旧優生保護法のもとで横行した「騙し討ち」

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旧優生保護法に関する強制不妊手術を巡り、衆参両院の事務局が新たな調査報告書を提出しました。不妊手術を受けさせられた40人のうち約7割にあたる27人が、十分な説明を受けていなかったと答えたという内容でした。旧優生保護法のもとで「騙し討ち」が横行していた時代背景が浮き彫りとなった格好です。

説明不足どころか、別の手術と偽って不妊手術を実施したり、昼食に睡眠薬を盛って眠らせている間に済ませたり、聴覚障害者で聞こえないのをいいことに不妊処置の段取りを決めたり、本人の自由意思を完全に無視したケースも少なくありませんでした。

全盛期の1950年代は「不良な子孫の出生を阻止する」ことが是とされており、不妊手術の件数自体にノルマさえ課される有様でした。言うなれば旧優生保護法と不妊手術は「正義」であった訳です。「正義」であれば堂々としていればいいものを、なぜコソコソと「騙し討ち」ばかりしていたのでしょうか。やましい事があるから、本人の意思を無視した強制や騙し討ちをしたのではないですか。

旧優生保護法の問題は、優生思想とネガティブ・ユージェニックスに根差した「断種法」の日本版として君臨していたことです。「障害者(主に知的)の出産は不幸な子どもを作るだけだ!不妊処置は正しい!」と擁護する御仁も居ますが、障害者の子育てについては別問題なので話のすり替えはしないで頂きたいですね。

対象者へ一時金を支払う救済法は成立していますが、健在の対象者すべてに行き渡ってはいないそうです。国は一時金(というか賠償金)の支払いも含め、旧優生保護法が完全に過ちであったという認識を貫き、率先してネガティブ・ユージェニックスを否定しなくてはなりません。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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