発達障がいとマルチタスク②~マルチタスクの有害性

発達障害
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◀過去の記事:発達障がいとマルチタスク①~マルチタスクが苦手?

前回でのコラムではマルチタスクの内容や合理性を中心に書きましたが、このコラムでは、マルチタスクにおいて並行して切り替えるという意味と弊害、逆のアプローチであるシングルタスクについてのメリットを中心に書いてみます。

マルチタスクは仕事に有効という神話

精神疾患のなかで特に発達障がいの特性にはマルチタスクが苦手という説明が多く書かれており、電話をしながらメモを取ることが苦手など例を挙げられています。確かに電話対応が苦手という方は、多くおられます。これは電話を聞きながら、メモを取るということを同時に処理しなければいけないからです。 これは、一見マルチタスクのように見えますがそうではありません。例えて言うとコンセントのスイッチを素早く切り替えているようなもので、それが速いか遅いかの違いに過ぎないのです。 現代社会では、仕事においてマルチタスクができて当然、もしくは出来なければいけないという風潮がはびこっているように思えます。マルチタスクというのは完全に同時進行で作業を進めることで今現在、使用されているPCでもシングルタスクを高速で行っているだけで完全なマルチタスクではないのです。また、最近の研究で本当にマルチタスクが出来ている人は、人類全体のわずか2%という研究結果が出ています。この結果から、自分はマルチタスクが得意と思っている人は、ただ単に「マルチタスクが出来ている自分に酔いしれているだけ」なのです。つまりマルチタスクができる一般人は、ほぼいません。 傍から見てマルチタスクが出来ているように見えているのは、どういった仕組みで脳は動いているのでしょうか?一般的にマルチタスクと言われているものは、脳のスイッチを交互に切り替えることが速いだけで、決して同時進行で仕事は進んではいないのです。マルチタスクというよりも脳のスイッチの切り替えが速いだけなので、タスク・スイッチングと指摘されています。そのため、1つのことに集中力が削がれて、生産性が著しく低下していることが、多くの研究者によって指摘されています。個人の能力でマルチタスクができるかどうかではなく、人間の脳は1つの事柄にしか集中できないようにできているのです。

日常で行っているマルチタスクの例

科学的な話だけでは納得しない人もいるでしょう。マルチタスクの簡単な例で言いますと「歩きながらスマホを見る」などもマルチタスクです。お菓子を食べながら本を読むこともマルチタスクです。こう書くと、マルチタスクは誰でもできるのではないかと思われがちですが、しかしこれは「慣れ」という現象で説明がつきます。意識して処理していたことを繰り返したことによって、脳が無意識に処理できているにすぎないのです。逆に言えば、「慣れという脳の処理のおかげで無意識的に処理できるようになったもの以外、マルチタスクを行えば効率が下がる」ということを意味しています。 たとえば「お金」や「商品の在庫数」などを数えている最中に、うっかり他のことを考えてしまい、最初から数え直すはめにおちいったという経験は、誰にでもおありではないでしょうか。途中で数がわからなくなった理由は、だいたい2個に絞れます。 理由1 頭のなかでつい、別の考え事が浮かんでしまったから。 理由2 誰かに話しかけられるなど、外部からの刺激を受け、どこまで数えたのか不安になるから。 第1の理由は、ちょっとほかの考えごとをしただけで、このような単純作業さえできなくなることを示しています。第2の理由は、外からの刺激に受けると、集中力のロスが発生してしまうことを示しています。いずれの場合も、結局、「数を数える」というた単純で重要な1つの作業を、また最初から始めなければならなりません。

シングルタスクのイメージ

一度に複数の作業を行っている人を見ていると、なんとなく仕事が出来るイメージがありますが、1つ1つ作業を行っている人と比べて、実は生産性が低いことが研究で判明しています。これに関しては、(マルチタスク・作業効率)をインターネットで検索するとさまざまな、意見がありますので一度検索してみてはいかがでしょうか? では、逆にシングルタスクのイメージを考えて見てください。学校でテストを受けている時をイメージしてもらえれば、分かりやすいかもしれません。テスト中は、問題を解くことに集中しています。他のことは考えていないでしょう。 シングルタスクのイメージは「一度に1つの作業に没頭すること」です。現在、行っている仕事を最優先に集中して行うことで、仕事の効率が上がるのです。シングルタスクのもう1つのイメージは、学校の授業の時間割です。例えば、学校の授業で同じ時間割で国語・英語・数学などの教科の先生が一斉にきて授業をされても、頭の中で整理がつかないでしょう。マルチタスクとはそれをしているのと同じなのです。 発達障がいをお持ちの方はマルチタスクが苦手です。できないとは言えませんが、マルチタスクを行うことで弊害も大きいのです。シングルタスクに切り替えることで、仕事の質や生産性を上げることができるのです。  

参考文献

STUDY HACKER マルチタスクが脳に及ぼす悪影響とは
https://studyhacker.net/

アタリマエ 勉強のコツ
https://atarimae.biz/

tkbn

tkbn

40代男性。30代半ばでうつ病を発症。40代になって発達障害の疑いありと診断される。就労支援機関で自分の特性について学び、最後の就活を終えコラムを書いています。趣味は鉱石収集。年2回大阪・京都で行わるミネラルショーや即売会に行って、気に入ったものをコレクションするのが楽しみですが、部屋で飾る場所が無くなっているのが最近の悩みです。

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