双極II型障害の軽躁状態と自己管理のしかた

双極性障害(躁うつ病)
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こんにちは。ナイジェルです。私は双極性障害(双極II型障害)の当事者です。

現在私は54歳ですが、双極性障害と診断されたのは49歳の時。5年前のことです。最初に目立った症状(うつ状態)を発症して医者にかかったのは33歳の時で、そのとき以降、寛解して仕事ができるようになり、数年後またうつ状態を発症する、ということを何度か繰り返してきました。医師にかかるたびにうつ病という診断をされてきたので、当時私自身も「なぜうつ病がこんなに再発するのだろう」とよく疑問に思ったものです。(うつ病は通常、再発することはそれほど多くない、と言われています。)

それもそのはず、医師にも私にも見えていないものがあったから「うつ病」という診断だったのです。その見えていないものとは「軽躁状態」でした。自分が双極性障害とわかり、適切な治療を受けるようになり、自分が軽躁に陥る兆候を意識できるようになってから、私の症状は安定し始めました。

今回はこの「軽躁状態」について、それを見つけるポイントと、軽躁状態が起こらないようにするために私がやっている自己管理方法について書きたいと思います。

双極II型障害の「軽躁状態」とは

私の場合、最初にうつ状態を発症するまでは、ふつうの人と同じように高校を卒業し、大学を卒業し、大学院の修士課程を修了して就職し企業で働いていました。精神的にも身体的にも特別に問題があるとは、自分も他人からも思われていませんでした。ただ、子どものころから非常に繊細で内向的な面があるという自覚は持っていました。ですので、診察を受けて医師に「それはうつだ」と言われても、もともと内気な性格だと自分で思っているので、そうか、と簡単に納得してしまったわけです。

しかし、実はその前にあるエピソードがありました。最初にうつを発症したとき、私は人生最初の転職をして新しい会社に勤務し始め、1ヶ月を過ぎたばかりだったのですが、その数ヶ月前に前の会社を退職していました。新しい会社に入るまでの数ヶ月、とても元気で活発な状態だったのです。趣味の集まりによく顔を出し、友人と音楽フェスに行ったりしていました。これだけなら「なんら問題ない、ふつうに元気な状態と変わらないじゃないか」と見えるかもしれません。しかし、周りから見てその時の私は「元気すぎて怖い」感じだったそうです。

双極II型障害の場合、こういう一見「ふつうに元気で活発に見える状態」が、ふつうに見えるか、「まるで人が変わったよう」に見える状態か、見分けられることがたいへん重要なことになります。というのも、うつ状態になる前にこのような状態があったとしても、それが「ふつうではない異常な状態」との認識がなければ、そもそも診察時に患者も医師に話しませんから、医師も当然そういうことがあったと知らずに、患者の言う、うつに該当する症状の訴えだけを元に診断を下すことになるからです。

双極性障害の研究で第一人者である加藤忠史先生の本「双極性障害【第2版】」(ちくま新書)には「(双極I型障害の)躁状態は、入院させたいと思うほどまわりが困る、あるいは本人が後で困る、という状態であるのに対して、(双極II型障害の)軽躁状態は、本人もまわりもそれほどには困らない程度の状態です」とあります。つまり、調子がよく、仕事や勉強がどんどんはかどる状態なのです。そのため、本人はおろか、周囲の人も、軽躁状態を病気の状態と認識することはまずありません。

前掲書の続きを見ると「ただし、大切なことは、軽躁状態は、はたから見るといつものその人とまったくちがう状態である、ということです。自覚的に気分が良い状態が続いていたとしても、他の人から見て、いつものその人とは人が変わったかのようだ、という程でなければ、軽躁状態とは言いません。また、気分が高揚する状態は、一日中、毎日毎日、少なくとも四日以上にわたって続きます」とあります。私の症状はこれにあてはまるわけです。

双極II型障害では、最初の発症がうつ状態から始まることも多いそうなので、初期の段階でうつ病なのか、双極II型障害なのかを見分けることはなかなかむずかしいと思います。事実私がそうでした。20年近くもかかってしまったので・・・。しかし双極II型障害のこうした特徴を知っておくと、見極めるための強い味方になってくれます。引用した加藤先生の本は、こうした双極II型障害の軽躁状態についてくわしい説明をしているので、興味のある方はぜひお読みになるとよいと思います。

軽躁の予兆を見つける~体調管理表の記入

双極II型障害のうつ状態は、自分でも他の人から見ても発見しやすいですが、軽躁状態は自分はもちろん、他の人から見ても発見するのがとてもむずかしいものです。なので、双極II型障害の当事者のかたは、軽躁に入る前にその「予兆」を早めに発見する工夫をするのが予防に役立ちます。

私の場合「体調管理表」というものをExcelで作って毎日つけています。これは私が現在通っている就労移行支援事業所のスタッフさんと相談を重ねる中で生まれたもので、何回か項目の変更をして現在の形に落ち着きました。どんなものかというと、Excelの表で1日ごとに「就寝時刻」「起床時刻」「中途覚醒があった場合その時刻」をつけます。また、その日の「食欲」「うつ度」「そう度」という項目があり、それぞれ5段階でいくつにあたるかをつけるのです。たとえば、「うつ度」がほとんどなくふつうの状態であれば「1」、きょうはいつもより若干軽い躁状態がありそうだな、と感じたら「そう度」に「2」や「3」をつける、といった具合です。

さらに私の場合、「備考」欄を設けています。これは、その日なにか特別に記入しておいたほうがいい出来事があれば、それを記入します。たとえば「一日外出していて疲れた」「彼女とケンカした」など、なんでもよいです。これと先の「睡眠時間」と「食欲」「うつ度」「そう度」を合わせて見ることで、その日の行動・出来事と自分のうつ・そうの度合いとの関連があるかどうか、その目安となります。そして、この体調管理表を毎日つけていくと、いわば自分の「そう・うつバイオリズム」とでも言うべきものが見えてきます。自分は何ヶ月ごとに軽躁気味になるか、その前一週間になるとどんな現象があるか、なにをしたらこういう気分状態になりやすいか、などが見えてくるのです。

私はこれを活用することで、今はこういう気分が来ているからいつもより多めに休養を取ろう、栄養をよく摂っておこう、睡眠が足りてないから早めに寝るようにしよう、など、予防対策を立てています。

体調を毎日記録することは大事!

このように、毎日の体調を記録することは、双極性障害(I型、II型ともに)を持つ人が、自分の体調を安定させるための、貴重な基礎データになります。当事者で、医者に通い薬も飲んでいるが体調がなかなか安定しないというかた、そして身近に双極性障害を持つかたがいらっしゃる家族や友人のかたは、ぜひ参考にしてみてください。

参考文献

加藤忠史「双極性障害【第2版】」 ちくま新書 2019年

ナイジェル

ナイジェル

大阪市在住の双極性障害(II型)当事者の54歳男性。34歳で最初にうつ状態と診断されてから、何度か寛約と再発を繰り返し、約18年を経て双極性障害と診断される。
現在は就労移行支援施設に通所しながら就活中。
これまでに経験した仕事は、海外営業、Webデザイナー、Webディレクター、高齢者施設のヘルパー等を経験。
趣味は音楽、美術、映画鑑賞。クラブDJでもあり、現在も大阪市内のクラブ、バーでDJプレイを行っている。

双極性障害(躁うつ病)

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