フィクションのキャラクターと発達障害

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アニメや漫画の主人公キャラにADHDの特徴が見出されることは結構あります。それこそ「のび太・ジャイアン症候群」という呼び名がADHDについていた時期があったほどです。「思い立ったら一直線」というタイプのキャラクターはよくADHD説が立てられる印象があります。多分こじつけでしょうけれど。

一方、ASDのキャラクターは東京型朝ドラにおいて主人公に厳しく当たる女先輩(テンプレのようなものなのでこう表記。今期の「なつぞら」でいえば麻子)が当てはまるのではないかと個人的には考えています。自分の仕事に対し強いこだわりを持っており、相手の気持ちを汲まずに思ったことをぶちまける辺りがASDらしい所ですね。やはりこじつけでしょうけれど。

そうした視聴者の考察よりも早く、公式が最初からマイノリティとして生み出したキャラクターも時々います。製作者はどのような思いでこれらのキャラを出すのでしょうか。

セサミストリートの「ジュリア」

公式設定の時点で自閉症として紹介されているキャラクターとしては、セサミストリートの「ジュリア」が挙げられます。というより、発達障害全般に広げても明確に設定されたキャラクターは極端に少ないです。あとはグッドドクターくらいでしょうか?私が寡聞なだけかもしれませんが、それ以上に明確な設定として発達障害をつけるのを憚る作者が大多数なのでしょうね。

さて、ジュリアの人となりはエルモの口からこのように説明されています。「ジュリアには自閉症があるので、時々僕らとは接し方が異なるんだ。」「話しかける時は短い言葉で。そして答えるまで少し待つ。」これが、話しかけても返事や振り向きさえしない特徴に表れています。ジュリアの趣味は人形遊びですが、自己完結の一人遊びゆえ発展に乏しいです。

余談ですが、セサミストリートには他にもホームレスの少女リリーや生まれた頃からAIDSの少女カミなど、世間の理解が進んでいない問題を抱えた新キャラが度々登場しています。カミに至っては自分の境遇を悲観せず元気に過ごす年相応の女の子で、「難病だからといってウジウジしない!」という意志が感じられます。

本人か周りが天才過ぎる

ジュリアを紹介する時もそうなのですが、エルモはつくづく天才的な対応をとっています。事前配信されたYoutubeの公式チャンネルで見せた、エルモがジュリアと一緒に人形遊びするまでの行動は、まさしく天才のそれです。

一人で人形遊びをするジュリアに対し、エルモは自分も人形を持ち出し「フラッフスター(ジュリアの人形)、こんにちは!」とごっこ遊びをモデリングにて提案しました。指示ではなく自ら実演することでジュリアに遊びを提案したのです。

最初は無視されるのですが、エルモは次に人形を隠しては出す「ピッカブー!」をして見せます。これにジュリアはチラリと興味を示し、エルモはそれを見逃さず派生した「ピッカブー!」をやってみせます。最後にエルモは、「フラッフスターはどこかな〜?」とジュリアに振り、反応を待ちます。ジュリアは戸惑いながらも自分の人形で「ピッカブー!」と答え、エルモと人形遊び出来るようになりました。

この一連の流れで分かるのは、エルモには創意工夫・洞察力・忍耐力が天才的なまでに備わっているということです。天才な友達がいればジュリアの明日も明るいでしょう。

もう一つ、「ミッフィーちゃん」でお馴染みのディック・ブルーナ氏の絵本に「ろってちゃん」の話があります。「ろってちゃん」は車椅子が必要な身体障害者で、ある日友達のボール遊びに混ぜてもらおうとします。友達は賛否両論でしたが、ろってちゃんの優れた運動神経を目の当たりにして、「次も一緒に遊ぼう」と約束までします。ボール遊びが出来るのかと訝しむ面々を、ろってちゃんは天才的な運動神経だけで納得させたのです。

障害者の幸福には本人か周りが天才であることが近道とつくづく思わされます。

誰がどうでも貴方は貴方

ジュリアのように公式設定で発達障害のあるキャラクターでなくとも、発達障害説をつけられるキャラクターはいます。突っ走る熱血型はADHD、職人肌で考え出すと止まらないタイプはASDを疑われがちですが、多かれ少なかれフィクションのキャラクターというのは目立つために平凡さを廃したキャラ付けが行われるので、障害特性を考えても仕方のないことではないかと思います。

発達障害の有名人などを並べ立ててみても同じことで、何十人リストアップしても貴方自身や周囲の状況に変化は起こりません。それに、リストアップしたのは世紀的な天才ばかりで、憧れてもなれるような人間ではありません。

ジュリアにしたって天才的な働きかけの出来るエルモがいますし、ろってちゃんに至ってはパラリンピックに出られるほどの運動神経が備わっています。しかし現実はどうでしょう。発達の凸凹を代償に優れた才能を持っている人は寧ろ少数派で、優秀なパートナーや支援者に出会える人もまた少ないです。

まとめ

フィクションにおいて発達障害のキャラクターを出す動きに関しては何の感情も抱いておりません。ただ、障害の代償として何かしら高いスキルが備わっているというのは残念ながら幻想だということは知ってもらいたいです。

「レインマン」や「グッドドクター」のように、発達障害を代価として異能を備えた人間は極めて少数派で、多数の当事者は感覚の凸凹を擦り付けられたまま何の補填もなく暮らしています。障害当事者を元気づける点はあるかもしれませんが、誤った期待を抱かせるリスクも孕んでいるのです。

大事なのは自分の現実です。

参考文献

アスペや発達障害の主人公が愛される理由を考えてみた。「ラピュタのムスカみたいな敵キャラが、いつしか主人公と入れ替わったんだよ」
https://originalnews.nico

ハーフで褐色肌のプリキュア登場 セサミストリートには自閉症児 みんな違って、みんないい|子育て世代がつながる|東京すくすく—東京新聞
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp

4月2日は何の日?セサミストリートにジュリア登場!エルモの神対応に学ぶ、自閉症児との上手な遊び方(竹内弓乃) – 個人 ? Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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