セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

役割を見つけ、果たし、振り返る。その繰り返しで自信が生まれ、役割が定着化する(セコラム第25回)

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『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.25

こんにちは、世古口です。私が施設長をしている三休では農業を中心とした仕事を行っています。農業と言っても様々な作業があります。種をプラグに入れる作業・苗を畑に植えていく作業・草刈りをする作業・収穫をする作業・・・。外の作業だけと思われがちですが室内で行う作業もございます。そのなかの1つが「出荷作業」。

いま万願寺とうがらしの収穫時期で、収穫と出荷に大忙しです。メンバーのAさんは箱折りがとても素早く、丁寧です。テニスプレイヤーの錦織選手のようにゾーンに入ると、みるみるスピードが高まり一気に箱を折っていきます。彼のおかげで約90kgもの万願寺とうがらしを出荷することができました!箱折り一つとっても農作業の大切な仕事の1つ、すべての作業がつながっているのです。

Aさんはそこまで仕事モードではなく、与えられた仕事をこなしていることが多かったように感じます。これがダメなことではないし、仕事をテキパキこなしているのが良いということではなく、あくまでも私たちは「働くを通した自己実現や目標達成」を目指しており、あっち/こっちの優劣は付けることはしたくありません。彼は「箱折り」の作業をすることで自己肯定感を満たし、役割を見出しました。「もう少ししていたら100箱はつくることが出来たよ」「世古口さん、あと10分作業していいですか?」と自発的なお願いや目標に達さなかった悔しさを出していたのです。「次回もお願いするで、Aさん!」と僕は伝えました。

その1週間後、Aさんは先週と同じように「箱折り」の作業を行いました。「今日はこれくらいやるよ」「自分の型が見出されてきた気がします」と言いながら自分が立てた目標まで作業を進めました。

午前の作業が終わり事務所に戻り談笑をしていると、「世古口さん、ぼく午前だけでなく午後も働けそうです。午後も作業を行えばもっと箱をつくることができ、出荷作業がスムースになると思います」とAさんから提案がありました。そう、Aさんは「したいこと」を達成する一歩を踏み出したのです。彼は「働くペースをつくること」そして「働いた対価の給料を上げていきたいこと」が目標でした。「箱折り」という役割を果たしているからこそ自信がつき、次のステップに歩むことができたのです。

私たちはメンバー1人ひとりの特性を理解し、役割を一緒につくり、1人ひとりに眠っているスペシャリストな部分を見出していきます。それが彼ら1人ひとりの働くがより良いものになるきっかけになるでしょう。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン予定。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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