発達障がい〜神からの贈り物〜

『コミュニケーションスキルは毎日の基礎トレーニングなくして変化は起こらない』(『発達障がい~神からの贈り物~』第38回)

発達障害

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『発達障がい ~神からの贈り物~』 第38回 <毎月10日連載>

あけましておめでとうございます。私のこのコラムも4年目、長らくお付き合いくださりありがとうございます。本年もこれまで同様、よろしくお願いいたします。

さて、昨年末に発達障害関連の書籍として『アイスブレイク&ワークショップ』というものが発売されているのをご存じでしょうか?発達障碍者の多くが苦手とするコミュニケーションスキルを高めるための発達障害当事者が考え出した数々の方法が記されています。著者の冠地情さんとは昨年の夏のイベントで拙い私の司会進行でご一緒させていただき、その後もFBなどでいろいろとやり取りをさせていただいています。イベントでの彼の話しには共感できる部分が多く、ワークショップの一例をあげて頂いただけでもとても学びの大きなものでした。なので、出版を聞きつけ即購入しました。

私も過去に地元の堺を中心にワークショップのシリーズを開催したり、福祉職員の研修講師を持たせていただいたり、私の場合は道化師のスキルを基としたワークショップを開催した経緯があります。どちらかと言えばお芝居のエチュードなどにヒントを得たものが多い冠地氏のものと共通するファクターが多く、私自身にも多く取り入れたい部分が見られました。しかし、正直なところ、私自身がワークショップを開くことにためらいを感じ続けています。

自分の心の持ち方だけでコミュニケーションスキルが飛躍することも無くはないですが、基礎を抜きにして答えの出し方だけがわかっても日常が見違えることなんてほとんどありえません。ワークショップと言うのはsの基礎トレーニングの方法を伝授する要素が強く、それをほぼ毎日のように繰り返すことで、徐々に変化が生まれてきます。なのに、残念ながらその場でわかったと思い込んでその後に全くトライしないという人を多く見かけて、心が萎えてしまっています。

考えてみてください。例えば、メジャーリーグで投手、打者として活躍する大谷選手の投球のコツがわかったとして、その次の日から彼と同じ投球ができるでしょうか?頭でわかったとしても、体に覚えこまさない事には何も変化は起こりません。そしてそのトレーニングは毎日毎日のたゆまぬ努力によってなし得ます。一流のスポーツ選手ほど基礎的な動きに重点を置くと言われますが、コミュニケーションスキルにおいても全く同様のことが言えるように感じます。

では、コミュニケーションにおける基礎トレーニング、それはいったいどういうものなのか?

私の答えは『明るい挨拶』に尽きると思います。

コミュニケーションと言えばあがり症を直したいとか口下手を何とかしたい、好感度の上がる身嗜み、人並み以上の容姿…、なんて言葉を多く耳にしますが、例えば口の上手な人は言葉が軽く感じられたり、好感度の良い身嗜みの人は軽薄に感じられたりすることもあります。そして、以上のようなことはそれこそそんなに簡単に手に入るものではないでしょう。野球に例えるならキャッチボールがおぼつかないような人が連係プレー、トリックプレーをするようなもの。一流選手たちはしっかりした基礎の上に観客が喜ぶプレーが成り立っているはずです。

そして、そのキャッチボールに当たるものが『明るい挨拶』と言うわけです。皆さん振り返ってみてください。気分の落ち込んでいるときに明るく挨拶できていますか?ウマの合わない人、自分を嫌う人に明るく挨拶できますか?そしてそれ以上に毎朝顔を合わす家族、仲の良い友達にも明るく挨拶できているでしょうか?家族や親友と言った当たり前の人と合う際に人は明るく挨拶できていないことが多く孫座押します。そのことに気づけていない人も多くいるようです。家族や親友に明るく挨拶するのは照れ臭い、そんな風に感じる人が苦手な人にも明るい挨拶ができるでしょうか?きっとぎこちない違和感のある挨拶しかできないのでは?

明るい挨拶はまずは自身の心を開かないとできません。仲の良い、自分を受け入れてくれる人にさえもしっかりと心を開けない状態で苦手な人とうまくコミュニケーションがとれるでしょうか?応用の前にまずは基礎、ここでも同じことが言えるのではないでしょうか?

このように、『明るい挨拶』を繰り返すワークショップなら毎月でも開催したいと私自身は考えています。しかし、毎回同じ、それも挨拶を明るくするだけ、そんな内容に毎度毎度数千円の金額を払ってくれる人が多く存在するでしょうか?そんなところから私のためらいが産まれています。

私のピアカウンセリンググループの参加者のある軽度知的の発達障害者は、自身の個性が強い事からか時々周りの人たちとトラブルを起こすことがありますが、一貫して友達にも職場の動揺や先輩にも、どんなに気分を害していても、どんなに冷めた関係であっても挨拶だけは欠かさないというポリシーを持っています。そして、どんなトラブルも一定期間を経たのちには雪解けが必ず起こり、その度に私に心を込めて連絡を入れてくれます。彼とは過去に、どんな人にも挨拶だけはしっかりしようと約束したことがありました。挨拶以外の会話はしなくてもよいから、それだけを毎日繰り返そう、そう決めました。そのたゆまぬ努力、それが彼を救っているのだと強く感じます。

ちょうど年明け、まだ仕事始めから時間がたっていない人も多いと思います。今年は、『明るい挨拶』の基礎トレーニングを続けてみてはいかがでしょう?来年の今頃は全く違った人生を歩んでいるかもしれませんよ。

公式ブログ https://ameblo.jp/suzie-net

Kei(ケイ)スズキ

Kei(ケイ)スズキ

いずみハッタツ友の会代表 就労継続A型事業所職員、高知大学農学部卒
放送ディレクター、スタジオ・ミュージシャン、カメラマン、道化師、学習塾経営など職を転々とする。10年の鬱の後に発達障害の診断を受ける。現在は福祉職員として当事者目線での支援を行う傍ら、ピアカウンセリングサポートにも積極的に関わる。自称『人生を楽しむパイオニア』
公式ブログ https://ameblo.jp/suzie-net

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