたつということは嬉しいものだなと思いました。
精神科のデイケア
病院に併設されているデイケアに参加することになりました。今まではデイケアというと介護関係を連想していたので、精神科にもデイケアがあるのだなと知りました。どんなところだろうと思ったのですが、精神保健福祉士さんや作業療法士さんや看護師さんだったと思いますが、スタッフの方がいらっしゃって、いろいろと教えて下さりました。利用者さんは外から通っている方々ばかりで、入院患者は数名でした。私の場合、週2回の参加になりました。色々なプログラムのうち、1日かけて料理をする日がありました。利用者がレシピを選び、役割分担をしながら買い出し・調理・配膳をして、皆で昼食をとるという日でした。その日は病棟の昼食は止めてもらい、私も皆と同じようにデイケアで昼食をとりました。楽しかったので、その曜日を楽しみに参加していました。デイケアが終わると病棟へ戻りました。デイケアは病棟と比べると活発な印象でしたので、徐々に外の世界になれるよう、リハビリになればいいなと思ってすごしていました。
精神科の一般病棟へ
そうこうしていると、精神科の一般病棟へ移ることになりました。1人に1台冷蔵庫とテレビがついていて、テレビカードで使用することが出来ました。テレビはイヤホンで聴けるようになっていました。イヤホンを購入しないと聞けないのですが、私の場合、レンタルプランの中にイヤホンも入っていたので借りました。私のいた病院では、テレビカード使用時から有効期限が設定されていたので、期限がきれた場合は精算機で返金し小銭を集めて、病院の会計に行って1000円札に両替してもらって、再購入していました。洗濯物は、テレビカードか小銭を使って、自分で洗濯と乾燥ができるそうでしたが、私の場合、洗濯物は外泊時に持って帰り、家族が用意してくれている衣類と交換して持ち込んでいたので、詳しくはわかりませんでした。閉鎖病棟時は紙袋でしたが、一般病棟ではその制限はなかったので、ビニール袋や布バッグを使用しました。食事は廊下まで運ばれてくるので、並んで受け取り、自分のベッドまで運んで食べていました。退屈だったので、携帯ラジオを持ち込んで聞いていました。また、30分の散歩の許可を得て、病院のまわりを歩いていました。最初は、精神科から出て歩いている姿を、周りの人はどう見るのだろう、などとナイーブな発想が出てきました。しかし、そのうちに慣れてきて、そんなに周りの人は何とも思っていないだろう、自意識過剰だなと思いました。私の場合、いろいろ考えすぎなのかもしれないので、直接入院になってよかったかもと、思い直しました。
そして退院しました。約3ヶ月間の入院生活でした。その後は通院しながら地元のデイケアに通い、そこで就労移行支援事業所の説明会が開催されたことをきっかけに、現在、就労移行支援事業所に通っています。家族に聞くと「本当はもっと早くに病院に行かせたかったけど、きっと行かないと言うと思って、言い出せなかった」と言っていました。今なら、精神科も入院もこわくない、心配いらない所なのだと私は言えます。