いいことばかりではない超記憶症候群

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Photo by Nguyen Dang Hoang Nhu on Unsplash

記憶力というものは原則貴ばれるものです。その記憶力が極めて優れている人間のことを羨まずにはおれませんし、将来記憶力が衰えていくことを憂えずにはおれません。幼い頃から人間にとって非常に大切な能力です。

超記憶症候群(ハイパーサイメシア)というものが世の中にはあります。これは見たもの全てを詳細に記憶し、過去の些細なことまで細かく覚えているという超人的な記憶力です。フィクションでも偶にそういった能力を持つ登場人物が見受けられますが、超記憶症候群は診断済みだけでも世界に20人と極めて少数ながらも実在しています。

何をどのように覚えているか、何に対して記憶力が向けられているのかは人それぞれです。ある人は「学校の勉強では役に立たなかった」、またある人は「曜日さえ分かれば、その日のことを芋づる式に思い出せる」といった具合です。限定的に記憶力を発揮するサヴァン症候群に比べると、記憶の幅自体は広いのだそうです。

しかし、超人的な記憶力には「脳の黄ばみ」とも呼ぶべき嫌な記憶を人より多く鮮明に溜め込んでしまうデメリットもあります。昔の出来事を当時の感情も含めて思い出せるほどの超記憶症候群だと、例えば小さい頃にケンカした時の記憶でも当時の感情までぶり返してしまうため、記憶のせいで感情が不安定になってしまうのです。そのため、メディアなどの取材を一切受けない人も居ます。

「忘れる」という機能は、記憶を削ぐことで人の精神を守る仕組みでもあります。一度経験したことを決して忘れない能力は、見方を変えれば「忘れる」という機能に欠陥のある状態と言えるでしょう。ゆえに、シンドローム(syndrome)が付かないのに「症候群」と付いているのかもしれません。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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