渡辺明棋士も登壇〜多様な人々と共創する社会を目指す「ニューロダイバーシティサミットJAPAN2023」9月に開催!

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「ニューロダイバーシティサミットJAPAN2023」が9月17日・18日に開催されます。発達障害を脳構造の多様性と捉える「ニューロダイバーシティ」を主軸としたサミットで、様々なプログラムが用意されています。開催に当たって、kaienの吉村穣さんにインタビューしました。

スタンフォード大の取り組みを日本でも広めたい

──サミットを開催する想いやコンセプトについて教えてください。
「イベント開催の背景なのですが、2018年から毎年10月にアメリカのスタンフォード大学がニューロダイバーシティサミットの取り組みを主催してきました。自閉症研究や発達障害者の社会進出などを発表するアカデミックな場である他、企業や産業の分野が色々な催しをしており、そこに参加した当社代表の鈴木慶太が日本でも実践しようと持ち込んだのがきっかけです」
「ニューロダイバーシティの言葉自体は広がり始めた段階ですが、当社が発達障害者支援をする中で、発達障害を治療の対象ではなく情報処理や認知の『違い』として適した環境を見つけられれば活躍できるというのが前提にあるので、目新しいというよりも当社の目指してきたことを上手く言語化した概念だと思っています。これを日本社会にも浸透していくきっかけにしていけたらと思います」

──素晴らしいゲストの方々をお迎えしていますが、特に渡辺明棋士さんとはどのようにしてお話を進めることになったのですか。
「渡辺さんはプロの棋士なので、当社と繋がりがあった訳ではないのですが、企画を考えていく中で集中力と先を読む力に優れたトップ棋士は参考になるのではないかと思いました。元々発達障害やニューロダイバーシティに関心のある人だけでなく、より多くの人々を巻き込み知ってもらう機会になればと思い、第一線で活躍する独特の才能を持つ方として渡辺さんにお声掛けさせて頂きました。昨年は完全オンラインでしたが、今年は渡辺さんの講演を現地で実施します」

裾野を広げる多様なプログラム

──今回のイベントでお勧めはありますか。
「全部勧めたいところですが、強いて挙げるなら第一線の研究者でSNSでも様々な発信をしておられる吉川徹医師の講演ですね」

──放デイ(放課後等デイサービス)がテーマですが、事業所が急速に増えて、制度も変化してきていますよね。
「事業所が増えて選択肢が増えていますが、変わりゆく制度は行政によるブレーキかもしれませんし、単なる預かりでいいのかという支援者側への問いかけでもあります。一方、親御さんにとっては安心して預けられる意味のある場所でもあります。本人の為か、親御さんの為か、一般就労で税収になる行政の為か、色々な立場がある中で何が求められているのかは複雑な課題です。その辺りも吉川先生が何を語ってくれるか楽しみな所です」

──吉川先生の講演以外にも、多岐にわたるプログラムがありますね。
「当社は放課後デイサービスから自立支援まで様々な年代に向けてプログラムを提供しています。語弊を恐れず言えば、偉い先生が喋ってフムフム聴くだけのイベントで終わりたくない思いがありまして、当事者が一緒に参加できることを第一に考えています。座談会ではkaienの利用者や卒業生が参加し、『普通とは何か』『自分らしさとは何か』を本人の目線で話してもらいます。そこは正しさよりも各人の感じ方と周囲とのギャップを体感することで気づきを得られるのではないでしょうか」

──観ている方もリアルタイムでコメントできますか。
「有料のZoomウェビナーに加えて、無料のYouTube配信でもチャットでコメントを投げかけることができます。ご感想をお聞かせいただくもよいですし、質問を投げかけていただくことも大歓迎です」

──去年の開催経験を踏まえて見直したことはありますか。
「自閉症の就労機会を創出する方をお招きして、ニューロダイバーシティを知らない人にも届けられるよう、注目度の高い方にお声掛けしていきたいと思っています。ある種のエンターテイメントとして面白くなるよう意識してプログラムの内容を煮詰めていくつもりです。昨年はスペシャリスタナという会社のトーキル・ソネ氏にご登壇いただきました。国連をはじめ世界各国の行政・企業と連携してニューロダイバーシティや発達障害をキーワードに2030年までに100万人を雇用するプロジェクトを展開中です」
・スペシャリスタナWebサイト:https://specialisterne.com/
・昨年の講演動画:https://youtu.be/-Tb4TZrWIw0

──個別相談はどのような形で行われる予定ですか。
「当社の各事業所にお越しいただき、内容は自由でいきたいと思っています。別々の専門性を持つ多様なスタッフがおります。ですので、当社のサービスを利用したい方だけでなく、例えば就労移行支援の2年間を使い切ってしまった方など、普段相談しにくいと感じる方も、気軽にお話しに来ていただけたらと思います」

ニューロダイバーシティサミットに対する期待と展望


Tシャツ「ニューロダイバーシティサミット2023特別版」

──多くの個人や団体が招かれますが、凄いネットワークですね。
「去年からの継続だったり今年からの参加だったり様々ですが、やはり我々だけでは支援は成り立ちませんし、医療機関、就労支援機関、就労先にもお世話になっています。本サミットをきっかけに広く深く関係を進展させていければ幸いです。当事者にとってもネットワークの頼もしさを感じて頂きたいです」

──イベントの運営費はどのように捻出していますか。
「3種類のチケットを販売しています。YouTubeのライブで見られる無料チケット、Zoomのウェビナーで見られる有料チケット、そして渡辺棋士の会場に行ける有料チケットです。利益は度外視しており、無料でも様々なプログラムに参加できるようにしていますので、ぜひたくさんの方にご参加いただきたいです。」

──後援する企業に何か期待することはありますか。
「医療機関に関して言えば、我々の就労支援には限界があって医療に頼らねばならない部分もあるので、連携を深めていきたいですし、医療側にとっても就労を安定させるために我々を頼って頂きたいです。上意下達ではなく、お互いに必要な所を頼り合える関係になっていけたら有難いです」 「また、今回は多くの企業が後援してくださります。企業の論理と言いますか、障害者雇用に取り組み、当事者の力を活かせる企業もあれば、法定雇用率を満たすためだけの雇い方しかできない企業もあります。環境を調整すれば戦力になるとお伝えしてきていますが、難しい課題ですね。想いのある担当者とは繋がれていますが、担当者一人だけでなく企業全体に広げていくきっかけを提供できればいいなと思っています。参加してくださる企業はロゴを掲載し、一人でも多く関心を持ってもらう契機となるようにするつもりです」

──今後、ニューロダイバーシティサミットをどのように続けていきたいですか。
「今後も毎年続けていきたいと思っています。仲間の輪を広げ繋がりを強めるだけでなく、当事者を置き去りにしないことも実践していきたいので、双方向のやり取りも含めて当事者が盛り上がれる場面をさらに作っていきたいです。そして、最新のテクノロジーを活用して、イベントの形式を進化させていきたいと思っています」


ニューロダイバーシティ サミット JAPAN 2023
https://sites.google.com/view/kaien2023

株式会社kaien 公式サイト
https://corp.kaien-lab.com/

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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